スカラビア
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オンボロ寮の談話室に、やわらかな夕暮れの光が差し込んでいた。
使い込まれたソファのきしむ音が、静かな室内に小さく響く。
「……グリムが戻ってきちゃいます」
ななしがぽつりと呟くと、上から見下ろすジャミルの眉がわずかに動いた。
影になった彼の表情を確かめようと見上げれば、首筋に添えられた指先にぐっと力が込められる。
「それがどうした?」
「どうしたって……」
「あいつが帰ってきたら困る理由でもあるのか」
低い声が耳元を掠め、呼吸が止まりそうになる。
からかうような響きを含みながらも、その瞳には逃げ道を塞ぐような濃い色が宿っていた。
「見られたらなんて言われるか……」
「別に、ありのままを見せればいいだろ」
「……っ」
「文句を言うならツナ缶でも与えておけばいいさ」
「そんな適当なこと言って……」
「いいから大人しく、俺の言うことを聞け」
重なる唇が思考を白く染めていく。
引き寄せられた体はぴったりと密着し、逃げる隙間さえ与えられない。
何度も位置を変えながら深められる口づけに、胸の奥が甘く痺れていった。
「……んっ……」
唇が離れたのは、苦しさに耐えきれずななしが肩を軽く叩いたときだった。
ほんのわずかな隙間から吐息が漏れる。
「……ジャミル先輩、息が……」
「鼻で息をしろ。俺はまだ足りない」
間髪を入れずに再び唇を塞がれた。
深く熱く、こちらの温度をすべて奪い取るような強引さに、思考は次第にほどけていった。
背中へ回された腕は少しも緩まず、その力強さに息をのむ。
ぎゅっと握った指先に、かすかな震えが伝わる。
逃げ出したいわけではないのに、心臓の鼓動があまりにもうるさくて呼吸がうまく整わない。
「……ちゃんと俺だけ見ろ」
「……ぁ……っ」
何度も繰り返される口づけに腰の力が抜け、ソファに深く沈み込む。
ジャミルの膝が足の間に割り込んできて、身体の重心が完全に彼へと預けられた。
整えられていた制服の布地が擦れ合い、生々しい音が静かな室内に落ちる。
「……声、抑えられてないぞ」
「だって……ジャミル先輩が……」
「俺のせいにするのか?」
低く笑いながら、彼の唇が首筋へと落ちていく。
肌に直接触れる彼の吐息が荒くなっているのがわかる。
「あ……そこ、は……っ」
「ここに痕をつけたら、明日の授業はどうする?」
「……目立つの、は……いやです……」
「なら、俺を満足させてみろ」
意地悪な言葉とは裏腹に、首筋に押し付けられた唇の圧力が増していく。
吸い上げられるような熱い感触に、思わずソファを強く掴んだ。
指先に伝わる古いソファの感触すら、意識の端へ追いやられていくようだった。
ジャミルの手がシャツのボタンへと伸びる。
しなやかな指先が器用にボタンを外していく動きには迷いがない。
「ジャミル先輩……」
「あまり可愛い声を出すな」
責め立てるような言葉を吐きながら、掌が肌の上を滑り上がる。
腰を撫で上げ、脇腹を通って胸元へと迫る指先。
直接肌と肌が触れ合う感触に、鼓動がうるさいほど跳ね上がった。
指先が触れるたび、呼吸の仕方さえ忘れてしまいそうだった。
「……ぁ……ジャミル先輩……っ」
「名前を呼べば許してもらえると思っているのか?」
首筋に埋められた彼の顔から荒い呼吸が漏れる。
長い髪が頬に触れてくすぐったいような、けれどそれ以上に切ないような感覚に包まれた。
指先が下着の縁を押し下げ、柔らかい膨らみの頂点へと触れかけたその時だった。
外の廊下で、バタバタと騒がしい足音が響き始めた。
遠くから聞こえる聞き覚えのある賑やかな声。
一瞬で現実に引き戻され、ななしの身体が強張った。
「……あ、グリムが……っ」
「無視しろ」
冷たさすら感じるほど短く言い放ち、ジャミルはさらに深くななしの顎を持ち上げた。
重なる唇の角度を変え、抵抗する余地を奪っていく。
外の足音は確実に談話室へ近づいてきていた。
「おーい、ななし! 今日の夕飯は何なんだゾー!」
扉の隙間から聞こえる元気な声と同時に、ジャミルは親指でななしの唇をそっと拭った。
すれすれの距離で視線が交差し、彼の唇が満足そうにわずかに弧を描く。
「……続きは後で、な?」
耳元で囁かれた低く甘い声が、廊下に響くグリムの足音を完全に塗りつぶしていた。
使い込まれたソファのきしむ音が、静かな室内に小さく響く。
「……グリムが戻ってきちゃいます」
ななしがぽつりと呟くと、上から見下ろすジャミルの眉がわずかに動いた。
影になった彼の表情を確かめようと見上げれば、首筋に添えられた指先にぐっと力が込められる。
「それがどうした?」
「どうしたって……」
「あいつが帰ってきたら困る理由でもあるのか」
低い声が耳元を掠め、呼吸が止まりそうになる。
からかうような響きを含みながらも、その瞳には逃げ道を塞ぐような濃い色が宿っていた。
「見られたらなんて言われるか……」
「別に、ありのままを見せればいいだろ」
「……っ」
「文句を言うならツナ缶でも与えておけばいいさ」
「そんな適当なこと言って……」
「いいから大人しく、俺の言うことを聞け」
重なる唇が思考を白く染めていく。
引き寄せられた体はぴったりと密着し、逃げる隙間さえ与えられない。
何度も位置を変えながら深められる口づけに、胸の奥が甘く痺れていった。
「……んっ……」
唇が離れたのは、苦しさに耐えきれずななしが肩を軽く叩いたときだった。
ほんのわずかな隙間から吐息が漏れる。
「……ジャミル先輩、息が……」
「鼻で息をしろ。俺はまだ足りない」
間髪を入れずに再び唇を塞がれた。
深く熱く、こちらの温度をすべて奪い取るような強引さに、思考は次第にほどけていった。
背中へ回された腕は少しも緩まず、その力強さに息をのむ。
ぎゅっと握った指先に、かすかな震えが伝わる。
逃げ出したいわけではないのに、心臓の鼓動があまりにもうるさくて呼吸がうまく整わない。
「……ちゃんと俺だけ見ろ」
「……ぁ……っ」
何度も繰り返される口づけに腰の力が抜け、ソファに深く沈み込む。
ジャミルの膝が足の間に割り込んできて、身体の重心が完全に彼へと預けられた。
整えられていた制服の布地が擦れ合い、生々しい音が静かな室内に落ちる。
「……声、抑えられてないぞ」
「だって……ジャミル先輩が……」
「俺のせいにするのか?」
低く笑いながら、彼の唇が首筋へと落ちていく。
肌に直接触れる彼の吐息が荒くなっているのがわかる。
「あ……そこ、は……っ」
「ここに痕をつけたら、明日の授業はどうする?」
「……目立つの、は……いやです……」
「なら、俺を満足させてみろ」
意地悪な言葉とは裏腹に、首筋に押し付けられた唇の圧力が増していく。
吸い上げられるような熱い感触に、思わずソファを強く掴んだ。
指先に伝わる古いソファの感触すら、意識の端へ追いやられていくようだった。
ジャミルの手がシャツのボタンへと伸びる。
しなやかな指先が器用にボタンを外していく動きには迷いがない。
「ジャミル先輩……」
「あまり可愛い声を出すな」
責め立てるような言葉を吐きながら、掌が肌の上を滑り上がる。
腰を撫で上げ、脇腹を通って胸元へと迫る指先。
直接肌と肌が触れ合う感触に、鼓動がうるさいほど跳ね上がった。
指先が触れるたび、呼吸の仕方さえ忘れてしまいそうだった。
「……ぁ……ジャミル先輩……っ」
「名前を呼べば許してもらえると思っているのか?」
首筋に埋められた彼の顔から荒い呼吸が漏れる。
長い髪が頬に触れてくすぐったいような、けれどそれ以上に切ないような感覚に包まれた。
指先が下着の縁を押し下げ、柔らかい膨らみの頂点へと触れかけたその時だった。
外の廊下で、バタバタと騒がしい足音が響き始めた。
遠くから聞こえる聞き覚えのある賑やかな声。
一瞬で現実に引き戻され、ななしの身体が強張った。
「……あ、グリムが……っ」
「無視しろ」
冷たさすら感じるほど短く言い放ち、ジャミルはさらに深くななしの顎を持ち上げた。
重なる唇の角度を変え、抵抗する余地を奪っていく。
外の足音は確実に談話室へ近づいてきていた。
「おーい、ななし! 今日の夕飯は何なんだゾー!」
扉の隙間から聞こえる元気な声と同時に、ジャミルは親指でななしの唇をそっと拭った。
すれすれの距離で視線が交差し、彼の唇が満足そうにわずかに弧を描く。
「……続きは後で、な?」
耳元で囁かれた低く甘い声が、廊下に響くグリムの足音を完全に塗りつぶしていた。
