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「あー……つまんない」
どすんと音を立てるように、フロイドの身体がななしの隣に沈み込む。
「小エビちゃん、何か面白いことないの」
「わたし今、本読んでるんですけど」
「えー、本なんてあとでいいじゃん」
視線を落としたままページをめくるななしの横から、フロイドが顔をのぞき込んできた。
「オレ、今すげー退屈なんだけど」
「退屈なら、ジェイド先輩かアズール先輩のところへどうぞ」
「ジェイドはキノコ採りに行ったし、アズールは帳簿見ててつまんない」
理不尽な主張を並べながら、フロイドはななしの手からあっさりと本を奪い取った。
「あっ、ちょっと……!」
「はい、おしまい。小エビちゃんは今からオレと遊ぶの」
本をソファの遠くに投げ捨て、彼は満足げに笑う。
抵抗しても無駄だと悟り、ななしは渋々向き直った。
「……わかりました。何して遊ぶんですか?」
「んー、決めてない」
「決めてないんですか」
「うん」
言うが早いか、フロイドは長い腕を伸ばしてななしをすっぽりと抱き込んだ。
「小エビちゃん、捕まえた」
「ちょっ、先輩……近いです」
「えー、別にいいじゃん」
耳元で響く声は低く、楽しげに弾んでいる。
伝わってくる体温に、ななしは身を縮めた。
◇
しばらくの間、フロイドは抱きしめたななしの肩に顎を乗せ、機嫌良く過ごしていた。
身動きの取れない彼女の腕を、長い指先が気まぐれになぞる。
「ねぇ。小エビちゃんってさぁ」
ふいに、彼が口を開いた。
「なんですか」
「本当にちっこいよね」
「先輩と比べたら、大体の人間は小さいですよ」
「そう?」
言いながら、フロイドはななしの手首を軽く掴んだ。
「ほら、手首とか折れちゃいそう」
「力入れないでくださいね。痛いのは嫌です」
「あはっ、わかってるって」
指先は腕から肩、そして背中へと確かめるようにゆっくり動く。
「……何してるんですか?」
「別に。ただ触ってるだけじゃん」
「くすぐったいです」
「えー、ちょっとは我慢してよ」
強引に腕の力を強められ、ななしは逃げ出すのを諦めた。
飽きればすぐに離してくれるはず。
そう思っていたのだが、今日のフロイドは執拗だった。
◇
肩口をなぞっていたフロイドの指先が、ぴたりと止まる。
「ん?」
「……な、なんですか」
「小エビちゃん、なんか隠してない?」
「気のせいです」
慌てて否定したものの、声が上ずってしまった。
「見せて」
「や、やめてください!」
襟ぐりを必死に押さえるが、フロイドの力には到底敵わない。
彼は楽しそうに笑いながら、服の襟をぐいっと横へ引いた。
「あーあ、見つけちゃった」
あらわになった鎖骨のあたりに、くっきりと赤い痕が残っている。
「……っ」
「なんで隠すの? すげー綺麗に残ってるのに」
「誰かに見られたら困ります……!」
「正直にオレがつけたって言えばいいじゃん」
「言えるわけないじゃないですか!」
怒るななしを無視して、フロイドはその痕の輪郭を指先でなぞり始めた。
「ゃっ……!」
「小エビちゃん、ここ弱いよねぇ」
「からかわないでください……」
「怒ってる顔もいいけど、今の顔も好き」
首筋の痕を長い指が執拗になぞる。
先日、彼がそこに歯を立てた記憶が蘇り、ななしは身体を固くした。
「……まだ赤いね」
「だから、見ないでって……」
「やだ、オレのだし」
指先の動きは止まらない。
何度も、何度も。
「フロイド、先輩……っ」
「これ見るとさ、すっげー安心する」
体に残った痕を指先でなぞり、フロイドは満足そうに笑った。
いつも飄々としている彼が見せる強い独占欲に、ななしは目を奪われた。
その笑顔から目が離せずにいると、彼が耳元で低く囁いた。
「小エビちゃんは、オレのだね」
どすんと音を立てるように、フロイドの身体がななしの隣に沈み込む。
「小エビちゃん、何か面白いことないの」
「わたし今、本読んでるんですけど」
「えー、本なんてあとでいいじゃん」
視線を落としたままページをめくるななしの横から、フロイドが顔をのぞき込んできた。
「オレ、今すげー退屈なんだけど」
「退屈なら、ジェイド先輩かアズール先輩のところへどうぞ」
「ジェイドはキノコ採りに行ったし、アズールは帳簿見ててつまんない」
理不尽な主張を並べながら、フロイドはななしの手からあっさりと本を奪い取った。
「あっ、ちょっと……!」
「はい、おしまい。小エビちゃんは今からオレと遊ぶの」
本をソファの遠くに投げ捨て、彼は満足げに笑う。
抵抗しても無駄だと悟り、ななしは渋々向き直った。
「……わかりました。何して遊ぶんですか?」
「んー、決めてない」
「決めてないんですか」
「うん」
言うが早いか、フロイドは長い腕を伸ばしてななしをすっぽりと抱き込んだ。
「小エビちゃん、捕まえた」
「ちょっ、先輩……近いです」
「えー、別にいいじゃん」
耳元で響く声は低く、楽しげに弾んでいる。
伝わってくる体温に、ななしは身を縮めた。
◇
しばらくの間、フロイドは抱きしめたななしの肩に顎を乗せ、機嫌良く過ごしていた。
身動きの取れない彼女の腕を、長い指先が気まぐれになぞる。
「ねぇ。小エビちゃんってさぁ」
ふいに、彼が口を開いた。
「なんですか」
「本当にちっこいよね」
「先輩と比べたら、大体の人間は小さいですよ」
「そう?」
言いながら、フロイドはななしの手首を軽く掴んだ。
「ほら、手首とか折れちゃいそう」
「力入れないでくださいね。痛いのは嫌です」
「あはっ、わかってるって」
指先は腕から肩、そして背中へと確かめるようにゆっくり動く。
「……何してるんですか?」
「別に。ただ触ってるだけじゃん」
「くすぐったいです」
「えー、ちょっとは我慢してよ」
強引に腕の力を強められ、ななしは逃げ出すのを諦めた。
飽きればすぐに離してくれるはず。
そう思っていたのだが、今日のフロイドは執拗だった。
◇
肩口をなぞっていたフロイドの指先が、ぴたりと止まる。
「ん?」
「……な、なんですか」
「小エビちゃん、なんか隠してない?」
「気のせいです」
慌てて否定したものの、声が上ずってしまった。
「見せて」
「や、やめてください!」
襟ぐりを必死に押さえるが、フロイドの力には到底敵わない。
彼は楽しそうに笑いながら、服の襟をぐいっと横へ引いた。
「あーあ、見つけちゃった」
あらわになった鎖骨のあたりに、くっきりと赤い痕が残っている。
「……っ」
「なんで隠すの? すげー綺麗に残ってるのに」
「誰かに見られたら困ります……!」
「正直にオレがつけたって言えばいいじゃん」
「言えるわけないじゃないですか!」
怒るななしを無視して、フロイドはその痕の輪郭を指先でなぞり始めた。
「ゃっ……!」
「小エビちゃん、ここ弱いよねぇ」
「からかわないでください……」
「怒ってる顔もいいけど、今の顔も好き」
首筋の痕を長い指が執拗になぞる。
先日、彼がそこに歯を立てた記憶が蘇り、ななしは身体を固くした。
「……まだ赤いね」
「だから、見ないでって……」
「やだ、オレのだし」
指先の動きは止まらない。
何度も、何度も。
「フロイド、先輩……っ」
「これ見るとさ、すっげー安心する」
体に残った痕を指先でなぞり、フロイドは満足そうに笑った。
いつも飄々としている彼が見せる強い独占欲に、ななしは目を奪われた。
その笑顔から目が離せずにいると、彼が耳元で低く囁いた。
「小エビちゃんは、オレのだね」
