ハーツラビュル
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「……また、ルールを破ったね」
静まり返ったハーツラビュル寮長室。
重厚なデスクに座るリドル・ローズハートは手にしたペンを置くと、ゆっくりと顔を上げた。その瞳にはいつもの厳格さに加えてドロリとした暗い熱が混じっている。
「違うんです、リドル先輩。ただ、中庭で他のクラスの友だちと……」
「友だち? 男子生徒だろう。彼と15分も話し込んでいたね?そんなのルール違反だ」
そんなルール聞いたこともない。
そもそも私はここの寮生でもない。
けれど今の彼に反論することは自ら首を差し出すのと同じだった。
リドルは椅子から立ち上がると一歩また一歩と距離を詰めてくる。
彼は私より少しだけ背が低いはずなのに、その威圧感に射すくめられ私は壁際まで後退するしかなかった。
「キミは、ボクがどれだけキミを管理するために心を砕いているか、分かっていないようだ」
逃げ場を塞ぐようにリドルが壁に手を突く。
至近距離で見つめる彼の顔は酷く美しく、そして狂おしいほどに歪んでいた。
「ボクの許可なく笑い、ボクの知らない場所で誰かの目に触れる。……そんな不確かなことが許されると思っているのかい?」
「先輩、少し落ち着いて……」
「落ち着いているさ。これでもね」
リドルは私の頬にそっと手を添えた。
その指先は驚くほど冷たく、けれど頬をなぞる動きは壊れ物を扱うように執拗で優しい。
「キミはボクが作った完璧なスケジュール通りに動き、ボクが選んだ服を着て、ボクが与える知識だけを吸収していればいいんだ。そうすれば、キミは一生、汚れもせず、傷つきもしない……ボクだけのモノでいられる」
彼の指が私の唇をゆっくりと、強く押し潰すように辿る。
「……ねえ。首輪をかけられるのと、ここでボクに従うのとどちらがいい?」
その問いに選択肢など存在しない。
リドルは私の耳元に顔を寄せ、熱を帯びた吐息とともに呪文のように甘い言葉を囁いた。
「大丈夫。ボクの言うことさえ聞いていれば、何も怖くない。キミの自由も、心も未来も……全部ボクが正しく管理してあげるから」
彼の瞳の奥で真っ赤な薔薇が不気味に咲き誇っている。
それは愛という名の絶対に逃れることのできない、美しくも残酷な牢獄だった。
「さあ返事は? ……『はい、寮長』だろう?」
私は震える唇でその言葉を紡ぐしかなかった。
彼が満足そうに目を細め、深い口づけを落とす。
その瞬間、私の世界は赤一色に塗りつぶされていった。
静まり返ったハーツラビュル寮長室。
重厚なデスクに座るリドル・ローズハートは手にしたペンを置くと、ゆっくりと顔を上げた。その瞳にはいつもの厳格さに加えてドロリとした暗い熱が混じっている。
「違うんです、リドル先輩。ただ、中庭で他のクラスの友だちと……」
「友だち? 男子生徒だろう。彼と15分も話し込んでいたね?そんなのルール違反だ」
そんなルール聞いたこともない。
そもそも私はここの寮生でもない。
けれど今の彼に反論することは自ら首を差し出すのと同じだった。
リドルは椅子から立ち上がると一歩また一歩と距離を詰めてくる。
彼は私より少しだけ背が低いはずなのに、その威圧感に射すくめられ私は壁際まで後退するしかなかった。
「キミは、ボクがどれだけキミを管理するために心を砕いているか、分かっていないようだ」
逃げ場を塞ぐようにリドルが壁に手を突く。
至近距離で見つめる彼の顔は酷く美しく、そして狂おしいほどに歪んでいた。
「ボクの許可なく笑い、ボクの知らない場所で誰かの目に触れる。……そんな不確かなことが許されると思っているのかい?」
「先輩、少し落ち着いて……」
「落ち着いているさ。これでもね」
リドルは私の頬にそっと手を添えた。
その指先は驚くほど冷たく、けれど頬をなぞる動きは壊れ物を扱うように執拗で優しい。
「キミはボクが作った完璧なスケジュール通りに動き、ボクが選んだ服を着て、ボクが与える知識だけを吸収していればいいんだ。そうすれば、キミは一生、汚れもせず、傷つきもしない……ボクだけのモノでいられる」
彼の指が私の唇をゆっくりと、強く押し潰すように辿る。
「……ねえ。首輪をかけられるのと、ここでボクに従うのとどちらがいい?」
その問いに選択肢など存在しない。
リドルは私の耳元に顔を寄せ、熱を帯びた吐息とともに呪文のように甘い言葉を囁いた。
「大丈夫。ボクの言うことさえ聞いていれば、何も怖くない。キミの自由も、心も未来も……全部ボクが正しく管理してあげるから」
彼の瞳の奥で真っ赤な薔薇が不気味に咲き誇っている。
それは愛という名の絶対に逃れることのできない、美しくも残酷な牢獄だった。
「さあ返事は? ……『はい、寮長』だろう?」
私は震える唇でその言葉を紡ぐしかなかった。
彼が満足そうに目を細め、深い口づけを落とす。
その瞬間、私の世界は赤一色に塗りつぶされていった。
