サバナクロー
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静まり返った室内で、重い溜息がひとつ落ちた。
乱れたシーツに埋もれるようにして横たわる身体を、上から大きな影が覆い尽くしている。
「……レオナさん、もう限界です」
かすれた声で訴えながら、まぶたを重そうに閉じかけた。
肩を上下させて息を整えようとしているが、身体に力が入っていないのは一目瞭然だった。
「あ? なんだ、もう音上げてんのか」
ベッドの端で頬杖をつき、レオナは横たわる姿を上から見下ろした。
緩く結ばれた長い髪が肩から滑り落ち、浅い呼吸に合わせて揺れている。
「レオナさんの体力についていけるわけないじゃないですか」
「ちょっとは体力つけたらどうだ?」
「それに、一回だけって言いました」
「そんな約束した覚えはねぇな」
「言いました! レオナさんも返事したじゃないですか」
「納得したとは一言も言ってねぇだろ」
あまりにも身勝手な理屈に、枕に顔を押し付けて小さく唸る声が漏れた。
レオナは鼻で低く笑うと、ベッドに肘をついたまま、その額にへばりついていた前髪を指先で払いのけた。
素肌に触れる手つきは、どこか大雑把で、けれど拒絶させない力強さがある。
「そんなに疲れちまったか?」
「……レオナさんが容赦ないからです」
「手加減したつもりだったんだがなぁ」
指先で頬のラインを撫でられる。
小さな抗議の眼差しを向けるも、そこに強い拒絶の力はない。
「嘘ばっかり」
「優しくしてやっただろ?」
「全然手加減なんてしてなかったです」
「変に力入れてるからだろ。もっと力を抜け」
レオナは身体を低くし、耳元へ顔を近づけた。
低い声の振動が肌をかすめると、身体がわずかに強張るのがわかる。
「レオナさん、明日は朝から体力育成なんです」
「知るか。俺の部屋にいる以上、俺の都合に合わせろ」
「横暴すぎる……起きられなかったらどうするんですか」
「サボればいいだろ」
「レオナさんみたいに留年したくないんですけど」
即座に返ってきた怒り交じりの声に、レオナは愉しそうに口元を歪めた。
「お前は真面目すぎて面白くねぇな」
「レオナさんが不真面目すぎるんです」
部屋の明かりは落とされ、窓から差し込むかすかな月光が二人の影を落としている。
静けさが戻りかけた室内に、衣擦れの音だけが小さく響いた。
じっと見上げてくる視線に気づき、レオナは不機嫌そうに眉をひそめてみせる。
「なんだよ。文句なら受け付けねぇぞ」
「……文句じゃなくて。本当に寝ないんですか」
「お前がそんな顔して隣にいて、俺が素直に寝ると思うか?」
「いつもはすぐ寝るくせに」
「お前が誘ってんだろ、無自覚に」
レオナは腕を伸ばすと、その身体を強引に自分の方へと引き寄せた。
胸元に収まる感触を確かめるように、しっかりと抱きかかえる。
「……ほんと、横暴なんですから」
「今更なに言ってんだ。俺の部屋に足を踏み入れたのはお前だろ」
「招いたのはレオナさんです」
「来ない選択肢もあったはずだろ」
「来なかったら不機嫌になるくせに」
頭の上から降ってくる低い笑い声に、胸元で小さく息を吐く音が聞こえた。
さらりとした髪の感触が胸元をかすめる。
「……レオナさん」
「あ?」
「一回で解放してくれる気ありました?」
「さあな。お前の反応次第だろ」
「わたしの反応?」
「お前の気持ち良さそうな顔見てたら、途中でやめる気なんて失せた」
少しだけ身体を離し、相手の顔を正面から見据える。
呆れたような、けれどどこか諦めの混ざった瞳と視線が交差した。
「……最低」
「褒め言葉として受け取っておく」
「明日、体が痛くても知りませんからね」
「お前に心配されるほどヤワじゃねえよ」
観念したように力を抜く感覚が、触れ合っている肌を通して伝わってくる。
満足そうに目を細めたレオナは、その首筋に顔を埋めた。
ニヤリと笑うレオナの息が肌をくすぐり、逃げ場を塞ぐような強い力で、再びその身体が抱き寄せられた。
乱れたシーツに埋もれるようにして横たわる身体を、上から大きな影が覆い尽くしている。
「……レオナさん、もう限界です」
かすれた声で訴えながら、まぶたを重そうに閉じかけた。
肩を上下させて息を整えようとしているが、身体に力が入っていないのは一目瞭然だった。
「あ? なんだ、もう音上げてんのか」
ベッドの端で頬杖をつき、レオナは横たわる姿を上から見下ろした。
緩く結ばれた長い髪が肩から滑り落ち、浅い呼吸に合わせて揺れている。
「レオナさんの体力についていけるわけないじゃないですか」
「ちょっとは体力つけたらどうだ?」
「それに、一回だけって言いました」
「そんな約束した覚えはねぇな」
「言いました! レオナさんも返事したじゃないですか」
「納得したとは一言も言ってねぇだろ」
あまりにも身勝手な理屈に、枕に顔を押し付けて小さく唸る声が漏れた。
レオナは鼻で低く笑うと、ベッドに肘をついたまま、その額にへばりついていた前髪を指先で払いのけた。
素肌に触れる手つきは、どこか大雑把で、けれど拒絶させない力強さがある。
「そんなに疲れちまったか?」
「……レオナさんが容赦ないからです」
「手加減したつもりだったんだがなぁ」
指先で頬のラインを撫でられる。
小さな抗議の眼差しを向けるも、そこに強い拒絶の力はない。
「嘘ばっかり」
「優しくしてやっただろ?」
「全然手加減なんてしてなかったです」
「変に力入れてるからだろ。もっと力を抜け」
レオナは身体を低くし、耳元へ顔を近づけた。
低い声の振動が肌をかすめると、身体がわずかに強張るのがわかる。
「レオナさん、明日は朝から体力育成なんです」
「知るか。俺の部屋にいる以上、俺の都合に合わせろ」
「横暴すぎる……起きられなかったらどうするんですか」
「サボればいいだろ」
「レオナさんみたいに留年したくないんですけど」
即座に返ってきた怒り交じりの声に、レオナは愉しそうに口元を歪めた。
「お前は真面目すぎて面白くねぇな」
「レオナさんが不真面目すぎるんです」
部屋の明かりは落とされ、窓から差し込むかすかな月光が二人の影を落としている。
静けさが戻りかけた室内に、衣擦れの音だけが小さく響いた。
じっと見上げてくる視線に気づき、レオナは不機嫌そうに眉をひそめてみせる。
「なんだよ。文句なら受け付けねぇぞ」
「……文句じゃなくて。本当に寝ないんですか」
「お前がそんな顔して隣にいて、俺が素直に寝ると思うか?」
「いつもはすぐ寝るくせに」
「お前が誘ってんだろ、無自覚に」
レオナは腕を伸ばすと、その身体を強引に自分の方へと引き寄せた。
胸元に収まる感触を確かめるように、しっかりと抱きかかえる。
「……ほんと、横暴なんですから」
「今更なに言ってんだ。俺の部屋に足を踏み入れたのはお前だろ」
「招いたのはレオナさんです」
「来ない選択肢もあったはずだろ」
「来なかったら不機嫌になるくせに」
頭の上から降ってくる低い笑い声に、胸元で小さく息を吐く音が聞こえた。
さらりとした髪の感触が胸元をかすめる。
「……レオナさん」
「あ?」
「一回で解放してくれる気ありました?」
「さあな。お前の反応次第だろ」
「わたしの反応?」
「お前の気持ち良さそうな顔見てたら、途中でやめる気なんて失せた」
少しだけ身体を離し、相手の顔を正面から見据える。
呆れたような、けれどどこか諦めの混ざった瞳と視線が交差した。
「……最低」
「褒め言葉として受け取っておく」
「明日、体が痛くても知りませんからね」
「お前に心配されるほどヤワじゃねえよ」
観念したように力を抜く感覚が、触れ合っている肌を通して伝わってくる。
満足そうに目を細めたレオナは、その首筋に顔を埋めた。
ニヤリと笑うレオナの息が肌をくすぐり、逃げ場を塞ぐような強い力で、再びその身体が抱き寄せられた。
