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モストロ・ラウンジの営業終了後。
賑やかだった喧騒は遠のき、淡い水槽のパロットグリーン光だけが不気味に揺れる店内で二人に左右から挟まれていた。海の底に沈んだかのような、息苦しいほどの静寂が足元から這い上がってくる。
「ねぇ、小エビちゃん。さっきからジェイドばっかり見てるねぇ……オレ、お腹空いちゃった。ねぇ何食べていい?」
右からフロイドの低くひび割れた甘い声が鼓膜をダイレクトに揺らす。
フロイドの長躯が重みを持ってのしかかり、ななしの肩にずっしりと頭を預けながら大きな長い指先で衣服の裾や髪をくるくると弄んでいる。
その瞳は細められて笑っているようでいて、網にかかった獲物をどう料理するか定めるような冷酷な獣の鋭さを隠しきれていない。
「フロイド、あまり最初から怯えさせてはななしさんが可哀想でしょう。困らせてはいけませんよ」
左に座るジェイドが、いつもの崩れない穏やかな微笑みを浮かべて嗜める。だが、そう口にする彼の大きな手はななしを逃がさないように指の隙間まで容赦なく割り込み、骨が軋むほどしっかりと握り込まれていた。
手袋越しでも伝わる冷ややかなのにどこか内側でドロりと燃えているような歪な体温が肌を通じて脳を痺れさせる。
「僕だってななしさんとじっくりお話ししたいことは山ほどあるんです。……ねぇ、僕の目を見てください?」
ジェイドの瞳が獲物を捕らえた蛇のように細められる。
それはななしの退路を一つ残らず叩き潰すための冷徹な宣告だった。
「やだ。ジェイドの話、長くて退屈じゃん。小エビちゃん、オレとぎゅーってして壊れるまで遊ぼうよ」
フロイドがさらに長い腕に力を込め、ななしの身体を自分の胸板へと強引に引き寄せる。
対抗するようにジェイドが握った手を微塵も緩めず、圧倒的な力で自分の側へと引き戻す。二人の男の強大な力に左右から引かれ、ななしの小さな身体はただ翻弄されるしかない。
「フロイド、強引にするのはいけません。……おや、ななしさん。耳まで真っ赤ですね? ──フロイドの乱暴な抱擁と、僕のこういった……裏側まで探るような愛撫。どちらに触れられるのが、より貴方を惑わせるのでしょうね」
ジェイドの片手がななしの顎を優しく、しかし強い力で固定し親指の腹で下唇をじりじりと押し開いていく。
二人の視線がななしの顔の真上で、獲物の所有権を主張し合うように静かに火花を散らした。彼らは楽しんでいるのだ。ななしが泣きそうな顔で震えるのを、逃げ道を一つずつ丁寧に確実に潰しながら観察している。
「どっちがいい? 絞め殺されるくらいきつく抱きしめて、オレのものにしてあげようか?」
「それとも、僕の毒にじわじわと冒されて、何も考えられなくなってみますか?」
水槽の泡がポツリポツリと気泡を立てて弾ける音だけが響く冷たい暗闇の中。どちらの手を取っても、あるいはどちらを拒んで泣き叫んでも、結局は光の届かない深い深い海の底へ引きずり込まれ、二度と陸には帰してもらえない運命なのだと。
二人の釣り上がった愉しげな捕食者の微笑みが残酷に告げていた。
賑やかだった喧騒は遠のき、淡い水槽のパロットグリーン光だけが不気味に揺れる店内で二人に左右から挟まれていた。海の底に沈んだかのような、息苦しいほどの静寂が足元から這い上がってくる。
「ねぇ、小エビちゃん。さっきからジェイドばっかり見てるねぇ……オレ、お腹空いちゃった。ねぇ何食べていい?」
右からフロイドの低くひび割れた甘い声が鼓膜をダイレクトに揺らす。
フロイドの長躯が重みを持ってのしかかり、ななしの肩にずっしりと頭を預けながら大きな長い指先で衣服の裾や髪をくるくると弄んでいる。
その瞳は細められて笑っているようでいて、網にかかった獲物をどう料理するか定めるような冷酷な獣の鋭さを隠しきれていない。
「フロイド、あまり最初から怯えさせてはななしさんが可哀想でしょう。困らせてはいけませんよ」
左に座るジェイドが、いつもの崩れない穏やかな微笑みを浮かべて嗜める。だが、そう口にする彼の大きな手はななしを逃がさないように指の隙間まで容赦なく割り込み、骨が軋むほどしっかりと握り込まれていた。
手袋越しでも伝わる冷ややかなのにどこか内側でドロりと燃えているような歪な体温が肌を通じて脳を痺れさせる。
「僕だってななしさんとじっくりお話ししたいことは山ほどあるんです。……ねぇ、僕の目を見てください?」
ジェイドの瞳が獲物を捕らえた蛇のように細められる。
それはななしの退路を一つ残らず叩き潰すための冷徹な宣告だった。
「やだ。ジェイドの話、長くて退屈じゃん。小エビちゃん、オレとぎゅーってして壊れるまで遊ぼうよ」
フロイドがさらに長い腕に力を込め、ななしの身体を自分の胸板へと強引に引き寄せる。
対抗するようにジェイドが握った手を微塵も緩めず、圧倒的な力で自分の側へと引き戻す。二人の男の強大な力に左右から引かれ、ななしの小さな身体はただ翻弄されるしかない。
「フロイド、強引にするのはいけません。……おや、ななしさん。耳まで真っ赤ですね? ──フロイドの乱暴な抱擁と、僕のこういった……裏側まで探るような愛撫。どちらに触れられるのが、より貴方を惑わせるのでしょうね」
ジェイドの片手がななしの顎を優しく、しかし強い力で固定し親指の腹で下唇をじりじりと押し開いていく。
二人の視線がななしの顔の真上で、獲物の所有権を主張し合うように静かに火花を散らした。彼らは楽しんでいるのだ。ななしが泣きそうな顔で震えるのを、逃げ道を一つずつ丁寧に確実に潰しながら観察している。
「どっちがいい? 絞め殺されるくらいきつく抱きしめて、オレのものにしてあげようか?」
「それとも、僕の毒にじわじわと冒されて、何も考えられなくなってみますか?」
水槽の泡がポツリポツリと気泡を立てて弾ける音だけが響く冷たい暗闇の中。どちらの手を取っても、あるいはどちらを拒んで泣き叫んでも、結局は光の届かない深い深い海の底へ引きずり込まれ、二度と陸には帰してもらえない運命なのだと。
二人の釣り上がった愉しげな捕食者の微笑みが残酷に告げていた。
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