サバナクロー
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昼休みの終わりが近い廊下。
後ろから声が飛んできてななしはぴたりと足を止めた。
「……で、なんで逃げるんスか」
聞き間違えるはずがない。
「別に逃げてないです」
「へえ」
すぐ後ろまで来たラギーが覗き込む。
「じゃあオレと目が合った瞬間、曲がり角に消えるのは偶然?」
「偶然です」
「昨日は?」
「偶然です」
「一昨日は?」
「……偶然です」
「偶然が続くなあ」
笑っている。
笑っているのに、どこか納得していない顔だった。
「オレ、なんかした?」
「してません」
「嫌われるようなこと」
「してませんって」
「ふーん」
ラギーが少しだけ身をかがめる。
「じゃあ嫌いじゃないんだ」
「え」
「違う?」
「違わないですけど」
「じゃあやっぱ避けてるじゃん」
「う……」
言葉が詰まる。
ラギーが肩を揺らした。
「シシシッ、図星」
「笑わないでください」
「だっておもしろいし」
「こっちはおもしろくないです」
「それは悪かったッスね」
そう言いながら全然悪そうじゃない。
むしろ楽しそうだった。
「でも理由くらい教えてよ」
「言えません」
「なんで」
「言えないからです」
「それ理由になってない」
「ラギー先輩だって言いたくないことありますよね」
「ある」
「じゃあおあいこです」
「オレのはたぶん命に関わることだけど」
「わたしのもそれくらい重大です」
「えっ」
ラギーが目を丸くした。
「そんな重いやつ?」
「……たぶん」
「マジ?」
「マジです」
少し沈黙したあと、ラギーが頭をかいた。
「それオレ関係ある?」
「あります」
「えぇ……」
今度こそ困った顔をした。
「オレ、ほんとに何したんスか」
「だから違いますって」
「でもオレ関係あるんでしょ」
「ありますけど違うんです」
「難問すぎる」
◇
その日からラギーは前よりよく話しかけてくるようになった。
廊下で会えば呼び止められる。
食堂では向かいに座られる。
気づけば隣にいる。
「ななしくん」
「……なんですか」
「まだ教えてくれない?」
「教えません」
「ケチ」
「ラギー先輩、しつこい」
「気になるんだから仕方ないでしょ」
「忘れてください」
「無理」
即答だった。
「オレのせいで避けられてるなら気になるに決まってるし」
「だから違いますってば」
「じゃあなんで避けるんスか」
「……」
「ほらまた黙る」
ラギーがストローをくわえたままこちらを見る。
視線が合う。
慌てて逸らす。
「……あ」
「ん?」
「いや」
まただ。
またやってしまった。
ラギーがじっとこちらを見る。
「もしかして」
「なんですか」
「オレの顔になんかついてる?」
「ついてません」
「じゃあなんで見ないの」
「見てます」
「いや見てない」
「……」
「オレ見ると困る?」
「困ります」
「なんで」
「……」
「やっぱオレ関係あるじゃん」
「ありますけど」
「教えてよ」
「嫌です」
「オレ泣くッスよ」
「え、」
「嘘」
ラギーがシシシッと笑う。
その笑い方までずるいと思う。
◇
「最近、仲良いよな」
不意にジャックが声をかけてくる。
「誰と」
「ラギー先輩と」
「えっ」
「よく一緒にいる」
「いや、そんな」
「でもこの前も話してただろ」
「たまたまだよ」
「食堂でも見た」
「……」
「仲良いな」
からかわれているわけではない。
ただの雑談。
それなのに妙に落ち着かない。
「そうかな」
「そうだろ」
「ラギー先輩って誰とでも話すし」
「でもあんな絡みに行ってるの珍しいぞ」
「……たしかに」
心臓が変な動きをする。
期待したくない。
期待する理由もない。
あの人は誰にでもああだ。
面倒見がよくて距離が近くて笑うのが上手い。
特別じゃない。
自分だけじゃない。
分かっている。
分かっているのに。
◇
「ななしくん」
振り返る。
またラギーだった。
「……またですか」
「またとは失礼ッスね」
「今日はなんですか」
「今日はちょっと相談」
「相談?」
「オレ、嫌われてると思う?」
「誰にですか」
「ある人に」
胸が跳ねた。
「なんで」
「避けられてるから」
「……」
「話しかけると困った顔するし」
「……」
「目も合わせてくれないし」
「……」
「オレ結構傷ついてるんスけど」
「それは……」
「冗談半分、本気半分」
「……」
「嫌われるの慣れてるつもりだったんだけどな」
その言葉が妙に残った。
「ラギー先輩」
「ん?」
「嫌いじゃないと思います」
「なんで分かるの」
「なんとなくです」
「根拠ないなあ」
「でも嫌いだったら近づきたくないです」
「うん」
「話しかけられるのも嫌です」
「うん」
「顔も見たくないです」
「……」
「だから違うと思います」
ラギーが少しだけ黙った。
「それってさ」
「はい」
「好きだから見れないとか、そういうやつだったりする?」
心臓が止まりそうになった。
「なっ」
「図星?」
「違います」
「否定するの早いなあ」
「違います」
「顔赤いッスけど」
「違います」
「耳まで赤い」
「見ないでください」
「無理」
笑っている。
なのに、ラギーの声は少しだけ真面目だった。
「オレのこと嫌いなら、なんでそんなに顔赤いわけ?」
言葉が出ない。
出るわけがない。
答えなんて一つしかない。
でも言えない。
言ったら終わる気がした。
「……知らないです」
「知らないことある?」
「あります」
「へえ」
「あります」
「じゃあオレが教えようか」
「結構です」
「遠慮しなくていいのに」
「遠慮します」
「オレはたぶん分かったッス」
「……」
「でも言わない」
「なんでですか」
「オレも言えないことあるから」
初めてだった。
ラギーがそんな顔をしたのは。
困ったみたいに笑って
少しだけ目を逸らして。
「おあいこってやつ?」
「……そうかもしれません」
◇
それから数日。
以前より余計に気まずい。
視線が合っては逸らす。
追いかけられては逃げる。
そして捕まる。
「また逃げた」
「逃げてません」
「逃げてる」
「違います」
「じゃあこっち見て」
「……」
「ほら」
見上げる。
近い。
近すぎる。
「うわ、また赤くなった」
「ラギー先輩のせいです」
「オレ?」
「そうです」
「なんで」
「知りません」
「知らないで済ませる気だ」
「済ませます」
ラギーが吹き出した。
「ほんと分かりやすいなあ」
「分かりやすくないです」
「いや分かりやすい」
「違います」
「じゃあオレが他の子と仲良くしてても平気?」
「……平気です」
「今、間があった」
「ありません」
「この前、オレが女子と話してるの見て逃げたの誰」
「たまたまです」
「また偶然?」
「偶然です」
「便利な言葉ッスね」
悔しい。
全部見抜かれている。
◇
「ラギー先輩は」
ぽつりと零れた。
「ん?」
「ラギー先輩は誰とでも仲良いじゃないですか」
「そうでもないッスよ」
「でも、わたしだけじゃないし」
言ってから後悔した。
何を言っているんだろう。
ラギーが黙る。
「……それ」
「忘れてください」
「嫉妬?」
「違います」
「違わない顔してる」
「違います」
「へえ」
ラギーが少し笑った。
「嬉しいかも」
「なんでですか」
「オレだけじゃなかったんだなって思って」
「……え」
「オレも同じこと考えてた」
頭が真っ白になる。
「ななしくんって誰にでも優しいし」
「そんなこと」
「オレだけじゃないし」
聞いたことのある言葉だった。
「だから勘違いするなって思ってた」
「……」
「期待すると痛いし」
いつもの顔でラギーが笑う。
でも少し違う。
「オレさ」
「……はい」
「結構前から好きなんだよね」
呼吸が止まる。
「でも嫌われてると思ってた」
「嫌ってないです」
「うん、今は知ってる」
「……」
「むしろ逆?」
返事ができないでいるとラギーが覗き込む。
「違う?」
「……」
「違うなら今言って」
言えるわけがない。
黙ったまま俯く。
「なるほどね」
「……」
「答え合わせ終了ってことで」
「ずるいです」
「何が?」
「ラギー先輩だけ言って」
「じゃあななしくんも言う?」
「……」
「ほら」
長い沈黙。
「……好きです」
声が小さすぎて自分でも聞こえなかった。
「ん?」
「聞こえてますよね」
「もう一回」
「嫌です」
「ケチ」
「ラギー先輩が悪いです」
「オレ?」
「はい」
「じゃあ罰としてもう一回聞かせて」
「嫌です」
「お願い」
「……好きです」
ラギーが笑った。
今まで見たどの笑顔より嬉しそうに。
「うん」
「……笑わないでください」
「笑うでしょ、こんなの」
「ひどい」
「だってオレも嬉しいし」
少しの沈黙。
「これから逃げない?」
「努力します」
「努力かあ」
「ラギー先輩もからかわないでください」
「努力する」
「絶対しない顔です」
「バレた」
また笑う。
今度はちゃんと目を合わせたまま。
「でもさ、逃げられるより今の方がいい」
「……はい」
「オレも」
「……」
「好きな子にはちゃんと好きって言われたいし」
また顔が熱くなる。
「ほらまた赤い」
「ラギー先輩のせいです」
「知ってる」
「分かってて言ってますよね」
「もちろん」
「ずるいです」
「今さら?」
その言葉に思わず笑ってしまう。
遠回りばかりだった。
勘違いばかりだった。
それでも同じところで立ち止まっていた二人はやっと同じ方向を見つけた。
後ろから声が飛んできてななしはぴたりと足を止めた。
「……で、なんで逃げるんスか」
聞き間違えるはずがない。
「別に逃げてないです」
「へえ」
すぐ後ろまで来たラギーが覗き込む。
「じゃあオレと目が合った瞬間、曲がり角に消えるのは偶然?」
「偶然です」
「昨日は?」
「偶然です」
「一昨日は?」
「……偶然です」
「偶然が続くなあ」
笑っている。
笑っているのに、どこか納得していない顔だった。
「オレ、なんかした?」
「してません」
「嫌われるようなこと」
「してませんって」
「ふーん」
ラギーが少しだけ身をかがめる。
「じゃあ嫌いじゃないんだ」
「え」
「違う?」
「違わないですけど」
「じゃあやっぱ避けてるじゃん」
「う……」
言葉が詰まる。
ラギーが肩を揺らした。
「シシシッ、図星」
「笑わないでください」
「だっておもしろいし」
「こっちはおもしろくないです」
「それは悪かったッスね」
そう言いながら全然悪そうじゃない。
むしろ楽しそうだった。
「でも理由くらい教えてよ」
「言えません」
「なんで」
「言えないからです」
「それ理由になってない」
「ラギー先輩だって言いたくないことありますよね」
「ある」
「じゃあおあいこです」
「オレのはたぶん命に関わることだけど」
「わたしのもそれくらい重大です」
「えっ」
ラギーが目を丸くした。
「そんな重いやつ?」
「……たぶん」
「マジ?」
「マジです」
少し沈黙したあと、ラギーが頭をかいた。
「それオレ関係ある?」
「あります」
「えぇ……」
今度こそ困った顔をした。
「オレ、ほんとに何したんスか」
「だから違いますって」
「でもオレ関係あるんでしょ」
「ありますけど違うんです」
「難問すぎる」
◇
その日からラギーは前よりよく話しかけてくるようになった。
廊下で会えば呼び止められる。
食堂では向かいに座られる。
気づけば隣にいる。
「ななしくん」
「……なんですか」
「まだ教えてくれない?」
「教えません」
「ケチ」
「ラギー先輩、しつこい」
「気になるんだから仕方ないでしょ」
「忘れてください」
「無理」
即答だった。
「オレのせいで避けられてるなら気になるに決まってるし」
「だから違いますってば」
「じゃあなんで避けるんスか」
「……」
「ほらまた黙る」
ラギーがストローをくわえたままこちらを見る。
視線が合う。
慌てて逸らす。
「……あ」
「ん?」
「いや」
まただ。
またやってしまった。
ラギーがじっとこちらを見る。
「もしかして」
「なんですか」
「オレの顔になんかついてる?」
「ついてません」
「じゃあなんで見ないの」
「見てます」
「いや見てない」
「……」
「オレ見ると困る?」
「困ります」
「なんで」
「……」
「やっぱオレ関係あるじゃん」
「ありますけど」
「教えてよ」
「嫌です」
「オレ泣くッスよ」
「え、」
「嘘」
ラギーがシシシッと笑う。
その笑い方までずるいと思う。
◇
「最近、仲良いよな」
不意にジャックが声をかけてくる。
「誰と」
「ラギー先輩と」
「えっ」
「よく一緒にいる」
「いや、そんな」
「でもこの前も話してただろ」
「たまたまだよ」
「食堂でも見た」
「……」
「仲良いな」
からかわれているわけではない。
ただの雑談。
それなのに妙に落ち着かない。
「そうかな」
「そうだろ」
「ラギー先輩って誰とでも話すし」
「でもあんな絡みに行ってるの珍しいぞ」
「……たしかに」
心臓が変な動きをする。
期待したくない。
期待する理由もない。
あの人は誰にでもああだ。
面倒見がよくて距離が近くて笑うのが上手い。
特別じゃない。
自分だけじゃない。
分かっている。
分かっているのに。
◇
「ななしくん」
振り返る。
またラギーだった。
「……またですか」
「またとは失礼ッスね」
「今日はなんですか」
「今日はちょっと相談」
「相談?」
「オレ、嫌われてると思う?」
「誰にですか」
「ある人に」
胸が跳ねた。
「なんで」
「避けられてるから」
「……」
「話しかけると困った顔するし」
「……」
「目も合わせてくれないし」
「……」
「オレ結構傷ついてるんスけど」
「それは……」
「冗談半分、本気半分」
「……」
「嫌われるの慣れてるつもりだったんだけどな」
その言葉が妙に残った。
「ラギー先輩」
「ん?」
「嫌いじゃないと思います」
「なんで分かるの」
「なんとなくです」
「根拠ないなあ」
「でも嫌いだったら近づきたくないです」
「うん」
「話しかけられるのも嫌です」
「うん」
「顔も見たくないです」
「……」
「だから違うと思います」
ラギーが少しだけ黙った。
「それってさ」
「はい」
「好きだから見れないとか、そういうやつだったりする?」
心臓が止まりそうになった。
「なっ」
「図星?」
「違います」
「否定するの早いなあ」
「違います」
「顔赤いッスけど」
「違います」
「耳まで赤い」
「見ないでください」
「無理」
笑っている。
なのに、ラギーの声は少しだけ真面目だった。
「オレのこと嫌いなら、なんでそんなに顔赤いわけ?」
言葉が出ない。
出るわけがない。
答えなんて一つしかない。
でも言えない。
言ったら終わる気がした。
「……知らないです」
「知らないことある?」
「あります」
「へえ」
「あります」
「じゃあオレが教えようか」
「結構です」
「遠慮しなくていいのに」
「遠慮します」
「オレはたぶん分かったッス」
「……」
「でも言わない」
「なんでですか」
「オレも言えないことあるから」
初めてだった。
ラギーがそんな顔をしたのは。
困ったみたいに笑って
少しだけ目を逸らして。
「おあいこってやつ?」
「……そうかもしれません」
◇
それから数日。
以前より余計に気まずい。
視線が合っては逸らす。
追いかけられては逃げる。
そして捕まる。
「また逃げた」
「逃げてません」
「逃げてる」
「違います」
「じゃあこっち見て」
「……」
「ほら」
見上げる。
近い。
近すぎる。
「うわ、また赤くなった」
「ラギー先輩のせいです」
「オレ?」
「そうです」
「なんで」
「知りません」
「知らないで済ませる気だ」
「済ませます」
ラギーが吹き出した。
「ほんと分かりやすいなあ」
「分かりやすくないです」
「いや分かりやすい」
「違います」
「じゃあオレが他の子と仲良くしてても平気?」
「……平気です」
「今、間があった」
「ありません」
「この前、オレが女子と話してるの見て逃げたの誰」
「たまたまです」
「また偶然?」
「偶然です」
「便利な言葉ッスね」
悔しい。
全部見抜かれている。
◇
「ラギー先輩は」
ぽつりと零れた。
「ん?」
「ラギー先輩は誰とでも仲良いじゃないですか」
「そうでもないッスよ」
「でも、わたしだけじゃないし」
言ってから後悔した。
何を言っているんだろう。
ラギーが黙る。
「……それ」
「忘れてください」
「嫉妬?」
「違います」
「違わない顔してる」
「違います」
「へえ」
ラギーが少し笑った。
「嬉しいかも」
「なんでですか」
「オレだけじゃなかったんだなって思って」
「……え」
「オレも同じこと考えてた」
頭が真っ白になる。
「ななしくんって誰にでも優しいし」
「そんなこと」
「オレだけじゃないし」
聞いたことのある言葉だった。
「だから勘違いするなって思ってた」
「……」
「期待すると痛いし」
いつもの顔でラギーが笑う。
でも少し違う。
「オレさ」
「……はい」
「結構前から好きなんだよね」
呼吸が止まる。
「でも嫌われてると思ってた」
「嫌ってないです」
「うん、今は知ってる」
「……」
「むしろ逆?」
返事ができないでいるとラギーが覗き込む。
「違う?」
「……」
「違うなら今言って」
言えるわけがない。
黙ったまま俯く。
「なるほどね」
「……」
「答え合わせ終了ってことで」
「ずるいです」
「何が?」
「ラギー先輩だけ言って」
「じゃあななしくんも言う?」
「……」
「ほら」
長い沈黙。
「……好きです」
声が小さすぎて自分でも聞こえなかった。
「ん?」
「聞こえてますよね」
「もう一回」
「嫌です」
「ケチ」
「ラギー先輩が悪いです」
「オレ?」
「はい」
「じゃあ罰としてもう一回聞かせて」
「嫌です」
「お願い」
「……好きです」
ラギーが笑った。
今まで見たどの笑顔より嬉しそうに。
「うん」
「……笑わないでください」
「笑うでしょ、こんなの」
「ひどい」
「だってオレも嬉しいし」
少しの沈黙。
「これから逃げない?」
「努力します」
「努力かあ」
「ラギー先輩もからかわないでください」
「努力する」
「絶対しない顔です」
「バレた」
また笑う。
今度はちゃんと目を合わせたまま。
「でもさ、逃げられるより今の方がいい」
「……はい」
「オレも」
「……」
「好きな子にはちゃんと好きって言われたいし」
また顔が熱くなる。
「ほらまた赤い」
「ラギー先輩のせいです」
「知ってる」
「分かってて言ってますよね」
「もちろん」
「ずるいです」
「今さら?」
その言葉に思わず笑ってしまう。
遠回りばかりだった。
勘違いばかりだった。
それでも同じところで立ち止まっていた二人はやっと同じ方向を見つけた。
