現代の忍、ボンゴレ影の守護者
弐ノ段
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side.土井
見上げた空の色は青から橙、紫へと変わりはじめていた。
やはり探しに行くべきであろうか。
昼頃に出掛けたはずの乱太郎、きり丸、しんべヱの三人組。
きり丸のアルバイトのために町へと行くのだと、その後には美味しい団子屋に立ち寄ってくるのだと、はしゃぎながら出門届けに名前を書き出掛ける様子を自分も見送った。
それがまだ帰っていない。
いくら銭にがめついきり丸がアルバイトを安請け合いしていても、巨漢なしんべヱが団子で満腹になった体をゆっくり歩かせていても、遅すぎる。
つまりは乱太郎の不運が何か良からぬ事態を招いたに違いない。
最近巷では人拐いが横行していると言う。
あのトラブルに自分達から飛び込んでいってもおかしくない三人組ならば、遭遇していてもおかしくはないだろう。
やはり探しに行くべきか!
と、教員着から着替えるために職員室へ踵を返そうとした時だった。
「あ、乱太郎くん、きり丸くん、しんべヱくん!!」
「「「へっぽこ事務員の小松田さん、ただいま帰りました!」」」
三人の声が聞こえ、ホッと胸を撫で下ろした。
こんなに遅くなってと、説教のひとつも言ってやろうと思ったが、三人の泥まみれ、擦り傷だらけの姿に下腹部が、主に胃が締め付けられるのを感じた。
予想通り、何か良からぬ事態に巻き込まれていたのは明白である。
「お、お前たち!!一体何があったんだ!!!?」
「土井先生!」
「それがもう!」
「大変で!」
「「「かくかくしかじかだったんです!!!」」」
思わず力が抜ける。
いやいや、そんなばやいではない。
お約束のやり取りを三人組としていると、門のところで小松田くんが何かに驚くような声をあげていた。
今度は何だ。
生物委員会の動物が逃げ出しているのに気付いたのか。
そんな呑気な、学園での日常かと思われた。
しかし、そこには気配を感じない、感じさせない。
見たことのない姿に身を包んだ不思議な娘が立っていた。
まるで気付かなかった。
その場に紛れ込んでいると言うか、その場にいても違和感を感じさせない。
存在感の薄い、まるで影。
「変わった格好ですね~、入門表にサインをお願いします!」
「………………あぁ」
この娘は、只者ではない。
自然に武器を構えるべく、懐に手が伸びていた。
「巫月お姉さん、ぼくたちの教科担任の土井先生でーす!」
「いつも胃が痛いのが悩みでーす!」
「練り物が苦手で食堂のおばちゃんに怒られてまーす!」
ゴツーン!!!
懐に伸びていた手が三人組の頭に拳骨を落とした。
いやはや、習慣とは恐ろしい。
悶える三人組をよそにそっと娘に視線を向ければ、表情の変化はなく、悶える三人組の様子に首を傾げていた。
抑揚のない、しかし凛として声で「大丈夫か」と先程自分の落とした拳骨の痕を撫でていた。
その様子に甘える三人組の様子に、正直、驚いた。
は組の子どもたちは、特にこの三人組は騒動に巻き込まれることが多く、その中で他人を見る目と感覚は六年生を凌ぐほどに研ぎ澄まされているように自分は思う。
そんなこの子たちが気を許していているとは…
懐に伸び掛けていた手は、まるで毒気が抜かれたように、力なく下ろされてしまった。
しかし、一体この娘は何者なのだろうか。