ポムフィオーレ
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放課後のスタジアム裏。
夕陽に照らされたエペルは汗を拭いながら木陰で一息ついていた。
ななしはそんな彼に冷えた飲み物を差し入れようと駆け寄る。
「あ、エペル!お疲れ様。……夕陽が当たって肌が透き通るみたいに綺麗……。本当にエペルは可愛いね」
ななしが何気なく、けれど本気で感心したようにそう呟くとエペルの肩がぴくりと跳ねた。受け取ろうとしていたボトルを一度止め、ぐっと眉間に皺を寄せてななしを真っ直ぐに見つめ返す。
「……またそれ。……ねえ、ななしサン。いつもそうやって僕のことを女の子か何かみたいに言うけどさ」
エペルの声はいつもより少しだけ低く湿り気を帯びていた。
ボトルを奪うように受け取るとそれを隣に置き、逃げようとするななしの手首をガシッと掴んだ。
「……えっ、エペル……?」
「……僕だって、男だよ」
彼はななしを木の幹へと追い詰め、逃げ場を塞ぐようにして顔を近づけた。普段の可憐な印象を覆すような力強い腕の感触と、野生的なまでの鋭い眼光。ななしは、自分の心臓の音がうるさいほどに跳ねるのを感じる。
「……っ、そんなに近づいたら、顔が、よく見えちゃうよ……」
「見ればいいじゃん。……ほらよく見て。僕のどこが可愛いの? 一応、手だって君より大きいし、腕だって……毎日必死で鍛えてるんだから」
エペルは少しだけ悔しそうに唇を噛むと、掴んだままの手首を自分の胸元へと引き寄せた。衣服越しに伝わってくる速くて力強い鼓動。それは間違いなく男の子としての熱を帯びていた。
「……ねえ、ななしサン。君にそう言われるのが一番……腹が立つんだ。……僕のこと、ちゃんと一人の男として見てよ」
エペルの顔が熱を帯びたままさらに近づく。
鼻先が触れそうなほどの距離でななしの瞳をじっと射抜いた。怒っているような、けれどどこか縋るようなその瞳にななしは声も出せずに立ち尽くす。
「……今の、本気で言ってるからね」
彼はそう言い捨てるとパッと手を離し乱暴に前髪をかき上げた。耳元まで真っ赤に染めながら、彼は飲みかけのボトルを持って歩き出す。
「……次は、絶対に『かっこいい』って言わせてやる」
振り返らずに歩いていくエペルの背中は、夕暮れの中でいつもよりずっと大きく、頼もしく見えた。
夕陽に照らされたエペルは汗を拭いながら木陰で一息ついていた。
ななしはそんな彼に冷えた飲み物を差し入れようと駆け寄る。
「あ、エペル!お疲れ様。……夕陽が当たって肌が透き通るみたいに綺麗……。本当にエペルは可愛いね」
ななしが何気なく、けれど本気で感心したようにそう呟くとエペルの肩がぴくりと跳ねた。受け取ろうとしていたボトルを一度止め、ぐっと眉間に皺を寄せてななしを真っ直ぐに見つめ返す。
「……またそれ。……ねえ、ななしサン。いつもそうやって僕のことを女の子か何かみたいに言うけどさ」
エペルの声はいつもより少しだけ低く湿り気を帯びていた。
ボトルを奪うように受け取るとそれを隣に置き、逃げようとするななしの手首をガシッと掴んだ。
「……えっ、エペル……?」
「……僕だって、男だよ」
彼はななしを木の幹へと追い詰め、逃げ場を塞ぐようにして顔を近づけた。普段の可憐な印象を覆すような力強い腕の感触と、野生的なまでの鋭い眼光。ななしは、自分の心臓の音がうるさいほどに跳ねるのを感じる。
「……っ、そんなに近づいたら、顔が、よく見えちゃうよ……」
「見ればいいじゃん。……ほらよく見て。僕のどこが可愛いの? 一応、手だって君より大きいし、腕だって……毎日必死で鍛えてるんだから」
エペルは少しだけ悔しそうに唇を噛むと、掴んだままの手首を自分の胸元へと引き寄せた。衣服越しに伝わってくる速くて力強い鼓動。それは間違いなく男の子としての熱を帯びていた。
「……ねえ、ななしサン。君にそう言われるのが一番……腹が立つんだ。……僕のこと、ちゃんと一人の男として見てよ」
エペルの顔が熱を帯びたままさらに近づく。
鼻先が触れそうなほどの距離でななしの瞳をじっと射抜いた。怒っているような、けれどどこか縋るようなその瞳にななしは声も出せずに立ち尽くす。
「……今の、本気で言ってるからね」
彼はそう言い捨てるとパッと手を離し乱暴に前髪をかき上げた。耳元まで真っ赤に染めながら、彼は飲みかけのボトルを持って歩き出す。
「……次は、絶対に『かっこいい』って言わせてやる」
振り返らずに歩いていくエペルの背中は、夕暮れの中でいつもよりずっと大きく、頼もしく見えた。
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