ハーツラビュル
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ほらよ、ななし。これやるよ」
放課後のオンボロ寮。エースが肩に担いでいた大きなショップ袋を、ななしの目の前にどさりと置いた。その衝撃で袋から色鮮やかな赤と、落ち着いた紺色の衣類が顔を出す。
「え、これ何?」
「見てわかんねーの? 服。お前、こっち来た時マジで何も持ってなかっただろ。いつまでも寮の支給品ばっかじゃ、色気もクソもねーしさ」
隣に立つデュースも、少し照れくさそうに頬を掻きながら頷く。
「……僕たちのお下がりだ。この前、エースと衣替えをしていてな。まだ着られるが、少しサイズが合わなくなったものをまとめてきた。……迷惑じゃなければ使ってほしい」
「いいの? 二人の服、なんだか嬉しい!」
「へへっ、感謝しろよ? ちゃんと洗濯してあっから。柔軟剤もいい匂いのやつにしてやったし」
「僕のもだ。……少し、ななしには大きいかもしれないが」
エースが袋から一枚の真っ赤なパーカーを引っ張り出し、ななしの頭から強引に被せた。
「あ、ちょっと、前が見えない!」
「いいから着てみろって。ほら、袖通せ。……お、やっぱりちょっとデケえな」
パーカーの裾からななしの顔がひょこっと出ると、エースとデュースが同時に、ふっと息を呑んだのがわかった。
「……どう? 似合ってる?」
ななしがぐるぐると腕を回してみる。エースの手首まであったはずの袖は、ななしの指先を完全に隠して、だらりと垂れ下がっている。
「似合ってるっていうか……なんか、借りてきた猫みたいだな」
エースが笑いながら、ななしの頭をぐりぐりと撫でる。その手のひらから伝わる熱と、鼻腔をくすぐるエースの愛用している洗剤の香りが、じわじわと身体の芯まで染み込んでくる。
「あ、ずるいぞエース。次は僕のシャツも試してくれ」
デュースがななしの肩に手をかけ、自分の方へと引き寄せる。エースの熱が離れたかと思えば、今度はデュースの少し石鹸に近い香りがななしを包み込んだ。
「ほら、襟が曲がっている。……じっとしていてくれ」
デュースの長い指が、ななしの首元に触れる。ボタンを留める手つきは真剣そのもので、至近距離で見つめ合う形になると彼の瞳に映る自分の姿が嫌でも目に入る。デュースの指先がかすかに震えているような気がして、ななしの鼓動もドクドクと熱を帯び始めた。
「……ねえ、二人とも。なんだか今日、すごく近いよ」
「……あ? そうか? 部屋が狭いからじゃねーの」
エースが反対側からななしの腰を支えるように手を添える。逃げ場のない二人の熱に挟まれて、ななしは自分の体温がどんどん上がっていくのを感じた。
ななしの意識は、視界に入る彼らの制服の乱れや、真剣すぎる瞳の輝きに支配される。彼らがくれた服は、まるで鎖のように、あるいは愛しい束縛のように、ななしをこの世界に彼らの隣に繋ぎ止めていた。
「ななし」
名前を呼ぶ二人の声が重なる。
その響きには、単なる友人への親愛を超えた独占欲に似た揺らぎが含まれている。
「……これ、脱ぎたくなくなっちゃった。なんだか、二人がずっとそばにいてくれるみたい」
ななしが袖を顔に寄せて小さく笑うと、エースが満足げに目を細め、デュースが困ったように、けれど愛おしそうに眉を下げた。
「いいよ、そのまま。お前がそれを着てる間は、オレたちが守ってやってるみたいで気分いいし。……一生返さなくていいからさ」
「……エースと同じ意見なのは癪だが。僕も、それが君に馴染んでいくのを見ていたい。これからは寮にいる間、僕たちの色でいてくれたら嬉しい」
彼らの視線がななしの肌を、服を、内側まで見透かすように深く刺さる。友情という言葉で蓋をするにはあまりに熱い、どろりとした感情の渦。ななしは、彼らのお下がりに包まれたまま、ただ心地よい重みに身を任せる。
手ぶらで迷い込んだこの世界で、ななしは彼らの色に染まりながら、確かな居場所をその胸の中に感じていた。
放課後のオンボロ寮。エースが肩に担いでいた大きなショップ袋を、ななしの目の前にどさりと置いた。その衝撃で袋から色鮮やかな赤と、落ち着いた紺色の衣類が顔を出す。
「え、これ何?」
「見てわかんねーの? 服。お前、こっち来た時マジで何も持ってなかっただろ。いつまでも寮の支給品ばっかじゃ、色気もクソもねーしさ」
隣に立つデュースも、少し照れくさそうに頬を掻きながら頷く。
「……僕たちのお下がりだ。この前、エースと衣替えをしていてな。まだ着られるが、少しサイズが合わなくなったものをまとめてきた。……迷惑じゃなければ使ってほしい」
「いいの? 二人の服、なんだか嬉しい!」
「へへっ、感謝しろよ? ちゃんと洗濯してあっから。柔軟剤もいい匂いのやつにしてやったし」
「僕のもだ。……少し、ななしには大きいかもしれないが」
エースが袋から一枚の真っ赤なパーカーを引っ張り出し、ななしの頭から強引に被せた。
「あ、ちょっと、前が見えない!」
「いいから着てみろって。ほら、袖通せ。……お、やっぱりちょっとデケえな」
パーカーの裾からななしの顔がひょこっと出ると、エースとデュースが同時に、ふっと息を呑んだのがわかった。
「……どう? 似合ってる?」
ななしがぐるぐると腕を回してみる。エースの手首まであったはずの袖は、ななしの指先を完全に隠して、だらりと垂れ下がっている。
「似合ってるっていうか……なんか、借りてきた猫みたいだな」
エースが笑いながら、ななしの頭をぐりぐりと撫でる。その手のひらから伝わる熱と、鼻腔をくすぐるエースの愛用している洗剤の香りが、じわじわと身体の芯まで染み込んでくる。
「あ、ずるいぞエース。次は僕のシャツも試してくれ」
デュースがななしの肩に手をかけ、自分の方へと引き寄せる。エースの熱が離れたかと思えば、今度はデュースの少し石鹸に近い香りがななしを包み込んだ。
「ほら、襟が曲がっている。……じっとしていてくれ」
デュースの長い指が、ななしの首元に触れる。ボタンを留める手つきは真剣そのもので、至近距離で見つめ合う形になると彼の瞳に映る自分の姿が嫌でも目に入る。デュースの指先がかすかに震えているような気がして、ななしの鼓動もドクドクと熱を帯び始めた。
「……ねえ、二人とも。なんだか今日、すごく近いよ」
「……あ? そうか? 部屋が狭いからじゃねーの」
エースが反対側からななしの腰を支えるように手を添える。逃げ場のない二人の熱に挟まれて、ななしは自分の体温がどんどん上がっていくのを感じた。
ななしの意識は、視界に入る彼らの制服の乱れや、真剣すぎる瞳の輝きに支配される。彼らがくれた服は、まるで鎖のように、あるいは愛しい束縛のように、ななしをこの世界に彼らの隣に繋ぎ止めていた。
「ななし」
名前を呼ぶ二人の声が重なる。
その響きには、単なる友人への親愛を超えた独占欲に似た揺らぎが含まれている。
「……これ、脱ぎたくなくなっちゃった。なんだか、二人がずっとそばにいてくれるみたい」
ななしが袖を顔に寄せて小さく笑うと、エースが満足げに目を細め、デュースが困ったように、けれど愛おしそうに眉を下げた。
「いいよ、そのまま。お前がそれを着てる間は、オレたちが守ってやってるみたいで気分いいし。……一生返さなくていいからさ」
「……エースと同じ意見なのは癪だが。僕も、それが君に馴染んでいくのを見ていたい。これからは寮にいる間、僕たちの色でいてくれたら嬉しい」
彼らの視線がななしの肌を、服を、内側まで見透かすように深く刺さる。友情という言葉で蓋をするにはあまりに熱い、どろりとした感情の渦。ななしは、彼らのお下がりに包まれたまま、ただ心地よい重みに身を任せる。
手ぶらで迷い込んだこの世界で、ななしは彼らの色に染まりながら、確かな居場所をその胸の中に感じていた。
