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本編

白の国にて

雪に朝日が反射してギラギラ光る。寝惚けたような、気怠い空気が辺りを覆っていた。白の国の宝石達は、皆一様に服をいい加減に着て、だらしのない様子だった。皆バラバラの方角を見て、好きなことをしている。スペサルティンガーネットが、言葉を発するまでは。
「そろそろ行くかぁ」
スペサルティンのオレンジ色の髪が、きらりと煌めく。彼が西の方へ顎をしゃくったからだ。彼の声を聞いて、大柄なブルートパーズは拳を鳴らすし、双晶ブルーガーナイトはニタニタと笑みを浮かべながら武器を持つ。ダイオプテースはビクッと肩を揺らし、それでも意を決したように立ち上がった。
「インディゴ、罠の支度は?」
スペサルティンの視線を受けて、インディゴライトは目で返事をする。インディゴライトの顔は、半分マスクで隠されていた。
「よし。ルーガ、ガーナ。調子は?」
「「すこぶる調子いいよぉ」」
返事に満足し、スペサルティンは両手をかざした。ブルーガーナイトがそれぞれハイタッチする。
「ブルートは援護よろしく」
スペサルティンはブルートパーズの方は見ずに歩き出す。歩き出した彼に寄り添うように、ブルートパーズは後ろを歩いた。
「あぁ。お前ら、行くぞ!」
ブルートパーズのかけ声で、6名が東へ歩き出す。各々武器を持ち、大股で行儀の悪い行進だった。ダイオプテースは、縮こまりながらそっと最後尾を歩いた。
「今日はどうしてやろうかなぁ」
スペサルティンはニヤニヤと悪い笑みを浮かべながら、東方を見やる。今日こそはあの美丈夫の顔にヒビを入れてやる。そして、今日もお帰り願おう。迎撃に向かいながら、メイドさんの顔を思い出すのだった。
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