現代の忍、ボンゴレ影の守護者
弐ノ段
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
丸腰同然になった自分相手に、先程よりは警戒心を解いてはいるものの、突き刺さるような視線が孕むものは敵意ばかり。
やはり留まる事は得策ではなかったか。
学園の奥、離れの庵へと通された自分の目の前には学園の長たる老人、黒装束の教員であろう者達。
そして自分を取り囲むようにする六年生と呼ばれた緑装束の少年達。
一番最後に顔を見せ、苦無と自分の間に入った少年だけはこの状況を未だ理解していない様子で間の抜けた表情をしていた。
視線、微かな気配の変化による音のない会話が飛び交っているようだ。
内容は読み取れないものの、自分についてのことを話しているのだろうと察しがつく。
「さて。儂はこの忍術学園の学園長、大川平次渦正と言う。この度は乱太郎たちを送り届けて下さり、また、伊作を守って下さったこと、礼を言う」
「……………礼を言われるような大仰なことはしていない」
自分のしたいことを為しただけのこと。
何よりも敬愛すべきあの御方や彼等ならば同じことをしただろう。
今すべきことは状況の打開。
何よりも情報が必要だ。
腹を括れ。
どこか心の内に感じていた自尊心や目の前の彼等に対する嫌悪感を払拭しろ。
例え、どんなことになっても、私は私の在るべき場所へ帰ると決めたのだから。
一息漏らし、学園の長たる老人と向き合う。
「自分は夜宵巫月と言う。御察しの通り忍だ。しかし、この学園や学園の者に害を為す気は毛頭ない」
「そのようなこと信じられるか!!」
「……………信じようが信じまいがどちらでも構わない。学園の長たる大川殿、私の願いはただ一つ。敬愛する主君たる大空の御方の元へ、自分の在るべき場所へ戻ることだ」
六年生と呼ばれた緑装束の一人が吠えたが、そんなことはどうでもいい。
自分の主張を述べた。
その言葉をどう受け止められようが構わない。
ここの人間に興味を関心もない。皆無だ。
「そなたの願いは理解した。しかし、儂にはそなたが何か困っている様子に見えるのだがな」
「……………仰る通り。情けなくも、私は…、帰り道が、戻る術や方法が解らず、困っている」
思わず零れた情けない本音に、顔を伏せる。
それでもわかる。
何を言っているのかと蔑み、嘲笑うような気配、視線が自分に向けられていることが。
それでも事実。
変わりない現実。
考えろ、考えることを止めるな。
未来だって変えることができた。
此処から帰る方法や術だってきっとある。
今はただ望みに縋るしかない。
そのために必要な、状況打開のための一歩。
それは自分が求めているのだから、自分から歩み寄るしかないのだ。