イグニハイド
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部屋に二人の静かな息遣いだけが残る。
浮かぶモニターの光がソファにもたれた二人をぼんやりと照らしていた。
イデアは深く息をつくと、隣にいるななしの手をそっと取る。
「……はぁ」
困ったように笑って、その手を自分の胸元へ導いた。
「君のせいで、拙者の心拍数がおかしいんだけど」
イデアは少し照れくさそうに目をそらす。
「これ、完全に処理能力超えてるやつ」
「そんなにですか?」
ななしは少し驚いたように笑い、そっとイデアの胸元へ手を添えた。
「本当だ……すごく速いですね」
「だから言ったでしょ」
イデアは気まずそうに頬をかきながら、小さく視線を泳がせる。
「普段ならこんなことないんだけど」
「緊張してるんですか?」
「……してる」
あっさり認めると、ななしは思わず目を丸くした。
「イデア先輩でも緊張するんですね」
「するに決まってるでしょ」
イデアは少しむっとした顔を向ける。
「ゲームなら攻略情報探せば済むけど、こういうのは前例がないんです」
「前例?」
「君とこうして近くにいるたびに、毎回新しい不具合が見つかる」
「わたしが原因なんですね」
「……そう、認めたくないけど全部君のせい」
照れ隠しのように顔を背けながらも、握った手だけは離さない。
「手も熱いですね」
「……言わないで」
小さく返した声には、いつもの余裕はなかった。
◇
しばらく静かな時間が流れる。
モニターの駆動音だけが部屋に響き、どちらも何も話さない。
やがてななしが遠慮がちに口を開いた。
「……イデア先輩」
「ん?」
「もう一回だけ」
ななしが少し照れたように笑い、イデアは一瞬だけ固まる。
「……注文、多くない?」
ぶつぶつ文句を言いながらも、その表情はどこか柔らかい。
「拙者、基本サービス最低限なんだけど」
「そうですか?」
「……そうデス」
言葉とは裏腹にイデアは少しだけ距離を縮めた。
「でも、君がそんな顔するなら、断れないじゃん」
その声は照れを隠しきれず、少しかすれていた。
ななしが笑うと、イデアもつられて口元を緩める。
「……今日は、もう少しだけこのままでいて」
「はい」
穏やかな返事が返ってくる。
その一言だけで、胸の奥が少し軽くなった。
「……いい?」
イデアは少し恥ずかしそうに目を伏せる。
「今日はログアウト禁止」
「イデア先輩らしい言い方ですね」
「褒め言葉として受け取っておきますぞ」
イデアがそう返すと、ななしは小さく笑った。
その笑い声につられるように、イデアも肩の力を抜く。
モニターの淡い光に照らされた部屋は、いつもと変わらない静けさのままだった。
けれど隣に誰かがいるだけで、その空気は少しだけ温かく感じられた。
浮かぶモニターの光がソファにもたれた二人をぼんやりと照らしていた。
イデアは深く息をつくと、隣にいるななしの手をそっと取る。
「……はぁ」
困ったように笑って、その手を自分の胸元へ導いた。
「君のせいで、拙者の心拍数がおかしいんだけど」
イデアは少し照れくさそうに目をそらす。
「これ、完全に処理能力超えてるやつ」
「そんなにですか?」
ななしは少し驚いたように笑い、そっとイデアの胸元へ手を添えた。
「本当だ……すごく速いですね」
「だから言ったでしょ」
イデアは気まずそうに頬をかきながら、小さく視線を泳がせる。
「普段ならこんなことないんだけど」
「緊張してるんですか?」
「……してる」
あっさり認めると、ななしは思わず目を丸くした。
「イデア先輩でも緊張するんですね」
「するに決まってるでしょ」
イデアは少しむっとした顔を向ける。
「ゲームなら攻略情報探せば済むけど、こういうのは前例がないんです」
「前例?」
「君とこうして近くにいるたびに、毎回新しい不具合が見つかる」
「わたしが原因なんですね」
「……そう、認めたくないけど全部君のせい」
照れ隠しのように顔を背けながらも、握った手だけは離さない。
「手も熱いですね」
「……言わないで」
小さく返した声には、いつもの余裕はなかった。
◇
しばらく静かな時間が流れる。
モニターの駆動音だけが部屋に響き、どちらも何も話さない。
やがてななしが遠慮がちに口を開いた。
「……イデア先輩」
「ん?」
「もう一回だけ」
ななしが少し照れたように笑い、イデアは一瞬だけ固まる。
「……注文、多くない?」
ぶつぶつ文句を言いながらも、その表情はどこか柔らかい。
「拙者、基本サービス最低限なんだけど」
「そうですか?」
「……そうデス」
言葉とは裏腹にイデアは少しだけ距離を縮めた。
「でも、君がそんな顔するなら、断れないじゃん」
その声は照れを隠しきれず、少しかすれていた。
ななしが笑うと、イデアもつられて口元を緩める。
「……今日は、もう少しだけこのままでいて」
「はい」
穏やかな返事が返ってくる。
その一言だけで、胸の奥が少し軽くなった。
「……いい?」
イデアは少し恥ずかしそうに目を伏せる。
「今日はログアウト禁止」
「イデア先輩らしい言い方ですね」
「褒め言葉として受け取っておきますぞ」
イデアがそう返すと、ななしは小さく笑った。
その笑い声につられるように、イデアも肩の力を抜く。
モニターの淡い光に照らされた部屋は、いつもと変わらない静けさのままだった。
けれど隣に誰かがいるだけで、その空気は少しだけ温かく感じられた。
