イグニハイド
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青白いモニターの光が部屋を照らす。
壁際に並ぶ機材やフィギュアの影が揺れ、その中央でイデアはゲーミングチェアに深くもたれかかっていた。
フードの奥から見上げた先には、差し入れを抱えたななしが立っている。
「……はぁ」
イデアがわざとらしく息をつく。
「こんな陰キャの部屋まで来るなんて、ななし氏は物好きだよね。拙者のHPなんて、とっくに瀕死なんだけど」
そう言いながらも、視線はモニターではなくななしへ向いていた。
「そんな言い方しないでください」
差し入れを机へ置きながらななしが笑う。
「イデア先輩に会いに来たかっただけです」
「……そういうこと、簡単に言わないで」
イデアは照れ隠しのように顔を背けた。
「リアルでそういうセリフ聞く耐性ないんだから」
「そんなにですか?」
「そんなにです」
即答だった。
「クリティカルヒットどころか即ゲームオーバーだから」
ななしは思わず小さく笑う。
「じゃあ、今日は少しだけ加減します」
「いや、それも困る」
「困るんですか?」
「普通にされても困るし、優しくされても困る」
イデアは額を押さえて小さくうめく。
「イデア先輩って、難しい人ですね」
「自覚はあります」
「イデア先輩」
「……ん?」
「こっち向いてください」
返事を待たず、椅子の肘掛けへ手を添える。
自然と距離が近づいた。
イデアは息をのみ、肩を強張らせる。
「……ちょ、近い」
思わず椅子ごと少し後ろへ下がる。
「近すぎるって」
「そうですか?」
「リアルは画面越しと違うんだから……」
視線を合わせられず、落ち着かない様子で髪をかく。
「処理能力、完全に超えてる」
「そんなに緊張します?」
「す、するに決まってるでしょ」
イデアが小さくため息をつく。
「君は平気そうだけど、僕は全然平気じゃない」
「……そんなに嫌ですか?」
「……嫌じゃないから困るんだよ」
「よかった」
「嫌だったら、そもそも部屋に入れてない」
しばらく見つめ合ったあと、イデアは観念したように息を吐くと、照れくさそうに手を伸ばしてななしの手をそっと握った。
「ここは僕のテリトリーなんだから、簡単に帰れると思わないでよ」
「帰してくれないんですか?」
「……もう少しだけ一緒にいてほしい」
「もちろんです」
返事を聞いたイデアは肩の力を抜く。
握った手を離さないまま、少しだけ照れたように続けた。
「……君ってさ、僕の予定を毎回いい意味で狂わせるよね」
「迷惑でした?」
「まさか」
イデアは静かに首を振る。
「むしろ、君だけは特別」
照れを隠すように視線を逸らしながら、それでも手だけは離さなかった。
モニターの光が静かな部屋を照らす。
二人の影は寄り添うように重なり、いつもより少しだけ穏やかな時間が流れていた。
壁際に並ぶ機材やフィギュアの影が揺れ、その中央でイデアはゲーミングチェアに深くもたれかかっていた。
フードの奥から見上げた先には、差し入れを抱えたななしが立っている。
「……はぁ」
イデアがわざとらしく息をつく。
「こんな陰キャの部屋まで来るなんて、ななし氏は物好きだよね。拙者のHPなんて、とっくに瀕死なんだけど」
そう言いながらも、視線はモニターではなくななしへ向いていた。
「そんな言い方しないでください」
差し入れを机へ置きながらななしが笑う。
「イデア先輩に会いに来たかっただけです」
「……そういうこと、簡単に言わないで」
イデアは照れ隠しのように顔を背けた。
「リアルでそういうセリフ聞く耐性ないんだから」
「そんなにですか?」
「そんなにです」
即答だった。
「クリティカルヒットどころか即ゲームオーバーだから」
ななしは思わず小さく笑う。
「じゃあ、今日は少しだけ加減します」
「いや、それも困る」
「困るんですか?」
「普通にされても困るし、優しくされても困る」
イデアは額を押さえて小さくうめく。
「イデア先輩って、難しい人ですね」
「自覚はあります」
「イデア先輩」
「……ん?」
「こっち向いてください」
返事を待たず、椅子の肘掛けへ手を添える。
自然と距離が近づいた。
イデアは息をのみ、肩を強張らせる。
「……ちょ、近い」
思わず椅子ごと少し後ろへ下がる。
「近すぎるって」
「そうですか?」
「リアルは画面越しと違うんだから……」
視線を合わせられず、落ち着かない様子で髪をかく。
「処理能力、完全に超えてる」
「そんなに緊張します?」
「す、するに決まってるでしょ」
イデアが小さくため息をつく。
「君は平気そうだけど、僕は全然平気じゃない」
「……そんなに嫌ですか?」
「……嫌じゃないから困るんだよ」
「よかった」
「嫌だったら、そもそも部屋に入れてない」
しばらく見つめ合ったあと、イデアは観念したように息を吐くと、照れくさそうに手を伸ばしてななしの手をそっと握った。
「ここは僕のテリトリーなんだから、簡単に帰れると思わないでよ」
「帰してくれないんですか?」
「……もう少しだけ一緒にいてほしい」
「もちろんです」
返事を聞いたイデアは肩の力を抜く。
握った手を離さないまま、少しだけ照れたように続けた。
「……君ってさ、僕の予定を毎回いい意味で狂わせるよね」
「迷惑でした?」
「まさか」
イデアは静かに首を振る。
「むしろ、君だけは特別」
照れを隠すように視線を逸らしながら、それでも手だけは離さなかった。
モニターの光が静かな部屋を照らす。
二人の影は寄り添うように重なり、いつもより少しだけ穏やかな時間が流れていた。
