現代の忍、ボンゴレ影の守護者
零ノ段
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深く息を吸い込み、閉じていた瞳をゆっくりと開く。
目の前に広がるのは緑。
何度繰り返しても変わらない。
もうどのくらいの時間、このようなことを繰り返しているのだろう。
いい加減現実から目を背けるのは止めた方がいいと諦めがついてきた。
先程深く吸い込んだ澄んだ空気がため息として漏れる。
まず自分に必要なことは現状の把握と状況の整理だ。
自分の名前は夜宵巫月。
並盛中学校1年A組に所属し、恐れ多くも生徒会長と言う役職に就いている。
つい先程まで図書室にて生徒会予算案についての報告書を作成していたはずなのだ。
日頃の疲れ、いや、鬱憤のためか。
目を通さなければならない書類の山を眺めながら、少しうつらうつら微睡んでいた。
そのまま寝てしまったのかもしれない。
自分ではそんな自覚はないのだが、もしこの現状が夢だと言うのならばすぐに説明がつく。
夢でないとするならば。
先程まで図書室にいたはずの自分が、どうしてこんな緑生い茂る森の中にいるのだろうか。
幻覚か。
ふと隣町にいる個性的な南国果実頭の幻術使いとその弟子のことが頭を過るが、我が並盛の誇る風紀委員長様がそう易々と彼らの侵入を許すはずがない。
そうすると、敵襲にでも遭ったのか。
いや、いくら微睡んでいたとは言え、気配を察することができないままに、敵の幻術にかかったとは思えない。
ましてや主君たる彼等に仇なす者を見逃していたとは。
否だ。
どっと風が吹き抜けた。
自分の殺気を孕んだ冷たい風。
木々の緑を揺らし、穏やかな森のさえずりを静まり返らせる。
………日頃の鬱憤を八つ当たりに発散するものではないな。
心を落ち着け、再度思考する。
原因や方法はどうであろうと自分が今深緑の森の中にいることは確かだ。
日頃の鬱憤の溜まる自分にとっては、視覚効果的にも精神衛生上的にも、大変心地良いものを感じるが、今はそれどころではない。
ここがどこであれ、構わない。
しかし、あの御方の御側にいることが私の存在意義。
あの御方の、主君たる大空の。
沢田綱吉様の御側に在ることが。
影である私、夜宵巫月の全てである。
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