現代の忍、ボンゴレ影の守護者
弐ノ段
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「力になれることがあれば、言ってください」
それは先程の、苦無と自分の間に巻き込まれるように入った緑装束の少年の発言だった。
困っていると。
情けない本音が、弱味が零れ落ちた。
同情、されたのか。
向けられている視線が、自分を見透かそうとしていて。
それは、“あの頃”自分を見ていた大空たる主君の瞳。
彼は、どこか主君たる御方に近い存在だ。
マフィアらしくないあの御方と。
忍とは思えない、向いていない彼は。
『巫月』
『巫月は影であろうとするけど…、俺にとって、俺達にとっての巫月は、』
「私は、私の在りたい場所へ帰る。その邪魔をしないでいただきたい」
重なるような幻影の姿に胸が締め付けられる。
自分にも解らぬこの状況を、目の前の彼等が打開できる術を持っているとは到底思えない。
何より、頼れるはずがないのだ。
ただの他人である目の前の人間たちなど、信用に値しない。
帰るんだ。
大空の、あの天候たちの元へ。
並盛へ。
「しかし、もう日も暮れた。今日のところはこの学園で休んで行かれよ」
「「「学園長!!!?」」」
反論する人間が正しい反応だ。
この学園の長たる老人は何を考えているのか。
いや、何も考えていないのだろう。
周りの人間の言う「学園長の思いつき」と言うやつか。
ただ楽しんでいるだけなのだろうな。
もう反論することすら億劫。
時間の無駄だな。
「疲れていたので、休ませていただけるとは有難い」
掌を返した自分の態度を不審に思ったのだろう。
緑装束、黒装束の人間の気配がざわめく。
解りやすい連中だ。
なんだってする。
嘘だって息をするように吐くさ。
空はもう暗闇となっていた。
希望も何もないが、何もせずにいられない、
まずはあの森に戻ろう。
「土井先生、巫月殿をどこか空いている部屋へ」
「………わかりました」
「感謝する」
頭を下げるのは感謝ではなく、別れの挨拶代わりだ。
土井半助なる男に促され庵を出る。
おそらくあの場に残った緑装束と黒装束で今後の検討でもしていることだろう。
見上げた空に月はなく。
満点の星が広がっていた。
弐ノ段:終