キャラ単体
優しさの源・前編/ユークレース
誰かに優しくするのは、誰のためなのだろう。割れやすい僕が、自分に負い目を感じないため?否定は出来ないけれど、そんな答えでは哀しすぎる。自己満足だとしても、優しくありたいと思うのは何故?
「難しい顔しているぞ。また計算しているのか?」
「あぁ、違うの。ごめんなさいね」
ジェードに指摘されて、自分は優しさを計算しているのか? とまた哀しい気分になった。優しさの源とは、なんなのだろう。自分のこの想いは、結晶のように純粋なものだろうか。眉を下げて、困ったように笑う癖。みんなにはどう映っているのだろう。
優しさの源・後編/ユークレース
「優しい僕はずるいでしょうか」
迷いの答えが見つけられなくて、先生を頼った。先生は険しく眉を寄せ、深く考え込んだ。長く優しい沈黙のあと、先生は静かに答えた。
「そんな悩みを抱えるお前は、誰よりも優しい。悪いと思う必要はない。ありのままに振る舞いなさい」
先生は僕の頭をそっと撫でた。少し安心出来た。先生は続けた。
「優しくしたいと思う気持ちに理由などは必要ないし、考え込まずともよいことだ」
「はい」
僕は迷いなく笑うことが出来た。優しさの源は見つからない。でも、僕の心の奥底から湧き出るものであるのなら、それに嘘はないだろう。
理解のために・前編/ジェード
フォスは冬眠が明けてから、眠らず休まず働いている。心配だが、その方が楽なのであれば止めることは躊躇われた。理解が及ばないからと、遠ざけることが怖かった。理解するために交わることも怖かった。何も聞けないまま、立ち尽くす自分が嫌いだった。私に何が出来る?私の務めはなんだ。
「悩み事? なにかあればなんでも話してね」
横を見れば、ユークが微笑んでいる。ユークはいつだって私より先を進んでいる。隣に立てる自分でいたい。
「大丈夫だ。ちょっとフォスのところへ行ってくる」
迷いは捨てた。行動あるのみだ。
理解のために・後編/ジェード
フォスの背中を前に、怖気付く自分を嘲笑った。議長がそんなことでどうする。
「フ、フォス!!」
やっと出た声は震えていた。フォスは振り返ると、力なく笑う。
「体調は大丈夫か?手伝えることはあるか?」
フォスは目を丸くする。それから、あーと声を出して悩んだあと、頭を掻いた。
「ないない!問題ないよ!」
「……本当か?」
「うん、今は大丈夫」
曖昧に笑って、誤魔化しているのは明らかだった。でも、他者には踏み込まれたくない領域というものがある。今ではないと思った。
「そうか。なにかあれば頼ってほしい。フォスも仲間の一人なのだから」
理解に進めたかは分からない。けれど、伝えたいことは伝えた。進歩だと思おう。
誰かに優しくするのは、誰のためなのだろう。割れやすい僕が、自分に負い目を感じないため?否定は出来ないけれど、そんな答えでは哀しすぎる。自己満足だとしても、優しくありたいと思うのは何故?
「難しい顔しているぞ。また計算しているのか?」
「あぁ、違うの。ごめんなさいね」
ジェードに指摘されて、自分は優しさを計算しているのか? とまた哀しい気分になった。優しさの源とは、なんなのだろう。自分のこの想いは、結晶のように純粋なものだろうか。眉を下げて、困ったように笑う癖。みんなにはどう映っているのだろう。
優しさの源・後編/ユークレース
「優しい僕はずるいでしょうか」
迷いの答えが見つけられなくて、先生を頼った。先生は険しく眉を寄せ、深く考え込んだ。長く優しい沈黙のあと、先生は静かに答えた。
「そんな悩みを抱えるお前は、誰よりも優しい。悪いと思う必要はない。ありのままに振る舞いなさい」
先生は僕の頭をそっと撫でた。少し安心出来た。先生は続けた。
「優しくしたいと思う気持ちに理由などは必要ないし、考え込まずともよいことだ」
「はい」
僕は迷いなく笑うことが出来た。優しさの源は見つからない。でも、僕の心の奥底から湧き出るものであるのなら、それに嘘はないだろう。
理解のために・前編/ジェード
フォスは冬眠が明けてから、眠らず休まず働いている。心配だが、その方が楽なのであれば止めることは躊躇われた。理解が及ばないからと、遠ざけることが怖かった。理解するために交わることも怖かった。何も聞けないまま、立ち尽くす自分が嫌いだった。私に何が出来る?私の務めはなんだ。
「悩み事? なにかあればなんでも話してね」
横を見れば、ユークが微笑んでいる。ユークはいつだって私より先を進んでいる。隣に立てる自分でいたい。
「大丈夫だ。ちょっとフォスのところへ行ってくる」
迷いは捨てた。行動あるのみだ。
理解のために・後編/ジェード
フォスの背中を前に、怖気付く自分を嘲笑った。議長がそんなことでどうする。
「フ、フォス!!」
やっと出た声は震えていた。フォスは振り返ると、力なく笑う。
「体調は大丈夫か?手伝えることはあるか?」
フォスは目を丸くする。それから、あーと声を出して悩んだあと、頭を掻いた。
「ないない!問題ないよ!」
「……本当か?」
「うん、今は大丈夫」
曖昧に笑って、誤魔化しているのは明らかだった。でも、他者には踏み込まれたくない領域というものがある。今ではないと思った。
「そうか。なにかあれば頼ってほしい。フォスも仲間の一人なのだから」
理解に進めたかは分からない。けれど、伝えたいことは伝えた。進歩だと思おう。