ディアソムニア
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「おい、ななし!」
「なに?」
「貴様、またそのような弛んだ顔をして……!」
「あーもう、うるさいなあ」
「ナイトレイブンカレッジの生徒としての自覚が足りないのではないか!?」
放課後の廊下にセベクの怒号が響き渡る。
「そんな大声出さないでよ」
「なんだその態度は!僕は貴様の身を案じて言っているのだ!」
「はいはい、ありがとう」
「先ほどの講義中も窓の外を眺めていただろう!」
セベクは腕を組み、フンと鼻を鳴らす。
そのくせ、ななしが抱えていた厚い魔導書の束へ手を伸ばすと、半ば強引に奪い取って自分の腕に抱え込んだ。
「ちょっと、自分で持てるんだけど」
「軟弱な貴様がふらふら歩いていては邪魔になるだろう!」
「別にふらふらしてないって」
「効率化のためだ、勘違いするな!」
「なんだかんだ言って、セベクは優しいね」
ななしが笑いかけると、セベクの動きがぴたりと止まった。
視線が定まらないまま、あからさまにうろたえている。
「な……な、何を馬鹿なことを!」
「えー、親切心で持ってくれたんでしょ?」
「貴様などに優しくする理由などない!」
吠えるような声を上げながら、セベクは背を向けて歩き出した。
それでも踏み出す歩幅はいつもよりずっと狭く、ななしの足取りに合わせてゆっくり進んでいる。
「待ってよ、セベク」
「うるさい!」
「あ、そうだ! 昨日クッキー焼いたんだけど食べる?」
「……それは貴様が作ったものか?」
セベクは足を止め、半分だけ振り返った。
「うん。嫌なら無理にとは言わないけど」
「……せっかくだ、僕が毒見をしてやろう」
「そんなこと言って、実はお腹すいてるんでしょ?」
「うるさい! これはあくまで義務だ!」
そう言いながら受け取った小袋を抱え、セベクは何やらブツブツと呟き始める。
「……若様にも半分献上……いや、これは貴様が僕に」
「もー、何をブツブツ言ってるの」
「……くっ、これは僕が責任を持って完食する!」
「あとで感想教えてね」
「……気が向いたらな!」
そう語りながらも、セベクは気まずそうにほんの少し顔を背けた。
「そうだ、明日の予習も一緒にやらない?」
「……貴様がどうしてもと言うなら、考えてやらんこともない」
大きな声で言い返しながらも、セベクの手はしっかりと荷物を抱えたままだ。二人の影が、夕暮れの廊下に長く伸びていた。
「なに?」
「貴様、またそのような弛んだ顔をして……!」
「あーもう、うるさいなあ」
「ナイトレイブンカレッジの生徒としての自覚が足りないのではないか!?」
放課後の廊下にセベクの怒号が響き渡る。
「そんな大声出さないでよ」
「なんだその態度は!僕は貴様の身を案じて言っているのだ!」
「はいはい、ありがとう」
「先ほどの講義中も窓の外を眺めていただろう!」
セベクは腕を組み、フンと鼻を鳴らす。
そのくせ、ななしが抱えていた厚い魔導書の束へ手を伸ばすと、半ば強引に奪い取って自分の腕に抱え込んだ。
「ちょっと、自分で持てるんだけど」
「軟弱な貴様がふらふら歩いていては邪魔になるだろう!」
「別にふらふらしてないって」
「効率化のためだ、勘違いするな!」
「なんだかんだ言って、セベクは優しいね」
ななしが笑いかけると、セベクの動きがぴたりと止まった。
視線が定まらないまま、あからさまにうろたえている。
「な……な、何を馬鹿なことを!」
「えー、親切心で持ってくれたんでしょ?」
「貴様などに優しくする理由などない!」
吠えるような声を上げながら、セベクは背を向けて歩き出した。
それでも踏み出す歩幅はいつもよりずっと狭く、ななしの足取りに合わせてゆっくり進んでいる。
「待ってよ、セベク」
「うるさい!」
「あ、そうだ! 昨日クッキー焼いたんだけど食べる?」
「……それは貴様が作ったものか?」
セベクは足を止め、半分だけ振り返った。
「うん。嫌なら無理にとは言わないけど」
「……せっかくだ、僕が毒見をしてやろう」
「そんなこと言って、実はお腹すいてるんでしょ?」
「うるさい! これはあくまで義務だ!」
そう言いながら受け取った小袋を抱え、セベクは何やらブツブツと呟き始める。
「……若様にも半分献上……いや、これは貴様が僕に」
「もー、何をブツブツ言ってるの」
「……くっ、これは僕が責任を持って完食する!」
「あとで感想教えてね」
「……気が向いたらな!」
そう語りながらも、セベクは気まずそうにほんの少し顔を背けた。
「そうだ、明日の予習も一緒にやらない?」
「……貴様がどうしてもと言うなら、考えてやらんこともない」
大きな声で言い返しながらも、セベクの手はしっかりと荷物を抱えたままだ。二人の影が、夕暮れの廊下に長く伸びていた。
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