ハーツラビュル
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「リドル先輩」
名前を呼ぶと、本から視線を上げたリドルは小さく息をついた。
「やっと来たね」
「お待たせしましたか?」
「三分二十七秒」
「そんなに正確に把握してるんですか!?」
「当たり前だろう? ボクを誰だと思っているんだい」
少しだけ口元を緩める彼を見て、つられて笑みがこぼれる。
近くの椅子へ腰を下ろすと、リドルは持っていた本を静かに机の端へ置いた。
「作業は終わったんですか?」
「一区切りしたところさ。集中力も切れてしまったからね」
「じゃあ休憩しますか?」
「そうだね」
◇
「そう言えば……」
ふと思い出したように、リドルがこちらへ視線を向けた。
「キミ、この前言っていただろう」
「何をですか?」
「ボクと恋人らしいことが足りないって」
「……覚えてたんですね」
「ボクが忘れるわけないだろう?」
「……それは、確かに」
「恋人の希望は聞くべきだからね」
「そんな律儀に頑張らなくても大丈夫ですよ」
「でも、恋人なんだから、そのくらいは応えたいさ」
そう返したリドルは立ち上がると、距離を縮めるようにゆっくりと顔を近づけてきた。
「えっ!?」
「少し、動かないでくれるかい?」
「ちょ、リドル先輩近いから……」
「そんなに警戒しなくてもいいだろう?」
息が届きそうな距離で、リドルがいたずらを思いついたように口元を緩める。
「恋人らしいことが足りないって言ったのは、キミだろう?」
「あれは、その……」
「顔が赤いようだけれど」
「……あんまり見ないでください」
「ほら、ちゃんとボクを見て」
「……っ」
触れそうなほど近くで囁かれ、心臓が大きく跳ねる。
リドルはまっすぐに見つめてきたあと、かすかに瞳を揺らして声を低く落とした。
「……キスしても、いいだろうか?」
「えっ……」
「ダメ……だろうか?」
「ち、違うんです」
「……ねえ、どこ見てるの? 集中して」
「そんなこと言われたら余計に無理です」
「無理じゃないだろう」
「リドル先輩……」
言葉を言い終わるか終わらないかのうちに、そっと唇が重ねられた。
触れたのはほんの一瞬だった。
離れ際に耳元へ落ちる彼の吐息が、やけに熱く感じられた。
◇
「怒ったかい?」
「怒ってないです」
「本当に?」
「……少しびっくりしただけです」
「でも可愛い反応をするキミも悪いだろう?」
「そんな理屈ありますか?」
恥ずかしさを誤魔化すように抗議すると、リドルは満足そうに口角を上げた。
だが、よく見れば彼の耳たぶも真っ赤に染まっている。
「……どう、だっただろうか?」
「何がですか?」
「恋人らしかったかい?」
「十分すぎました……」
「そうかい……」
視線を泳がせるリドルの頬に、朱色が広がっていく。
「リドル先輩も照れるんですね」
「……当然だろう」
「余裕そうに見えましたけど」
「キミが可愛かったから、少し調子に乗っただけだよ」
「じゃあ最初から余裕なんてなかったんですか?」
「ボクだって緊張する」
弱音を吐くように呟いた彼がおかしくて、思わずクスッと笑ってしまう。
「今、笑ったね?」
「ごめんなさい」
「謝る顔じゃないだろう」
「だって、嬉しかったので」
その返しにリドルはあきれたように小さく息を吐いた。
だが、その頬や耳の赤さは隠しきれていない。
「ボクもキミには敵わないな」
恥ずかしそうに視線を逸らしながらも、リドルはそっと伸びてきた手で彼女の頭を優しく撫でた。
静かな部屋には、小さく笑い合う声だけが穏やかに響いていた。
名前を呼ぶと、本から視線を上げたリドルは小さく息をついた。
「やっと来たね」
「お待たせしましたか?」
「三分二十七秒」
「そんなに正確に把握してるんですか!?」
「当たり前だろう? ボクを誰だと思っているんだい」
少しだけ口元を緩める彼を見て、つられて笑みがこぼれる。
近くの椅子へ腰を下ろすと、リドルは持っていた本を静かに机の端へ置いた。
「作業は終わったんですか?」
「一区切りしたところさ。集中力も切れてしまったからね」
「じゃあ休憩しますか?」
「そうだね」
◇
「そう言えば……」
ふと思い出したように、リドルがこちらへ視線を向けた。
「キミ、この前言っていただろう」
「何をですか?」
「ボクと恋人らしいことが足りないって」
「……覚えてたんですね」
「ボクが忘れるわけないだろう?」
「……それは、確かに」
「恋人の希望は聞くべきだからね」
「そんな律儀に頑張らなくても大丈夫ですよ」
「でも、恋人なんだから、そのくらいは応えたいさ」
そう返したリドルは立ち上がると、距離を縮めるようにゆっくりと顔を近づけてきた。
「えっ!?」
「少し、動かないでくれるかい?」
「ちょ、リドル先輩近いから……」
「そんなに警戒しなくてもいいだろう?」
息が届きそうな距離で、リドルがいたずらを思いついたように口元を緩める。
「恋人らしいことが足りないって言ったのは、キミだろう?」
「あれは、その……」
「顔が赤いようだけれど」
「……あんまり見ないでください」
「ほら、ちゃんとボクを見て」
「……っ」
触れそうなほど近くで囁かれ、心臓が大きく跳ねる。
リドルはまっすぐに見つめてきたあと、かすかに瞳を揺らして声を低く落とした。
「……キスしても、いいだろうか?」
「えっ……」
「ダメ……だろうか?」
「ち、違うんです」
「……ねえ、どこ見てるの? 集中して」
「そんなこと言われたら余計に無理です」
「無理じゃないだろう」
「リドル先輩……」
言葉を言い終わるか終わらないかのうちに、そっと唇が重ねられた。
触れたのはほんの一瞬だった。
離れ際に耳元へ落ちる彼の吐息が、やけに熱く感じられた。
◇
「怒ったかい?」
「怒ってないです」
「本当に?」
「……少しびっくりしただけです」
「でも可愛い反応をするキミも悪いだろう?」
「そんな理屈ありますか?」
恥ずかしさを誤魔化すように抗議すると、リドルは満足そうに口角を上げた。
だが、よく見れば彼の耳たぶも真っ赤に染まっている。
「……どう、だっただろうか?」
「何がですか?」
「恋人らしかったかい?」
「十分すぎました……」
「そうかい……」
視線を泳がせるリドルの頬に、朱色が広がっていく。
「リドル先輩も照れるんですね」
「……当然だろう」
「余裕そうに見えましたけど」
「キミが可愛かったから、少し調子に乗っただけだよ」
「じゃあ最初から余裕なんてなかったんですか?」
「ボクだって緊張する」
弱音を吐くように呟いた彼がおかしくて、思わずクスッと笑ってしまう。
「今、笑ったね?」
「ごめんなさい」
「謝る顔じゃないだろう」
「だって、嬉しかったので」
その返しにリドルはあきれたように小さく息を吐いた。
だが、その頬や耳の赤さは隠しきれていない。
「ボクもキミには敵わないな」
恥ずかしそうに視線を逸らしながらも、リドルはそっと伸びてきた手で彼女の頭を優しく撫でた。
静かな部屋には、小さく笑い合う声だけが穏やかに響いていた。
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