ディアソムニア
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昼休みの賑やかな喧騒が中庭のあちこちから聞こえてくる。
突き抜けるような青空からは温かい陽光が降り注ぎ、芝生の上を生徒たちがせわしなく行き交っていた。
そんな中、校舎の裏手にある少し人通りの少ないベンチ。
ななしは、購買部で辛うじて勝ち取ったサンドイッチの包みを開けてホッと息を吐いていた。
「ふぅ、今日も購買部は戦場だったな……」
「おや、何やらお疲れのようじゃな、ななし」
突然頭上から降ってきた軽快な声に、ななしはびくっと肩を揺らす。
見上げれば、まるで重力を無視したかのようにひらりとベンチへ飛び乗ってきたリリアが、悪戯っぽく目を細めていた。
「リリア先輩! びっくりした……」
リリアはベンチから軽やかに飛び降りると、ななしのすぐ隣に腰掛けた。制服の肩と肩が、ほんの少しだけ触れ合う。
「そういえばリリア先輩、さっき購買部の前を通った時、エースとデュースが『あいつら本当に顔だけはいいよな』って他の寮の先輩たちのこと噂してたんです」
「ほう? 顔だけとは手厳しいのう。しかし確かにこの学園には、見栄えだけは一丁前の男が揃っておるからな。お主の元の世界と比べても、引けは取らんじゃろう?」
ななしはサンドイッチをモグモグと咀嚼し、飲み込んでから深く頷いた。
「この学園に来て一番驚いたの、それかもしれません。本当にイケメン多いですよね。元の世界じゃ、あんな綺麗な人たちテレビの向こうでしか見たことなかったです。エースやデュースも黙ってれば格好いいし、先輩方もみんな華があって……」
「くふふ、お主もやはり年頃の娘。そういった事に興味があるのかのう?」
リリアが頬杖をつきながらななしの顔を覗き込んでくる。
その瞳が陽の光を浴びて宝石のようにきらきらと輝いていた。
「うーん、興味っていうか……目の保養になるなとは思います。でもみんな個性が強すぎて、恋愛対象って言われると違うなっていうか。いや、本当に烏滸がましい話なんですけどね。毎日トラブルの片付けで手一杯ですし、何よりみんなわたしのこと異性と思ってなさそうですし」
「それは大きな間違いじゃ、ななし」
リリアの声が中庭の喧騒を遮るように、すとんと鼓膜に落ちる。
ななしは次のサンドイッチに手を伸ばそうとしたところで、その声のトーンに少しだけ手を止めた。
「わしの目から見ればお主は十分に魅力的じゃ。周囲の荒くれ者に怯むことなく、一生懸命に毎日を生き抜いておる。現にわしはこうしてお主と無駄話をする時間を何よりも楽しみにしているのだからな」
「リリア先輩はいつも優しいですね。そうやって普通の女の子みたいに扱ってくれるの、すごく嬉しいです」
リリアはななしの笑顔をじっと見つめ、ふっと小さく吐息を漏らした。
「優しい、か……。お主は時折わざとやっているのかと思うほど、わしの言葉を都合よく受け取るのう。まあ、そういう初心なところも、お主の美徳ではあるが」
「え? 何か言いました?」
「いや何でもない。ただ元の世界の男どもに、お主を奪われなくて良かったと思うてな。お主がこの世界に来てわしの前に現れたのは、ある種の運命だったのかもしれん」
「運命だなんて大袈裟ですよ。リリア先輩、たまにロマンチストになりますね」
ななしは楽しそうに笑うが、リリアの視線はななしのほんのりと桜色に染まった唇へと注がれていた。
昼休みの終わりを告げる予鈴まで、まだ少し時間がある。
頭上を通り抜ける生温い昼下がりの風が、二人の間の空気をじわじわと目に見えない熱で満たし始めていた。
「それにしても、ななしはどんな男が好みなんじゃ? 先ほどはイケメンが多いと言っておったが、顔立ちの良さだけではお前の心は動かんのだろう?」
リリアがベンチの背もたれに腕を伸ばし、ななしの背中を包み込むような体勢になる。
「わたしの好みですか? うーん……そうですね……いざという時に頼りになって、わたしのくだらない話も笑って聞いてくれるような、包容力のある人がいいです。あと、ちょっとミステリアスな雰囲気がある人にも惹かれるかも」
ななしが指を折りながら答える姿を、リリアは至近距離で見つめる。
ななしの首筋を微かにリリアの吐息がかすめた。
「頼りになって、話を聞いてくれて、ミステリアス、か。……まるで、誰かのことを言っているようじゃな」
「えっ……だ、誰かって誰ですか?」
「さあな? お主の目の前にいる男かもしれんぞ」
リリアの瞳が妖しく、そして深くきらめく。
いつもの軽口のようでいて、その実、その奥には隠しきれない真剣な熱が混ざり込んでいた。ななしはリリアの長い指先が自分の制服の襟元に触れるのを目で追う。冷たいはずのその指が、今のななしにはひどく熱く刺激的に感じられた。
「リ、リリア先輩……?」
「どうした? 近いか? わしはお主をもっと近くに感じたいのじゃがな。こうしてお主の温もりを確かめておらねば、いつか元の世界に消えてしまうのではないかと、いささか不安になる」
リリアの指が襟元から顎へと滑り、優しくその顔を上向かせる。
ななしの視線はリリアの端正な容姿に完全に釘付けになった。周囲の騒がしさが遠のき、身体の感覚がじわじわと麻痺していくような錯覚に陥る。
「ななし、お主の心の中にわしが入る隙間はどれほどある? ほんの少しでも良い、お主の特別になりたいと思うのは、わしの我が儘だろうか」
「リリア先輩……それって……」
ななしの声は少し震えていた。
リリアの言葉と、その瞳に宿る真摯な熱が、ななしの心を奥底から激しく揺さぶっていく。
周囲の生徒たちの声は、もう完全に意識の外へと追いやられていた。
ななしは激しい動揺と、それを上回る深い高揚感で満たされていく。
リリアの言葉は、もう単なる冗談やからかいの域を完全に逸脱していた。
「お主は本当に鈍いのう。わしがどれほどお主の事を想い、お主の視線を欲しているかまだ分からんのか」
耳元で囁かれる低く甘い声。
その声はななしの思考を完全に奪い去るのに十分な魔力を持っていた。リリアの瞳の奥にあるのは、深い愛おしさと容易には逃がさないという強い独占欲。
「リリア、先輩……」
ようやく絞り出された声は、驚くほど小さく掠れていた。
これ以上言葉を重ねれば、自分の内側でせき止められている何かが一気に溢れ出してしまいそうで、それ以上は言葉が続かない。
ななしの視界は、目の前に迫るリリアの瞳だけで満たされていた。
いつもなら、その瞳の奥にある悪戯っぽい光に救われ、冗談として笑い飛ばせていたはずだった。しかし今のその瞳には、ななしをどこまでも深く突き落とすような、純粋で濃密な情熱だけが揺らめいている。
「そんな顔をするな。お主を困らせたいわけではないのじゃ」
顎を捉えたリリアの指先に、じわりと力がこもる。
痛くはない。だが、決して拒絶を許さないという無言の意志が、その微かな力加減から痛いほどに伝わってきた。
ななしの心臓はすでに通常の速さをとうに超え、胸の裏側を激しく叩き続けている。その振動が、触れ合っているリリアの指にまで伝わってしまっているのではないかと、そればかりが恐ろしかった。
「お主が元の世界の話をするたび、わしの胸がどれほど騒ぐか。……お主には想像もつくまい」
リリアの唇が動くたび視線が吸い寄せられる。
彼の言葉がななしの脳内で何度も反芻され、そのたびに意味が熱を持って染み込んでいく。
リリアの空いた片手がななしの髪をそっと掬い上げる。
サラリと指の隙間をすり抜ける髪の感触を慈しむように、何度も何度も丁寧に指を通していく。そのあまりにも貪欲な手つきに、ななしは身じろぎすることすら忘れていた。
「わしはな、ななし。お主がこの世界の誰かを特別だと認識する前に、わしだけのものにしてしまいたいと、ずっと考えておった。ハーツラビュルのトランプ兵のような若者たちと楽しげに笑い合う姿を見るたび、その笑顔をすべて我が物にしたくなる」
「……っ」
「わしはお主が思うほど優しくもなければ、物分かりのいい男でもないぞ」
リリアの顔がさらに一寸距離を縮める。
触れ合う直前の距離で止まったリリアの唇から、熱い吐息が直接ななしの唇へと吹き付けられた。
ななしは思わず目を閉じそうになるが、それを許さないとばかりにリリアの瞳がななしの視線を強く縛り付ける。
逃げることはできない。否、最初から逃げる気など起きなかった。
ななしの頭の中は、リリアの香りと彼の低い声と体温だけで完全に飽和している。
「ななし、お主の唇からわしの名前を呼んでくれぬか。……一人の男としての、わしの名を」
囁きは耳元ではなく、唇のすぐ上で交わされる。
そのあまりの濃密さにななしは眩暈を覚えた。
「リリア……先輩……」
ななしは覚悟を決めるように、リリアの胸元の制服を小さな手でぎゅっと握りしめた。リリアの唇の端が満足そうに、そして酷く艶やかに釣り上がる。
「……よくできた」
その言葉を最後に二人の間にあった僅かな隙間は完全にゼロへと変わった。
その瞬間、学園中に昼休みの終わりを告げる午後のチャイムが鳴り響いた。しかしその大きな音すらも今の二人にとっては遠く雑音でしかなかった。
突き抜けるような青空からは温かい陽光が降り注ぎ、芝生の上を生徒たちがせわしなく行き交っていた。
そんな中、校舎の裏手にある少し人通りの少ないベンチ。
ななしは、購買部で辛うじて勝ち取ったサンドイッチの包みを開けてホッと息を吐いていた。
「ふぅ、今日も購買部は戦場だったな……」
「おや、何やらお疲れのようじゃな、ななし」
突然頭上から降ってきた軽快な声に、ななしはびくっと肩を揺らす。
見上げれば、まるで重力を無視したかのようにひらりとベンチへ飛び乗ってきたリリアが、悪戯っぽく目を細めていた。
「リリア先輩! びっくりした……」
リリアはベンチから軽やかに飛び降りると、ななしのすぐ隣に腰掛けた。制服の肩と肩が、ほんの少しだけ触れ合う。
「そういえばリリア先輩、さっき購買部の前を通った時、エースとデュースが『あいつら本当に顔だけはいいよな』って他の寮の先輩たちのこと噂してたんです」
「ほう? 顔だけとは手厳しいのう。しかし確かにこの学園には、見栄えだけは一丁前の男が揃っておるからな。お主の元の世界と比べても、引けは取らんじゃろう?」
ななしはサンドイッチをモグモグと咀嚼し、飲み込んでから深く頷いた。
「この学園に来て一番驚いたの、それかもしれません。本当にイケメン多いですよね。元の世界じゃ、あんな綺麗な人たちテレビの向こうでしか見たことなかったです。エースやデュースも黙ってれば格好いいし、先輩方もみんな華があって……」
「くふふ、お主もやはり年頃の娘。そういった事に興味があるのかのう?」
リリアが頬杖をつきながらななしの顔を覗き込んでくる。
その瞳が陽の光を浴びて宝石のようにきらきらと輝いていた。
「うーん、興味っていうか……目の保養になるなとは思います。でもみんな個性が強すぎて、恋愛対象って言われると違うなっていうか。いや、本当に烏滸がましい話なんですけどね。毎日トラブルの片付けで手一杯ですし、何よりみんなわたしのこと異性と思ってなさそうですし」
「それは大きな間違いじゃ、ななし」
リリアの声が中庭の喧騒を遮るように、すとんと鼓膜に落ちる。
ななしは次のサンドイッチに手を伸ばそうとしたところで、その声のトーンに少しだけ手を止めた。
「わしの目から見ればお主は十分に魅力的じゃ。周囲の荒くれ者に怯むことなく、一生懸命に毎日を生き抜いておる。現にわしはこうしてお主と無駄話をする時間を何よりも楽しみにしているのだからな」
「リリア先輩はいつも優しいですね。そうやって普通の女の子みたいに扱ってくれるの、すごく嬉しいです」
リリアはななしの笑顔をじっと見つめ、ふっと小さく吐息を漏らした。
「優しい、か……。お主は時折わざとやっているのかと思うほど、わしの言葉を都合よく受け取るのう。まあ、そういう初心なところも、お主の美徳ではあるが」
「え? 何か言いました?」
「いや何でもない。ただ元の世界の男どもに、お主を奪われなくて良かったと思うてな。お主がこの世界に来てわしの前に現れたのは、ある種の運命だったのかもしれん」
「運命だなんて大袈裟ですよ。リリア先輩、たまにロマンチストになりますね」
ななしは楽しそうに笑うが、リリアの視線はななしのほんのりと桜色に染まった唇へと注がれていた。
昼休みの終わりを告げる予鈴まで、まだ少し時間がある。
頭上を通り抜ける生温い昼下がりの風が、二人の間の空気をじわじわと目に見えない熱で満たし始めていた。
「それにしても、ななしはどんな男が好みなんじゃ? 先ほどはイケメンが多いと言っておったが、顔立ちの良さだけではお前の心は動かんのだろう?」
リリアがベンチの背もたれに腕を伸ばし、ななしの背中を包み込むような体勢になる。
「わたしの好みですか? うーん……そうですね……いざという時に頼りになって、わたしのくだらない話も笑って聞いてくれるような、包容力のある人がいいです。あと、ちょっとミステリアスな雰囲気がある人にも惹かれるかも」
ななしが指を折りながら答える姿を、リリアは至近距離で見つめる。
ななしの首筋を微かにリリアの吐息がかすめた。
「頼りになって、話を聞いてくれて、ミステリアス、か。……まるで、誰かのことを言っているようじゃな」
「えっ……だ、誰かって誰ですか?」
「さあな? お主の目の前にいる男かもしれんぞ」
リリアの瞳が妖しく、そして深くきらめく。
いつもの軽口のようでいて、その実、その奥には隠しきれない真剣な熱が混ざり込んでいた。ななしはリリアの長い指先が自分の制服の襟元に触れるのを目で追う。冷たいはずのその指が、今のななしにはひどく熱く刺激的に感じられた。
「リ、リリア先輩……?」
「どうした? 近いか? わしはお主をもっと近くに感じたいのじゃがな。こうしてお主の温もりを確かめておらねば、いつか元の世界に消えてしまうのではないかと、いささか不安になる」
リリアの指が襟元から顎へと滑り、優しくその顔を上向かせる。
ななしの視線はリリアの端正な容姿に完全に釘付けになった。周囲の騒がしさが遠のき、身体の感覚がじわじわと麻痺していくような錯覚に陥る。
「ななし、お主の心の中にわしが入る隙間はどれほどある? ほんの少しでも良い、お主の特別になりたいと思うのは、わしの我が儘だろうか」
「リリア先輩……それって……」
ななしの声は少し震えていた。
リリアの言葉と、その瞳に宿る真摯な熱が、ななしの心を奥底から激しく揺さぶっていく。
周囲の生徒たちの声は、もう完全に意識の外へと追いやられていた。
ななしは激しい動揺と、それを上回る深い高揚感で満たされていく。
リリアの言葉は、もう単なる冗談やからかいの域を完全に逸脱していた。
「お主は本当に鈍いのう。わしがどれほどお主の事を想い、お主の視線を欲しているかまだ分からんのか」
耳元で囁かれる低く甘い声。
その声はななしの思考を完全に奪い去るのに十分な魔力を持っていた。リリアの瞳の奥にあるのは、深い愛おしさと容易には逃がさないという強い独占欲。
「リリア、先輩……」
ようやく絞り出された声は、驚くほど小さく掠れていた。
これ以上言葉を重ねれば、自分の内側でせき止められている何かが一気に溢れ出してしまいそうで、それ以上は言葉が続かない。
ななしの視界は、目の前に迫るリリアの瞳だけで満たされていた。
いつもなら、その瞳の奥にある悪戯っぽい光に救われ、冗談として笑い飛ばせていたはずだった。しかし今のその瞳には、ななしをどこまでも深く突き落とすような、純粋で濃密な情熱だけが揺らめいている。
「そんな顔をするな。お主を困らせたいわけではないのじゃ」
顎を捉えたリリアの指先に、じわりと力がこもる。
痛くはない。だが、決して拒絶を許さないという無言の意志が、その微かな力加減から痛いほどに伝わってきた。
ななしの心臓はすでに通常の速さをとうに超え、胸の裏側を激しく叩き続けている。その振動が、触れ合っているリリアの指にまで伝わってしまっているのではないかと、そればかりが恐ろしかった。
「お主が元の世界の話をするたび、わしの胸がどれほど騒ぐか。……お主には想像もつくまい」
リリアの唇が動くたび視線が吸い寄せられる。
彼の言葉がななしの脳内で何度も反芻され、そのたびに意味が熱を持って染み込んでいく。
リリアの空いた片手がななしの髪をそっと掬い上げる。
サラリと指の隙間をすり抜ける髪の感触を慈しむように、何度も何度も丁寧に指を通していく。そのあまりにも貪欲な手つきに、ななしは身じろぎすることすら忘れていた。
「わしはな、ななし。お主がこの世界の誰かを特別だと認識する前に、わしだけのものにしてしまいたいと、ずっと考えておった。ハーツラビュルのトランプ兵のような若者たちと楽しげに笑い合う姿を見るたび、その笑顔をすべて我が物にしたくなる」
「……っ」
「わしはお主が思うほど優しくもなければ、物分かりのいい男でもないぞ」
リリアの顔がさらに一寸距離を縮める。
触れ合う直前の距離で止まったリリアの唇から、熱い吐息が直接ななしの唇へと吹き付けられた。
ななしは思わず目を閉じそうになるが、それを許さないとばかりにリリアの瞳がななしの視線を強く縛り付ける。
逃げることはできない。否、最初から逃げる気など起きなかった。
ななしの頭の中は、リリアの香りと彼の低い声と体温だけで完全に飽和している。
「ななし、お主の唇からわしの名前を呼んでくれぬか。……一人の男としての、わしの名を」
囁きは耳元ではなく、唇のすぐ上で交わされる。
そのあまりの濃密さにななしは眩暈を覚えた。
「リリア……先輩……」
ななしは覚悟を決めるように、リリアの胸元の制服を小さな手でぎゅっと握りしめた。リリアの唇の端が満足そうに、そして酷く艶やかに釣り上がる。
「……よくできた」
その言葉を最後に二人の間にあった僅かな隙間は完全にゼロへと変わった。
その瞬間、学園中に昼休みの終わりを告げる午後のチャイムが鳴り響いた。しかしその大きな音すらも今の二人にとっては遠く雑音でしかなかった。
