短編
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「なあななし、聞いてくれよ」
そう言って千冬が身を乗り出した時点で、もう何の話かはだいたい分かっていた。
「場地さんがさ、この前またペヤングの超大盛り食っててさ」
「うん」
「しかも昼飯食ったあとだぞ? ありえなくね?」
「すごいね」
「だろ? しかも食い終わったあと腹減ったって言うんだよ」
千冬は楽しそうに笑う。
その顔を見るたびに思う。
ああ、本当に好きなんだなと。
もちろん恋愛とかそういう意味じゃないことくらい分かっている。
……分かっている。
「あと場地さん字めちゃくちゃ汚ぇんだよな」
「それも前に聞いた」
「あれ、話したっけ」
「三回くらい」
「マジ?」
けらけら笑う千冬につられて笑う。
けれど胸の奥に小さな棘が残る。
「でもさ、あの字なのにテストは意外といけるんだよな」
「へえ」
「なんでだろ」
「知らないよ」
少しだけ声が尖った。
千冬が目を丸くする。
「悪い、なんか機嫌悪かった?」
「別に」
そう返したものの千冬は首を傾げたままだった。
「……また場地さん?」
「ん?」
「今日五回目」
千冬が指を折る。
「そんな話してる?」
「してる」
場地さんがどうした。
場地さんがこう言ってた。
場地さんならこうする。
気づけば話題の真ん中にはいつも場地圭介がいる。
「だって場地さんかっけーし」
「うん」
「尊敬してるし」
「うん」
「恩人だしな」
分かっている。
それくらい知っている。
千冬にとって場地圭介がどれだけ大きな存在なのか。
それでも……
「……わたしといる時くらい別の話してよ」
ぽつりと落ちた言葉に千冬が瞬きをした。
「え?」
「……なんでもない」
立ち上がろうとすると手首を軽く掴まれる。
「待てって」
振り返る。
千冬の顔から笑みが消えていた。
「今のどういう意味だよ」
「そのまま」
「いや分かんねぇ」
少し黙る。
言ったら面倒くさいと思われるかもしれない。
子どもだと思われるかもしれない。
それでも口は止まらなかった。
「千冬ってさ」
「うん」
「わたしといる時も場地さんのことばっかり」
沈黙。
「……嫉妬してんの?」
あまりに真っ直ぐ言われて視線を逸らす。
「違う」
「違わねぇ顔してる」
即答だった。
「だってしょうがないじゃん」
「なんで」
「千冬楽しそうなんだもん」
千冬が黙る。
「わたしと話してる時より楽しそう」
言ったあとで後悔した。
面倒くさいって思われたかもしれない。
重いって思われたかもしれない。
「……それ本気で言ってる?」
「え」
「俺が?」
千冬の声は思ったより静かだった。
「俺、お前といる時、楽しくねぇ顔してる?」
「そういうわけじゃ」
「じゃあなんだよ」
珍しく少し強い口調だった。
「だって場地さんの話してる時の千冬、本当に嬉しそうだから」
千冬は数秒黙っていた。
それから小さく息を吐く。
「参ったな」
「……何が」
「全然気づかなかった」
◇
「場地さんってさ」
千冬がぽつりと言う。
「俺の人生変えた人なんだよ」
返事はしない。
千冬は続ける。
「東卍入ったのも場地さんがいたからだし」
「うん」
「今の俺があるのもあの人のおかげだと思ってる」
知っている。
きっと誰より。
「だからつい話しちまうんだろうな」
千冬が苦笑する。
「悪気はなかった」
「分かってる」
「でも嫌だった?」
少し考える。
嫌だったわけじゃない。
本当は。
「……羨ましかった」
千冬が目を瞬かせる。
「千冬がそんな顔する相手がいるのが」
「そんな顔?」
「嬉しそうな顔」
千冬が少し困ったように笑う。
「場地さんには勝てねぇぞ」
「勝ちたいわけじゃない」
言葉が零れる。
「ただ……」
喉が詰まる。
「わたしといる時はわたしのこと見てほしい」
言い終わる頃には恥ずかしくなっていた。
顔を逸らす。
「……重いよね」
「全然」
即答だった。
「むしろ安心した」
「え?」
「俺だけじゃなかったんだなって」
「何が?」
「お前が他のやつと楽しそうに話してるとさ」
千冬が視線を逸らす。
「普通に気になる」
「千冬も?」
「するだろ、そりゃ」
意外だった。
千冬はもっと余裕があると思っていた。
「この前だってさ」
「うん?」
「お前クラスの男子と笑ってたじゃん」
「え」
「なんの話してたんだよ」
「プリント配る係一緒だっただけ」
「ふーん」
明らかに納得していない顔。
思わず笑う。
「嫉妬したの?」
「した」
今度も即答だった。
「めちゃくちゃした」
「そんな正直に言う?」
「隠しても意味ねぇし」
千冬は肩をすくめる。
「だからお前の気持ちも分かる」
胸の奥が少しだけ軽くなった。
「でもさ」
千冬が言う。
「場地さんは場地さんなんだよ」
「うん」
「大事だし尊敬してる」
「うん」
「でもお前とは全然違う」
視線が合う。
「比べる相手じゃねぇ」
「……本当に?」
「本当」
千冬は少し考える。
「なんて言えばいいんだろうな」
珍しく言葉を探していた。
「場地さんのこと考える時とお前のこと考える時って、頭の使う場所が違う」
「なにそれ」
「いやマジで」
千冬が笑う。
「場地さんは憧れとか尊敬とか」
「うん」
「お前は」
言葉が途切れる。
「……なんだろ」
「分からないの?」
「分かるけど恥ずい」
「言って」
「嫌だ」
「言って」
「なんでお前急に強気なんだよ」
少し笑う。
さっきまでの重たい空気が少しずつ薄れていく。
「……大事」
千冬が小さく言う。
「めちゃくちゃ大事」
「うん」
「だから嫉妬されると普通に嬉しい」
「嬉しいの?」
「好かれてんだなって思うし」
「単純」
「悪かったな」
ふたりで笑う。
「でも俺も気をつける」
「何を?」
「場地さんの話ばっかしない」
「無理しなくていいよ」
「いや無理じゃねぇよ」
千冬が少し真面目な顔になる。
「お前といる時間なんだから」
胸が熱くなる。
「ちゃんとお前の話する」
「……何話すの」
「好きな食いもんとか」
「急に浅い」
「じゃあ好きな映画」
「もっと浅い」
「難しいな」
千冬が頭を掻く。
「でも知りたいんだよ」
「え?」
「お前のこと」
その一言に息が止まる。
「俺、場地さんの話ばっかしてたけどさ」
千冬が少し笑う。
「お前の話、聞くの好きなんだよな」
「……知らなかった」
「言ってねぇもん」
「なんで」
「恥ずいから」
まただ。
千冬は時々こういうことをさらっと言う。
「じゃあ質問」
「なに」
「今食いたいもん」
「突然すぎる」
「いいから」
少し考える。
「オムライス」
「子どもか」
「千冬が聞いたんでしょ」
「俺はペヤング」
「結局そこに戻るんだ」
お互いに笑う。
本当にくだらない会話だった。
でも、きっとこういう時間が欲しかった。
「なあ」
「ん?」
「もしまた場地さんの話しすぎてたら言って」
「うん」
「遠慮すんなよ」
「分かった」
「あと」
千冬がこちらを見る。
「嫉妬したらちゃんと言え」
「無理」
「なんでだよ」
「恥ずかしいから」
「俺は言ったぞ」
「千冬は正直すぎるの」
「お前が溜め込むんだよ」
図星だった。
「……努力します」
「よし」
千冬が満足そうに頷く。
少しの沈黙。
「でもさ」
「ん?」
「ちょっと安心した」
「何が?」
「お前も嫉妬するんだなって」
「するよ」
「へぇ」
「千冬のこと好きだから」
言った瞬間に後悔した。
何を言ってるんだろう。
顔が熱い。
「……反則だろそれ」
千冬が小さく呟く。
「なんで?」
「こっちの心臓がもたねぇ」
「千冬でもそういうことあるんだ」
「あるに決まってんだろ」
視線が合う。
少しだけ照れた顔。
その顔を見て思う。
ああ、ちゃんとこっちを見てくれている。
「なあななし」
「なに?」
「今日から気をつけるけど」
「うん」
「たまには場地さんの話してもいい?」
思わず笑う。
「少しなら」
「厳しいな」
「だってまた始まるもん」
「二回まで」
「三回までいいよ」
「交渉成立」
千冬が笑う。
「でもその代わり」
「ん?」
「お前の話も聞かせろよ」
「わたしの?」
「好きなもんでも嫌いなもんでも」
千冬が言う。
「もっと知りたい」
その言葉が嬉しかった。
場地圭介にはなれない。
なる必要もない。
千冬の中にある大切な場所を奪いたいわけじゃない。
ただ、その隣に自分の場所もあればいい。
「じゃあ最初の質問」
「なに?」
「今、一番好きな人は?」
「は?」
「ほら答えて」
「分かって聞いてるだろ」
「ちゃんと言葉にして」
千冬が顔をしかめる。
「面倒くせぇな」
「言って」
「……お前」
ぶっきらぼうな声。
けれど耳まで赤い。
「もう一回」
「調子乗んな」
「聞こえなかった」
「嘘つけ」
笑い声が重なる。
そのあと千冬は小さく付け足した。
「だから安心しろ」
「うん」
「ちゃんと見てる」
今度こそ。
胸の奥の小さな棘は綺麗になくなっていた。
そう言って千冬が身を乗り出した時点で、もう何の話かはだいたい分かっていた。
「場地さんがさ、この前またペヤングの超大盛り食っててさ」
「うん」
「しかも昼飯食ったあとだぞ? ありえなくね?」
「すごいね」
「だろ? しかも食い終わったあと腹減ったって言うんだよ」
千冬は楽しそうに笑う。
その顔を見るたびに思う。
ああ、本当に好きなんだなと。
もちろん恋愛とかそういう意味じゃないことくらい分かっている。
……分かっている。
「あと場地さん字めちゃくちゃ汚ぇんだよな」
「それも前に聞いた」
「あれ、話したっけ」
「三回くらい」
「マジ?」
けらけら笑う千冬につられて笑う。
けれど胸の奥に小さな棘が残る。
「でもさ、あの字なのにテストは意外といけるんだよな」
「へえ」
「なんでだろ」
「知らないよ」
少しだけ声が尖った。
千冬が目を丸くする。
「悪い、なんか機嫌悪かった?」
「別に」
そう返したものの千冬は首を傾げたままだった。
「……また場地さん?」
「ん?」
「今日五回目」
千冬が指を折る。
「そんな話してる?」
「してる」
場地さんがどうした。
場地さんがこう言ってた。
場地さんならこうする。
気づけば話題の真ん中にはいつも場地圭介がいる。
「だって場地さんかっけーし」
「うん」
「尊敬してるし」
「うん」
「恩人だしな」
分かっている。
それくらい知っている。
千冬にとって場地圭介がどれだけ大きな存在なのか。
それでも……
「……わたしといる時くらい別の話してよ」
ぽつりと落ちた言葉に千冬が瞬きをした。
「え?」
「……なんでもない」
立ち上がろうとすると手首を軽く掴まれる。
「待てって」
振り返る。
千冬の顔から笑みが消えていた。
「今のどういう意味だよ」
「そのまま」
「いや分かんねぇ」
少し黙る。
言ったら面倒くさいと思われるかもしれない。
子どもだと思われるかもしれない。
それでも口は止まらなかった。
「千冬ってさ」
「うん」
「わたしといる時も場地さんのことばっかり」
沈黙。
「……嫉妬してんの?」
あまりに真っ直ぐ言われて視線を逸らす。
「違う」
「違わねぇ顔してる」
即答だった。
「だってしょうがないじゃん」
「なんで」
「千冬楽しそうなんだもん」
千冬が黙る。
「わたしと話してる時より楽しそう」
言ったあとで後悔した。
面倒くさいって思われたかもしれない。
重いって思われたかもしれない。
「……それ本気で言ってる?」
「え」
「俺が?」
千冬の声は思ったより静かだった。
「俺、お前といる時、楽しくねぇ顔してる?」
「そういうわけじゃ」
「じゃあなんだよ」
珍しく少し強い口調だった。
「だって場地さんの話してる時の千冬、本当に嬉しそうだから」
千冬は数秒黙っていた。
それから小さく息を吐く。
「参ったな」
「……何が」
「全然気づかなかった」
◇
「場地さんってさ」
千冬がぽつりと言う。
「俺の人生変えた人なんだよ」
返事はしない。
千冬は続ける。
「東卍入ったのも場地さんがいたからだし」
「うん」
「今の俺があるのもあの人のおかげだと思ってる」
知っている。
きっと誰より。
「だからつい話しちまうんだろうな」
千冬が苦笑する。
「悪気はなかった」
「分かってる」
「でも嫌だった?」
少し考える。
嫌だったわけじゃない。
本当は。
「……羨ましかった」
千冬が目を瞬かせる。
「千冬がそんな顔する相手がいるのが」
「そんな顔?」
「嬉しそうな顔」
千冬が少し困ったように笑う。
「場地さんには勝てねぇぞ」
「勝ちたいわけじゃない」
言葉が零れる。
「ただ……」
喉が詰まる。
「わたしといる時はわたしのこと見てほしい」
言い終わる頃には恥ずかしくなっていた。
顔を逸らす。
「……重いよね」
「全然」
即答だった。
「むしろ安心した」
「え?」
「俺だけじゃなかったんだなって」
「何が?」
「お前が他のやつと楽しそうに話してるとさ」
千冬が視線を逸らす。
「普通に気になる」
「千冬も?」
「するだろ、そりゃ」
意外だった。
千冬はもっと余裕があると思っていた。
「この前だってさ」
「うん?」
「お前クラスの男子と笑ってたじゃん」
「え」
「なんの話してたんだよ」
「プリント配る係一緒だっただけ」
「ふーん」
明らかに納得していない顔。
思わず笑う。
「嫉妬したの?」
「した」
今度も即答だった。
「めちゃくちゃした」
「そんな正直に言う?」
「隠しても意味ねぇし」
千冬は肩をすくめる。
「だからお前の気持ちも分かる」
胸の奥が少しだけ軽くなった。
「でもさ」
千冬が言う。
「場地さんは場地さんなんだよ」
「うん」
「大事だし尊敬してる」
「うん」
「でもお前とは全然違う」
視線が合う。
「比べる相手じゃねぇ」
「……本当に?」
「本当」
千冬は少し考える。
「なんて言えばいいんだろうな」
珍しく言葉を探していた。
「場地さんのこと考える時とお前のこと考える時って、頭の使う場所が違う」
「なにそれ」
「いやマジで」
千冬が笑う。
「場地さんは憧れとか尊敬とか」
「うん」
「お前は」
言葉が途切れる。
「……なんだろ」
「分からないの?」
「分かるけど恥ずい」
「言って」
「嫌だ」
「言って」
「なんでお前急に強気なんだよ」
少し笑う。
さっきまでの重たい空気が少しずつ薄れていく。
「……大事」
千冬が小さく言う。
「めちゃくちゃ大事」
「うん」
「だから嫉妬されると普通に嬉しい」
「嬉しいの?」
「好かれてんだなって思うし」
「単純」
「悪かったな」
ふたりで笑う。
「でも俺も気をつける」
「何を?」
「場地さんの話ばっかしない」
「無理しなくていいよ」
「いや無理じゃねぇよ」
千冬が少し真面目な顔になる。
「お前といる時間なんだから」
胸が熱くなる。
「ちゃんとお前の話する」
「……何話すの」
「好きな食いもんとか」
「急に浅い」
「じゃあ好きな映画」
「もっと浅い」
「難しいな」
千冬が頭を掻く。
「でも知りたいんだよ」
「え?」
「お前のこと」
その一言に息が止まる。
「俺、場地さんの話ばっかしてたけどさ」
千冬が少し笑う。
「お前の話、聞くの好きなんだよな」
「……知らなかった」
「言ってねぇもん」
「なんで」
「恥ずいから」
まただ。
千冬は時々こういうことをさらっと言う。
「じゃあ質問」
「なに」
「今食いたいもん」
「突然すぎる」
「いいから」
少し考える。
「オムライス」
「子どもか」
「千冬が聞いたんでしょ」
「俺はペヤング」
「結局そこに戻るんだ」
お互いに笑う。
本当にくだらない会話だった。
でも、きっとこういう時間が欲しかった。
「なあ」
「ん?」
「もしまた場地さんの話しすぎてたら言って」
「うん」
「遠慮すんなよ」
「分かった」
「あと」
千冬がこちらを見る。
「嫉妬したらちゃんと言え」
「無理」
「なんでだよ」
「恥ずかしいから」
「俺は言ったぞ」
「千冬は正直すぎるの」
「お前が溜め込むんだよ」
図星だった。
「……努力します」
「よし」
千冬が満足そうに頷く。
少しの沈黙。
「でもさ」
「ん?」
「ちょっと安心した」
「何が?」
「お前も嫉妬するんだなって」
「するよ」
「へぇ」
「千冬のこと好きだから」
言った瞬間に後悔した。
何を言ってるんだろう。
顔が熱い。
「……反則だろそれ」
千冬が小さく呟く。
「なんで?」
「こっちの心臓がもたねぇ」
「千冬でもそういうことあるんだ」
「あるに決まってんだろ」
視線が合う。
少しだけ照れた顔。
その顔を見て思う。
ああ、ちゃんとこっちを見てくれている。
「なあななし」
「なに?」
「今日から気をつけるけど」
「うん」
「たまには場地さんの話してもいい?」
思わず笑う。
「少しなら」
「厳しいな」
「だってまた始まるもん」
「二回まで」
「三回までいいよ」
「交渉成立」
千冬が笑う。
「でもその代わり」
「ん?」
「お前の話も聞かせろよ」
「わたしの?」
「好きなもんでも嫌いなもんでも」
千冬が言う。
「もっと知りたい」
その言葉が嬉しかった。
場地圭介にはなれない。
なる必要もない。
千冬の中にある大切な場所を奪いたいわけじゃない。
ただ、その隣に自分の場所もあればいい。
「じゃあ最初の質問」
「なに?」
「今、一番好きな人は?」
「は?」
「ほら答えて」
「分かって聞いてるだろ」
「ちゃんと言葉にして」
千冬が顔をしかめる。
「面倒くせぇな」
「言って」
「……お前」
ぶっきらぼうな声。
けれど耳まで赤い。
「もう一回」
「調子乗んな」
「聞こえなかった」
「嘘つけ」
笑い声が重なる。
そのあと千冬は小さく付け足した。
「だから安心しろ」
「うん」
「ちゃんと見てる」
今度こそ。
胸の奥の小さな棘は綺麗になくなっていた。
