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「ななしくん」
「ロロさん? どうしたんですか?」
「君を探していた」
「わたしを?」
「ああ」
迷いなく言葉を返され、ななしは戸惑ったように首を傾げた。
「何か用事ですか?」
「用事がなければ、話しかけてはいけないのかね」
「そういうわけじゃ……」
「なら問題ないね」
そう言って、ロロは自然に隣へ並んだ。
「今日は、誰かと一緒にいたのかい?」
「え?」
「いや、深い意味はない」
そう言いながらも、質問するタイミングが妙に早い。
「友達と少し話していただけです」
「そうか」
短い返事の奥に、ほんの少しだけ隠しきれない不満が滲んでいた。
「……ロロさん?」
「何でもない」
「絶対何かありますよね」
「君はよく見ている」
「ロロさんのことだから分かるんです」
その言葉に、ロロは一瞬だけ目を伏せた。
「それは困ったな」
「困るんですか?」
「私が隠しているつもりのことまで、君には見抜かれてしまいそうだから」
◇
ロロがななしの近くにいる時間は明らかに増えた。
廊下で会えば声をかける。
「次の予定は?」
「このあと少し用事があります」
「誰とだね?」
「えっと……」
「すまない。少し気になっただけだよ」
謝る言葉とは裏腹に、視線はどこか真剣だった。
「そんなに気になりますか?」
「気になるね」
「即答なんですね」
「君のことだから」
あまりにも自然に言われて、言葉に詰まる。
「ロロさんって、意外と束縛するタイプなんですね」
「……そう見えるかね?」
「はい」
「否定はしないよ」
「すると思いました」
「普段ならね」
「普段なら?」
「君相手だと、少し勝手が違うらしい」
いつもの落ち着いた声。
けれど、その言葉には隠す気のない感情が混ざっていた。
◇
ある日。
ななしが他の生徒と話しているところへ、ロロがやってきた。
「楽しそうだね」
「ロロさん」
「邪魔してしまったかな」
「そんなことないです」
そう答えると、ロロは安心したように微笑む。
そのまま、当然のようにななしの隣に立った。
「ロロさん?」
「何かな」
「近くないですか?」
「そうかね?」
「はい」
「私はこのくらいがちょうどいいと思っているのだが」
「……」
「君が誰かと話している姿を見るのは嫌いじゃない」
「はい」
「しかし、隣にいるのが私ではない時間が長いと、少し面白くない」
「……正直ですね」
「君にはね」
「他の人には言わないんですか?」
「言う必要がないからね」
「じゃあ、わたしだけ?」
「そうだよ」
迷いのない返答だった。
「君には誤魔化したくないと思っている」
「ロロさんって、もっと距離を置く人だと思ってました」
「私もそう思っていた」
「自分で?」
「ああ」
ロロは小さく笑う。
「だが、君に関しては予定通りにいかないことが多いようだ」
「それって……」
「困っている」
「嫌なんですか?」
「まさか」
ロロは静かに首を振った。
「むしろ、手放したくないと思っている」
普段なら誰より冷静な彼が、その瞬間だけはどこか切実な声を漏らしていた。
「次の休み、私と過ごしてくれるかね」
「また急ですね」
「先に約束しておきたいのだ」
「どうしてですか?」
「他の誰かに先を越されたくないから」
冗談のような口調。
けれど、その目は本気だった。
「……分かりました」
答えると、ロロは満足そうに微笑む。
「ありがとう」
「そんな、お礼を言われるほどのことじゃないです」
「君の時間をもらうなら、誰より大切にするよ」
いつもの完璧な紳士の表情のまま、ロロは穏やかに笑っていた。
その笑顔の奥に滲むわずかな執着も、柔らかな空気の中に溶けていくようだった。
「ロロさん? どうしたんですか?」
「君を探していた」
「わたしを?」
「ああ」
迷いなく言葉を返され、ななしは戸惑ったように首を傾げた。
「何か用事ですか?」
「用事がなければ、話しかけてはいけないのかね」
「そういうわけじゃ……」
「なら問題ないね」
そう言って、ロロは自然に隣へ並んだ。
「今日は、誰かと一緒にいたのかい?」
「え?」
「いや、深い意味はない」
そう言いながらも、質問するタイミングが妙に早い。
「友達と少し話していただけです」
「そうか」
短い返事の奥に、ほんの少しだけ隠しきれない不満が滲んでいた。
「……ロロさん?」
「何でもない」
「絶対何かありますよね」
「君はよく見ている」
「ロロさんのことだから分かるんです」
その言葉に、ロロは一瞬だけ目を伏せた。
「それは困ったな」
「困るんですか?」
「私が隠しているつもりのことまで、君には見抜かれてしまいそうだから」
◇
ロロがななしの近くにいる時間は明らかに増えた。
廊下で会えば声をかける。
「次の予定は?」
「このあと少し用事があります」
「誰とだね?」
「えっと……」
「すまない。少し気になっただけだよ」
謝る言葉とは裏腹に、視線はどこか真剣だった。
「そんなに気になりますか?」
「気になるね」
「即答なんですね」
「君のことだから」
あまりにも自然に言われて、言葉に詰まる。
「ロロさんって、意外と束縛するタイプなんですね」
「……そう見えるかね?」
「はい」
「否定はしないよ」
「すると思いました」
「普段ならね」
「普段なら?」
「君相手だと、少し勝手が違うらしい」
いつもの落ち着いた声。
けれど、その言葉には隠す気のない感情が混ざっていた。
◇
ある日。
ななしが他の生徒と話しているところへ、ロロがやってきた。
「楽しそうだね」
「ロロさん」
「邪魔してしまったかな」
「そんなことないです」
そう答えると、ロロは安心したように微笑む。
そのまま、当然のようにななしの隣に立った。
「ロロさん?」
「何かな」
「近くないですか?」
「そうかね?」
「はい」
「私はこのくらいがちょうどいいと思っているのだが」
「……」
「君が誰かと話している姿を見るのは嫌いじゃない」
「はい」
「しかし、隣にいるのが私ではない時間が長いと、少し面白くない」
「……正直ですね」
「君にはね」
「他の人には言わないんですか?」
「言う必要がないからね」
「じゃあ、わたしだけ?」
「そうだよ」
迷いのない返答だった。
「君には誤魔化したくないと思っている」
「ロロさんって、もっと距離を置く人だと思ってました」
「私もそう思っていた」
「自分で?」
「ああ」
ロロは小さく笑う。
「だが、君に関しては予定通りにいかないことが多いようだ」
「それって……」
「困っている」
「嫌なんですか?」
「まさか」
ロロは静かに首を振った。
「むしろ、手放したくないと思っている」
普段なら誰より冷静な彼が、その瞬間だけはどこか切実な声を漏らしていた。
「次の休み、私と過ごしてくれるかね」
「また急ですね」
「先に約束しておきたいのだ」
「どうしてですか?」
「他の誰かに先を越されたくないから」
冗談のような口調。
けれど、その目は本気だった。
「……分かりました」
答えると、ロロは満足そうに微笑む。
「ありがとう」
「そんな、お礼を言われるほどのことじゃないです」
「君の時間をもらうなら、誰より大切にするよ」
いつもの完璧な紳士の表情のまま、ロロは穏やかに笑っていた。
その笑顔の奥に滲むわずかな執着も、柔らかな空気の中に溶けていくようだった。
