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薄暗い部屋の中で重い沈黙が流れ、窓の外から微かに風のそよぐ気配だけが届いている。ソファに腰かけたフロイドは、大きな背中を丸めながら膝の上の小さな存在を見下ろした。
「ねえ、なんでさっきからずっと黙ってんの」
「別に、話すことないなと思って」
「ふうん」
「先輩こそ、なんで黙ってるんですか」
「オレ? オレは小エビちゃんのこと、観察してた」
面白がるような低音の響きが喉の奥から漏れ出ると、その大きな腕がさらに隙間を埋めるようにしてななしの体を内側に引き寄せる。布地越しに伝わってくる容赦のない体温と圧迫感に、逃げ場はどこにも残されていない。
「フロイド先輩、ちょっと狭い」
「えー、だって離したら逃げるでしょ」
「逃げたりしないんで、ちょっと離れてください」
「いーじゃん、このままで」
大きな手のひらが肩のあたりから背中にかけてゆっくりとなぞり下りてくる。指先が触れるたびに服の繊維がかすかに擦れ、肌の表面に微かな戦慄が走った。
「ねぇ、小エビちゃんはどこ触られたら一番声出るの?」
耳元で低く囁かれた唐突な問いかけに、呼吸が一瞬だけ喉の奥で詰まる。冗談めかした口調の中に隠された、ぞっとするほど観察的な気配が逃げ道を完全に塞いでいた。
「……なんですか、急に」
「なにって、気になったから聞いただけ」
「……」
「小エビちゃん、すぐ口ギュッて結んで我慢しようとするじゃん」
「してないです」
「えー、嘘だー」
言いながらフロイドの指先が、服の襟ぐりから覗くうなじのあたりにそっと触れる。爪先が肌を掠めるか掠めないかの絶妙な力加減で滑り、ななしはたまらず小さな息を漏らす。
「っ、そこは……くすぐったいから……」
「へえ、くすぐったいんだ」
「だから遊ばないでください」
「えー、小エビちゃんのこと知りたいだけなのに」
「だからって変なとこ触らないでください」
「じゃあ、正直に答えてよ小エビちゃん」
フロイドは満足そうに口元を歪めると、身を乗り出すようにしてさらに距離を詰めてくる。大きな体躯に上から覆いかぶされる形になり、視界のほとんどが彼のシルエットで埋め尽くされた。
「……答えないと、どうなるんですか」
「オレが上から下まで順番に触って試すだけだけど?」
「意地悪ですか?」
「えー、だから小エビちゃんのことをもっとよく知りたいなあっていう、純粋な探求心? みたいなやつでしょ」
そう言いながらフロイドは、肋骨の浮き出る脇腹から腰のくびれにかけて指先を這わす。指の節々を感じさせるしっかりとした質感が、容赦なく肌の感覚を揺さぶっていく。
「ん……、待ってフロイド先輩」
「あ、いまちょっと声出た。ここ?」
「いまのは……急に触られたからびっくりしただけで」
「耳まで真っ赤になってるのに、嘘つかなくていいって」
勝ち誇ったような笑みとともに、フロイドの顔がさらに近づく。吐息が頬をかすめるほどの至近距離で、不敵な眼差しがこちらの小さな変化をひとつも見落とさないようにつぶさに観察していた。
「ねえ、本当に教えてくんねーの?」
「教えないっていうか、自分でもよくわからないです」
「じゃあさ、オレが代わりに探してあげるよ」
「何言って……」
「小エビちゃんがどこ触られたら一番可愛い声出すか探そ」
「可愛い声なんて出ないです」
「えー。オレ、もう何回か聞いたことあるし」
「……」
「でも、もっと凄いのがあるかもしんねーじゃん?」
言葉を重ねるごとに、フロイドの手つきは少しずつ熱を帯びて確実性を増していく。服の上からゆっくりとなぞる手のひらの大きさと重みが、逃げられない感覚として身体全体に重く圧しかかっていた。
「フロイド先輩、本当に意地悪」
「小エビちゃんが素直になればいいだけじゃん」
「……」
「そうしたら、オレだって優しくしてあげるかもしれないのにさあ」
「言えるわけないじゃないですか、そんなの」
「なんで? 恥ずかしがってる時間のほうがもったいなくない?」
悪びれもせずに言い放つフロイドの言葉に、反論の言葉が喉の途中でつっかえる。確かに畳みかけるようなその口調には、余計な躊躇や遠慮など最初からひとかけらも含まれていなかった。
「……ほんとに、自分のペースばっかりなんだから」
「えー、じゃあもうちょっとだけ待つ?」
「待ってくれてるように見えないけど」
「これでもすっごく我慢してんだけど」
低く笑いながら、フロイドの手がゆっくりと服の裾を持ち上げ、直接肌へと触れる位置まで滑り込んでくる。ひんやりとした指先が直に肌に触れた瞬間、体中の神経が一気にそこに集中するのが分かった。
「あっ……」
「ほらやっぱり、言葉で言うより身体のほうがずっと正直じゃん」
「フロイド……先輩……」
「なぁに? 小エビちゃん」
「そこ、やだ」
「ここ? どこ触られたら一番声出るか、もうすぐ分かりそう?」
耳元で囁かれる言葉の熱量と肌を辿る長い指の動きに、もはやまともな思考を保つことはできそうになかった。
直に触れられた肌からじんじんと熱が伝わり、息を吐き出すことすら容易ではなくなっていく。服の中に潜り込んだフロイドの手は急ぐ様子もなく、けれども確実に腰のラインを辿っていた。
「小エビちゃん、力抜きなよ」
「無理です……」
「まだ手だけじゃん。こんなんでビビって、このあとどうすんのさ」
くつくつと喉を鳴らして笑いながら、フロイドは大きな掌で腰の骨のあたりを優しく包み込むように圧をかけた。親指の腹が円を描くように小さく動き肌の表面を滑る。
「……んっ、そこ……っ」
「ここ? なんかゾクゾクする?」
「ちがう、だめ……力が抜ける……」
「いいじゃん。ほら、もっと力抜きなよ」
親指の動きが少しずつ中心に向かってずれていき、下腹部のあたりをかすかな力加減で刺激する。逃げようとして体を捻っても、背中に回されたもう一方の腕がしっかりと壁になっていて、少しも距離を取ることができない。
「もー、まだ教えてくれねぇの?」
耳元に唇を寄せて、フロイドが低く呟く。吐息が耳孔をくすぐるたびに、頭の芯が痺れるような感覚に襲われた。
「教えるもなにも……わからないって言ってるのに」
「嘘だー」
「嘘じゃ……ないです」
「さっきからここ触るたびに、ビクッて跳ねてんのバレバレだけど?」
「それは……フロイド先輩の手が冷たいからで……」
「冷たい? 小エビちゃんの体温が移ってさあ、オレの手もドロドロに溶けそうなのに?」
言いながら、指先がさらに肌の深いところへと滑り落ちていく。布地が引き絞られるかすかな擦過音とともに、指の節々が直に触れる面積が増えていく。
「……っ、フロイド、先輩」
「早く素直になりなって」
「無理……っ」
「でもさっきよりずっといい声。オレ、その声もっと聞きたい」
フロイドは満足そうに目を細めると、抱え込む腕の力をさらに強めた。胸元が押し付けられ、お互いの心臓が脈打つテンポが直接伝わってくる。あまりにも速いその鼓動が、自分だけのものなのか相手のものなのかすら判別がつかない。
「ねえ、小エビちゃん。ここ?」
「そこやだ……」
「うーん、こっち? それとも、もっと奥のほう?」
「聞かないで……もう……っ」
「だから確かめるって言ったじゃん。小エビちゃんが降参して泣きつくまで、オレやめる気ねーんだけど」
言葉の語尾が途切れると同時に、不意に視界が大きく傾いた。ソファの背もたれへと押し倒される形で身体が沈み込み、その上から重い体躯が完全に重なってくる。
「っ……あ……」
「だから我慢すんのやめなよ。顔、すっごく真っ赤で可愛いのにさ」
上から見下ろしてくる表情には、どこか呆れたような、けれども隠しきれない熱を帯びた感情が滲んでいた。指先が顎のラインを優しく掬い上げ、逃げ場をなくすようにして視線を繋ぎ止められる。
「早く降参しなよ? ……答え、直接オレに教えて」
返事をする猶予すら与えられないまま、降ってきた熱い吐息とともに唇が塞がれた。深く落ちていく思考のなかで、最初に尋ねられた問いの答えなど、とうに意味を失っていることだけが頭の中に広がっていた。
「ねえ、なんでさっきからずっと黙ってんの」
「別に、話すことないなと思って」
「ふうん」
「先輩こそ、なんで黙ってるんですか」
「オレ? オレは小エビちゃんのこと、観察してた」
面白がるような低音の響きが喉の奥から漏れ出ると、その大きな腕がさらに隙間を埋めるようにしてななしの体を内側に引き寄せる。布地越しに伝わってくる容赦のない体温と圧迫感に、逃げ場はどこにも残されていない。
「フロイド先輩、ちょっと狭い」
「えー、だって離したら逃げるでしょ」
「逃げたりしないんで、ちょっと離れてください」
「いーじゃん、このままで」
大きな手のひらが肩のあたりから背中にかけてゆっくりとなぞり下りてくる。指先が触れるたびに服の繊維がかすかに擦れ、肌の表面に微かな戦慄が走った。
「ねぇ、小エビちゃんはどこ触られたら一番声出るの?」
耳元で低く囁かれた唐突な問いかけに、呼吸が一瞬だけ喉の奥で詰まる。冗談めかした口調の中に隠された、ぞっとするほど観察的な気配が逃げ道を完全に塞いでいた。
「……なんですか、急に」
「なにって、気になったから聞いただけ」
「……」
「小エビちゃん、すぐ口ギュッて結んで我慢しようとするじゃん」
「してないです」
「えー、嘘だー」
言いながらフロイドの指先が、服の襟ぐりから覗くうなじのあたりにそっと触れる。爪先が肌を掠めるか掠めないかの絶妙な力加減で滑り、ななしはたまらず小さな息を漏らす。
「っ、そこは……くすぐったいから……」
「へえ、くすぐったいんだ」
「だから遊ばないでください」
「えー、小エビちゃんのこと知りたいだけなのに」
「だからって変なとこ触らないでください」
「じゃあ、正直に答えてよ小エビちゃん」
フロイドは満足そうに口元を歪めると、身を乗り出すようにしてさらに距離を詰めてくる。大きな体躯に上から覆いかぶされる形になり、視界のほとんどが彼のシルエットで埋め尽くされた。
「……答えないと、どうなるんですか」
「オレが上から下まで順番に触って試すだけだけど?」
「意地悪ですか?」
「えー、だから小エビちゃんのことをもっとよく知りたいなあっていう、純粋な探求心? みたいなやつでしょ」
そう言いながらフロイドは、肋骨の浮き出る脇腹から腰のくびれにかけて指先を這わす。指の節々を感じさせるしっかりとした質感が、容赦なく肌の感覚を揺さぶっていく。
「ん……、待ってフロイド先輩」
「あ、いまちょっと声出た。ここ?」
「いまのは……急に触られたからびっくりしただけで」
「耳まで真っ赤になってるのに、嘘つかなくていいって」
勝ち誇ったような笑みとともに、フロイドの顔がさらに近づく。吐息が頬をかすめるほどの至近距離で、不敵な眼差しがこちらの小さな変化をひとつも見落とさないようにつぶさに観察していた。
「ねえ、本当に教えてくんねーの?」
「教えないっていうか、自分でもよくわからないです」
「じゃあさ、オレが代わりに探してあげるよ」
「何言って……」
「小エビちゃんがどこ触られたら一番可愛い声出すか探そ」
「可愛い声なんて出ないです」
「えー。オレ、もう何回か聞いたことあるし」
「……」
「でも、もっと凄いのがあるかもしんねーじゃん?」
言葉を重ねるごとに、フロイドの手つきは少しずつ熱を帯びて確実性を増していく。服の上からゆっくりとなぞる手のひらの大きさと重みが、逃げられない感覚として身体全体に重く圧しかかっていた。
「フロイド先輩、本当に意地悪」
「小エビちゃんが素直になればいいだけじゃん」
「……」
「そうしたら、オレだって優しくしてあげるかもしれないのにさあ」
「言えるわけないじゃないですか、そんなの」
「なんで? 恥ずかしがってる時間のほうがもったいなくない?」
悪びれもせずに言い放つフロイドの言葉に、反論の言葉が喉の途中でつっかえる。確かに畳みかけるようなその口調には、余計な躊躇や遠慮など最初からひとかけらも含まれていなかった。
「……ほんとに、自分のペースばっかりなんだから」
「えー、じゃあもうちょっとだけ待つ?」
「待ってくれてるように見えないけど」
「これでもすっごく我慢してんだけど」
低く笑いながら、フロイドの手がゆっくりと服の裾を持ち上げ、直接肌へと触れる位置まで滑り込んでくる。ひんやりとした指先が直に肌に触れた瞬間、体中の神経が一気にそこに集中するのが分かった。
「あっ……」
「ほらやっぱり、言葉で言うより身体のほうがずっと正直じゃん」
「フロイド……先輩……」
「なぁに? 小エビちゃん」
「そこ、やだ」
「ここ? どこ触られたら一番声出るか、もうすぐ分かりそう?」
耳元で囁かれる言葉の熱量と肌を辿る長い指の動きに、もはやまともな思考を保つことはできそうになかった。
直に触れられた肌からじんじんと熱が伝わり、息を吐き出すことすら容易ではなくなっていく。服の中に潜り込んだフロイドの手は急ぐ様子もなく、けれども確実に腰のラインを辿っていた。
「小エビちゃん、力抜きなよ」
「無理です……」
「まだ手だけじゃん。こんなんでビビって、このあとどうすんのさ」
くつくつと喉を鳴らして笑いながら、フロイドは大きな掌で腰の骨のあたりを優しく包み込むように圧をかけた。親指の腹が円を描くように小さく動き肌の表面を滑る。
「……んっ、そこ……っ」
「ここ? なんかゾクゾクする?」
「ちがう、だめ……力が抜ける……」
「いいじゃん。ほら、もっと力抜きなよ」
親指の動きが少しずつ中心に向かってずれていき、下腹部のあたりをかすかな力加減で刺激する。逃げようとして体を捻っても、背中に回されたもう一方の腕がしっかりと壁になっていて、少しも距離を取ることができない。
「もー、まだ教えてくれねぇの?」
耳元に唇を寄せて、フロイドが低く呟く。吐息が耳孔をくすぐるたびに、頭の芯が痺れるような感覚に襲われた。
「教えるもなにも……わからないって言ってるのに」
「嘘だー」
「嘘じゃ……ないです」
「さっきからここ触るたびに、ビクッて跳ねてんのバレバレだけど?」
「それは……フロイド先輩の手が冷たいからで……」
「冷たい? 小エビちゃんの体温が移ってさあ、オレの手もドロドロに溶けそうなのに?」
言いながら、指先がさらに肌の深いところへと滑り落ちていく。布地が引き絞られるかすかな擦過音とともに、指の節々が直に触れる面積が増えていく。
「……っ、フロイド、先輩」
「早く素直になりなって」
「無理……っ」
「でもさっきよりずっといい声。オレ、その声もっと聞きたい」
フロイドは満足そうに目を細めると、抱え込む腕の力をさらに強めた。胸元が押し付けられ、お互いの心臓が脈打つテンポが直接伝わってくる。あまりにも速いその鼓動が、自分だけのものなのか相手のものなのかすら判別がつかない。
「ねえ、小エビちゃん。ここ?」
「そこやだ……」
「うーん、こっち? それとも、もっと奥のほう?」
「聞かないで……もう……っ」
「だから確かめるって言ったじゃん。小エビちゃんが降参して泣きつくまで、オレやめる気ねーんだけど」
言葉の語尾が途切れると同時に、不意に視界が大きく傾いた。ソファの背もたれへと押し倒される形で身体が沈み込み、その上から重い体躯が完全に重なってくる。
「っ……あ……」
「だから我慢すんのやめなよ。顔、すっごく真っ赤で可愛いのにさ」
上から見下ろしてくる表情には、どこか呆れたような、けれども隠しきれない熱を帯びた感情が滲んでいた。指先が顎のラインを優しく掬い上げ、逃げ場をなくすようにして視線を繋ぎ止められる。
「早く降参しなよ? ……答え、直接オレに教えて」
返事をする猶予すら与えられないまま、降ってきた熱い吐息とともに唇が塞がれた。深く落ちていく思考のなかで、最初に尋ねられた問いの答えなど、とうに意味を失っていることだけが頭の中に広がっていた。
