現代の忍、ボンゴレ影の守護者
弐ノ段
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苦無を弾き飛ばせば、放った少年、また周りの少年たち、土井半助たる男も安堵していた。
同時に、何故自分が彼を庇ったのかと警戒している様子だ。
自分と苦無の間に割り込んだ少年は何事だろうと目を丸くしているものの、怪我はない。
何やら他の緑装束の少年達よりも薄汚れて、所々に擦り傷のような痕はあるようだが、それは心配するようなことではないだろう。
いい加減この敵意満ちる場から去りたい。
そもそも子どもたちを送り届けた時点でこの場に用はない。
土井半助なる男に伝えた言葉の通りだ。
何より自分にはこの訳の分からない状況を打開する術を探し、並盛へ、元の世界へ帰らなければならない。
あの御方の御側へ。
「そこまでじゃ!!」
「っ…」
老人の声と共に辺りが白煙に包まれる。
白煙の中、気配が動き回っている。
声の主であろう老人、一匹の動物…?
その周りに一つ、二つ…
白煙が晴れれば、老人を中心に犬が、土井半助なる男と同じ黒の装束の人間が控えていた。
…教員が黒の装束か。
それとはまた違う着物姿の老人。
威厳あるようにも思えるその風貌は、どこか九代目様を連想させる。
この御仁、おそらくはこの学園の長たる者なのだろう。
「学園長!!」
「ひとまず落ち着くのじゃ。六年生の諸君は特に」
やはりか。
学園の長たる老人の言葉に、六年生と呼ばれた緑装束の少年達は不服そうな表情を浮かべながらも、その場に控えた。
こうなると居心地の悪さが立ち込める。
学園の長たる老人の真っ直ぐな視線が自分に刺さる。
見透かそうとする瞳。
他の人間の視線も、刺さるように厳しいもの。
敵を見る瞳。警戒心、張り詰める気配。
この場は、離れるべきか。
「まぁ。珍客殿もひとまずは庵の方で話をしようではないか」
「……………自分には話すことなど何もない」
煽った、と自分で理解している。
たが事実だ。
学園の長たる老人だけは暢気な笑みを浮かべている。
年功により余裕に敵うものはないな。
「何も、か。儂には珍客殿が大変困っておいでのように見えるのじゃがな」
「……………」
「なぁに、悪いようにはせぬよ。どうやら生徒たちが世話にもなったようじゃしな」
お見通し、とでも言ったところだろうか。
これ以上の争い事はこちらも御免だ。
仕方がない。
構えていたカッターナイフの刃を仕舞い、鞄の方へと放った。
学園の長たる老人には話が通じそうである。
しかしながら、今の自分の状況についてはどう説明したものかと、次々と目の前に襲い掛かってくる問題に頭を悩ませずにはいられなかった。