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名刺SSまとめ

愛されること/スピネル、金剛

「先生、ひとついいですか」
久方ぶりの呼び方に、しばし自分のことと認識するのに時間がかかった。振り返ると、眉を寄せたスピネルがいた。
「愛されることが恐ろしくて……煩わしいです。どうしたら」
この子は地上にいた時も、今の様な苦悩の表情をしていた。彼を救えないことが、私にとっても苦悩だった。愛されることの恐怖は、少なからず私も知っている。
「愛されることは自然で尊い心の動きだが、受け取るかどうかは個人の自由に委ねられている。どうしても辛いのなら、無理に側に寄り添う必要はない。自分の心を守りなさい」
頭をそっと撫でれば、表情は少し和らいだ。みんなの幸せを願う。この子も例外ではない。いつか、素直に愛情を受け取れる日が来ますように。

神様へ/スピネルからフォスフォフィライトへ
神様へ、新たな神となる貴方へ。僕に出来なかったことを成し遂げた貴方は、満足していますか。どんな思いで、そこに辿り着きましたか。会話が叶わないことが、悔しくてなりません。貴方はなにを愛していましたか。僕は未だに、なにを愛するべきなのか分かりません。愛することの意味を、貴方は知っていましたか。
(地上にたった独り、一万年)
貴方の苦しみを想像して、怖くなってやめてしまう僕は薄情でしょうか。誰も愛せない僕であっても、そんなに永い孤独は耐えられそうもありません。貴方の受けている試練は、僕のものであったかもしれない。そう思うたび、神様に同情なんて可笑しな話ですが、貴方を思うのです。あぁ、話したいことがたくさんある。神様はそんな願い、叶えてはくれないでしょうが。
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