オクタビネル
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ねぇ、小エビちゃん。そこ、もっと強く押して」
湯気に煙る空間に、低くどこか気だるげな声が響く。
広々とした浴槽の縁に長身を預け、フロイドは気持ち良さそうに目を細めていた。
「これくらいですか? フロイド先輩、結構凝ってますね」
「そうそう、そこ。小エビちゃん、意外と力強いじゃん」
浴槽の縁に膝をつき、彼の広い背中に指を押し当てる。
水面に浮かぶ白い泡が二人の動きに合わせて不規則に揺れていた。
濡れた漆黒の髪から時折しずくが落ちて水面を叩く。
「毎日あれだけ動き回っていれば、嫌でも体力はつきます。はい、終わりです」
「えー、もうやめちゃうの? もっとやってよぉ」
フロイドは不満げに唇を尖らせ、濡れた身体を反転させた。
ざばりと大きな水音が響き、浴槽の湯が大きく波打つ。
至近距離で視線が交差した。
濡れた睫毛の奥にある瞳が室内の灯りを反射して怪しく煌めく。
「これ以上やったら、わたしの腕が上がらなくなります。次はフロイド先輩の番ですよ」
「オレ? えー、めんどくさぁい」
そう言いながらもフロイドは楽しそうに口元を歪めた。
長い腕が容赦なく伸びてきて小さな肩を掴む。
引き寄せられる勢いのまま、温かい湯の中に身体が沈んだ。
「わ、ちょっと、引っ張りすぎです」
「いーじゃん。ほら、こっちおいで」
すぐ隣に並んだ身体は、湯の温度以上に熱を帯びている。
肌が触れ合うたびに微かな波紋が生まれた。
湿度の高い空気が二人の間の距離を曖昧にさせていく。
「フロイド先輩、髪、ちゃんと洗いました?」
「洗ったよ。小エビちゃん、疑いぶかーい」
フロイドは大きな手を伸ばし、濡れた髪をわざと乱暴に撫で回した。
悪戯っぽく笑う顔がすぐ目の前にある。
濡れた肌から立ち上る熱気が室内に心地よい気怠さを運んでいた。
「冷たい水、持ってきましょうか」
「いらない。それよりさ、もっと近くに寄ってよ」
大きな手が腰の後ろに回り引き戻す。
逃げる隙を与えないような、だけどどこか優しい強さだった。
浴槽の白い湯気の中で、お互いの吐息が静かに重なり合っていく。
「……フロイド先輩、近い」
「別にいーじゃん。小エビちゃん、あったかいし」
腰を抱く手のひらから、じわりと熱が伝わる。
湯の熱さとは違う肌の奥から滲み出るような生々しい体温。
密着した胸元からフロイドの規則正しい鼓動が響いていた。
水面の下で長い脚が少女の足首にすり寄せられる。
「フロイド先輩も熱いですよ」
「んー、そう? オレ、いま気持ちいいからかも」
ふふ、と喉の奥で鳴らすような笑い声。
吐き出された息が鎖骨のあたりを掠め、白い皮膚を粟立たせた。
室内の高い湿度が二人の呼吸を少しだけ重くしていく。
吸い込む空気が熱を帯び、空間全体がじんわりと痺れるような空気に包まれていく。
「のぼせてるんじゃないですか? ほら、一回お湯から出ましょう」
「やだ。出ない。小エビちゃんもここにいて」
逃れようともがくほど腰を固定する腕の力が強くなった。
大きな手が背中をゆっくりと滑り、肩甲骨のあたりを優しくなぞる。
指先が触れるたび、皮膚の表面がちりちりと熱を帯びていった。まるで容赦なく熱を注がれているような、逃げ場のない距離。
「……ん、ちょっと、くすぐったいです」
「くすぐったいだけ? ねえ、本当に?」
覗き込んできたフロイドの顔がさらに近づく。
濡れた前髪の隙間から、射抜くような強い視線が向けられていた。
いつもは気まぐれに揺れるその目が、今はひどく落ち着いていて、眼前の微細な変化まで見落とさないように捕らえている。
「小エビちゃん、顔、真っ赤」
「……熱いせいです」
「へえ、そうなんだ」
フロイドは口元を三日月のように歪めると、空いたほうの手で頬に触れた。
親指の腹が濡れた皮膚をゆっくりと押し下げる。
触れられた場所から熱が溶け出していくように、心臓の音がお湯の揺れる音と混ざり合っていく。
「ねえ、小エビちゃんさぁ……」
引き絞るような低い声。
その指先が今度は唇の端にそっと触れた。
「……なんですか」
「んー、べつにー」
唇に触れる親指の腹が輪郭をなぞるようにゆっくりと動く。
皮膚のざらつきすらもひどく鮮明に、濃密にその場の空気を支配していた。
お湯の音も天井から落ちる水滴の音も、すべてが遠い世界の出来事のように霞んでいく。
ただそこにある大きな存在と、肌を通じて流れ込んでくる熱量だけが、二人のすべてを占めていた。
「小エビちゃん、息、止まってるよ」
「……止まって、ないです」
言い返した声は小さく、掠れている。
フロイドはそれを聞いて満足そうに目を細めた。
頬を包み込む手のひらが一段と熱さを増し、そのまま後頭部へと回り込む。逃げ道を塞ぐように、長い指先が濡れた髪の隙間に深く滑り込んだ。
「嘘つき。ここ、すっごい速く動いてるじゃん」
もう片方の手が濡れた胸元にそっと置かれる。
跳ねるような鼓動が手のひらにダイレクトに伝わっていた。
互いの熱に全身が侵食されていくような、静かな諦めがその場を満たす。身体の境界線が、温かい水の中で溶けて混ざり合っていくようだった。
「……フロイド先輩のせいです」
「あはっ、オレのせい? 嬉しいこと言うねぇ」
低く掠れた笑い声が耳のすぐ近くで弾けた。
フロイドの顔が、いよいよ影を落とすように近づいてくる。
お互いの熱い吐息が完全に混ざり合い、唇が触れ合う寸前の張り詰めた空気が肌を刺す。ただじっと見つめ合うだけの数秒が、永遠のように長く深く、静かに沈んでいった。
「ねぇ、小エビちゃん。……もう、我慢しなくていい?」
ねだるような、だけどすべてを見透かしたような声が空気を優しく揺らした。重ねられた手のひらから言葉以上の強い感情がじわじわと、確実に伝わってくる。
やがて、静かに瞼が閉じられた。
重なった唇から痺れるような熱が全身へ駆け巡る。
お湯の温かさを忘れるほど、互いの口内に広がる体温は生々しく濃密だった。
フロイドの舌が気まぐれに、だけど執拗に輪郭をなぞるたび、互いの境界線が完全に蕩けていく。背中に回された腕の力が強くなり、折れそうなほど抱きすくめられた。
「……んっ、……ふ、ぅ」
息が続かなくなり胸が小さく叩かれると、フロイドは名残惜しそうにゆっくりと唇を離した。
銀色に光る細い糸が二人の間で儚く伸びて、水面へと落ちる。
フロイドの呼吸も少しだけ荒く、濡れた前髪の奥の瞳が熱を孕んで爛々と輝いていた。
「小エビちゃん、かわいー。もっとしよ?」
「だめ、です……。本当に上がらないと、倒れちゃいます」
はぁはぁと肩で息をしながら胸元が押し返される。
これ以上ここにいたら、理性が保てなくなるのは明白だった。
フロイドは一瞬、不満そうに眉を寄せたものの、本気の様子を察したのか力を抜いた。
「ちぇー。小エビちゃんのケチ」
大きな身体が離れると、たちまち夜の浴室の空気が肌寒く感じられた。
フロイドはざばりと音を立てて浴槽の縁に腰掛け、長い脚を水面から放り出す。
その表情は先ほどまでの濃密な空気から、いつもの気まぐれな先輩のそれへと戻りつつあった。
「じゃ、オレが先にあがるねー。小エビちゃん、のぼせて倒れないでよ?」
「フロイド先輩のせいで倒れそうでしたよ。……先に行っててください」
ひらひらと大きな手を振って、フロイドは浴室の扉を開けて出ていく。
残された空間には、まだ二人の熱の余韻が白く立ち込めていた。
静まり返った浴室に、湯の波紋だけがゆっくりと消えていく。湯気に包まれた温かい時間が、二人の間に確かな足跡を残していた。
湯気に煙る空間に、低くどこか気だるげな声が響く。
広々とした浴槽の縁に長身を預け、フロイドは気持ち良さそうに目を細めていた。
「これくらいですか? フロイド先輩、結構凝ってますね」
「そうそう、そこ。小エビちゃん、意外と力強いじゃん」
浴槽の縁に膝をつき、彼の広い背中に指を押し当てる。
水面に浮かぶ白い泡が二人の動きに合わせて不規則に揺れていた。
濡れた漆黒の髪から時折しずくが落ちて水面を叩く。
「毎日あれだけ動き回っていれば、嫌でも体力はつきます。はい、終わりです」
「えー、もうやめちゃうの? もっとやってよぉ」
フロイドは不満げに唇を尖らせ、濡れた身体を反転させた。
ざばりと大きな水音が響き、浴槽の湯が大きく波打つ。
至近距離で視線が交差した。
濡れた睫毛の奥にある瞳が室内の灯りを反射して怪しく煌めく。
「これ以上やったら、わたしの腕が上がらなくなります。次はフロイド先輩の番ですよ」
「オレ? えー、めんどくさぁい」
そう言いながらもフロイドは楽しそうに口元を歪めた。
長い腕が容赦なく伸びてきて小さな肩を掴む。
引き寄せられる勢いのまま、温かい湯の中に身体が沈んだ。
「わ、ちょっと、引っ張りすぎです」
「いーじゃん。ほら、こっちおいで」
すぐ隣に並んだ身体は、湯の温度以上に熱を帯びている。
肌が触れ合うたびに微かな波紋が生まれた。
湿度の高い空気が二人の間の距離を曖昧にさせていく。
「フロイド先輩、髪、ちゃんと洗いました?」
「洗ったよ。小エビちゃん、疑いぶかーい」
フロイドは大きな手を伸ばし、濡れた髪をわざと乱暴に撫で回した。
悪戯っぽく笑う顔がすぐ目の前にある。
濡れた肌から立ち上る熱気が室内に心地よい気怠さを運んでいた。
「冷たい水、持ってきましょうか」
「いらない。それよりさ、もっと近くに寄ってよ」
大きな手が腰の後ろに回り引き戻す。
逃げる隙を与えないような、だけどどこか優しい強さだった。
浴槽の白い湯気の中で、お互いの吐息が静かに重なり合っていく。
「……フロイド先輩、近い」
「別にいーじゃん。小エビちゃん、あったかいし」
腰を抱く手のひらから、じわりと熱が伝わる。
湯の熱さとは違う肌の奥から滲み出るような生々しい体温。
密着した胸元からフロイドの規則正しい鼓動が響いていた。
水面の下で長い脚が少女の足首にすり寄せられる。
「フロイド先輩も熱いですよ」
「んー、そう? オレ、いま気持ちいいからかも」
ふふ、と喉の奥で鳴らすような笑い声。
吐き出された息が鎖骨のあたりを掠め、白い皮膚を粟立たせた。
室内の高い湿度が二人の呼吸を少しだけ重くしていく。
吸い込む空気が熱を帯び、空間全体がじんわりと痺れるような空気に包まれていく。
「のぼせてるんじゃないですか? ほら、一回お湯から出ましょう」
「やだ。出ない。小エビちゃんもここにいて」
逃れようともがくほど腰を固定する腕の力が強くなった。
大きな手が背中をゆっくりと滑り、肩甲骨のあたりを優しくなぞる。
指先が触れるたび、皮膚の表面がちりちりと熱を帯びていった。まるで容赦なく熱を注がれているような、逃げ場のない距離。
「……ん、ちょっと、くすぐったいです」
「くすぐったいだけ? ねえ、本当に?」
覗き込んできたフロイドの顔がさらに近づく。
濡れた前髪の隙間から、射抜くような強い視線が向けられていた。
いつもは気まぐれに揺れるその目が、今はひどく落ち着いていて、眼前の微細な変化まで見落とさないように捕らえている。
「小エビちゃん、顔、真っ赤」
「……熱いせいです」
「へえ、そうなんだ」
フロイドは口元を三日月のように歪めると、空いたほうの手で頬に触れた。
親指の腹が濡れた皮膚をゆっくりと押し下げる。
触れられた場所から熱が溶け出していくように、心臓の音がお湯の揺れる音と混ざり合っていく。
「ねえ、小エビちゃんさぁ……」
引き絞るような低い声。
その指先が今度は唇の端にそっと触れた。
「……なんですか」
「んー、べつにー」
唇に触れる親指の腹が輪郭をなぞるようにゆっくりと動く。
皮膚のざらつきすらもひどく鮮明に、濃密にその場の空気を支配していた。
お湯の音も天井から落ちる水滴の音も、すべてが遠い世界の出来事のように霞んでいく。
ただそこにある大きな存在と、肌を通じて流れ込んでくる熱量だけが、二人のすべてを占めていた。
「小エビちゃん、息、止まってるよ」
「……止まって、ないです」
言い返した声は小さく、掠れている。
フロイドはそれを聞いて満足そうに目を細めた。
頬を包み込む手のひらが一段と熱さを増し、そのまま後頭部へと回り込む。逃げ道を塞ぐように、長い指先が濡れた髪の隙間に深く滑り込んだ。
「嘘つき。ここ、すっごい速く動いてるじゃん」
もう片方の手が濡れた胸元にそっと置かれる。
跳ねるような鼓動が手のひらにダイレクトに伝わっていた。
互いの熱に全身が侵食されていくような、静かな諦めがその場を満たす。身体の境界線が、温かい水の中で溶けて混ざり合っていくようだった。
「……フロイド先輩のせいです」
「あはっ、オレのせい? 嬉しいこと言うねぇ」
低く掠れた笑い声が耳のすぐ近くで弾けた。
フロイドの顔が、いよいよ影を落とすように近づいてくる。
お互いの熱い吐息が完全に混ざり合い、唇が触れ合う寸前の張り詰めた空気が肌を刺す。ただじっと見つめ合うだけの数秒が、永遠のように長く深く、静かに沈んでいった。
「ねぇ、小エビちゃん。……もう、我慢しなくていい?」
ねだるような、だけどすべてを見透かしたような声が空気を優しく揺らした。重ねられた手のひらから言葉以上の強い感情がじわじわと、確実に伝わってくる。
やがて、静かに瞼が閉じられた。
重なった唇から痺れるような熱が全身へ駆け巡る。
お湯の温かさを忘れるほど、互いの口内に広がる体温は生々しく濃密だった。
フロイドの舌が気まぐれに、だけど執拗に輪郭をなぞるたび、互いの境界線が完全に蕩けていく。背中に回された腕の力が強くなり、折れそうなほど抱きすくめられた。
「……んっ、……ふ、ぅ」
息が続かなくなり胸が小さく叩かれると、フロイドは名残惜しそうにゆっくりと唇を離した。
銀色に光る細い糸が二人の間で儚く伸びて、水面へと落ちる。
フロイドの呼吸も少しだけ荒く、濡れた前髪の奥の瞳が熱を孕んで爛々と輝いていた。
「小エビちゃん、かわいー。もっとしよ?」
「だめ、です……。本当に上がらないと、倒れちゃいます」
はぁはぁと肩で息をしながら胸元が押し返される。
これ以上ここにいたら、理性が保てなくなるのは明白だった。
フロイドは一瞬、不満そうに眉を寄せたものの、本気の様子を察したのか力を抜いた。
「ちぇー。小エビちゃんのケチ」
大きな身体が離れると、たちまち夜の浴室の空気が肌寒く感じられた。
フロイドはざばりと音を立てて浴槽の縁に腰掛け、長い脚を水面から放り出す。
その表情は先ほどまでの濃密な空気から、いつもの気まぐれな先輩のそれへと戻りつつあった。
「じゃ、オレが先にあがるねー。小エビちゃん、のぼせて倒れないでよ?」
「フロイド先輩のせいで倒れそうでしたよ。……先に行っててください」
ひらひらと大きな手を振って、フロイドは浴室の扉を開けて出ていく。
残された空間には、まだ二人の熱の余韻が白く立ち込めていた。
静まり返った浴室に、湯の波紋だけがゆっくりと消えていく。湯気に包まれた温かい時間が、二人の間に確かな足跡を残していた。
