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原作宝石が登場する話

ブルーダイヤモンドは、最近出来た俺の友人だ。俺の管理する薔薇園に、ちょくちょく遊びに来る彼は、俺が宝石だった時代のはるか昔に、地上で生活していたそうだ。その時代も月人との戦争はあって、二千歳を迎える前に月に拐われてきたらしい。ブルーとその仲間たちも歓迎する、この夢のような日々に。ブルーは大人びていて、話しやすく、優しい奴だった。
「今日は少し元気がないように見える」
「そうだろうか?」
「なにか悩み事が? 俺でよければ聞くよ」
憂いを帯びて現れたブルーに、言葉を投げかける。薔薇園の中腹に位置するこの場所で、俺たちは腰掛けて語らっている。むせ返るほどの花の香りが、鼻を抜ける。ブルーは少し間を空けて、ぽつぽつと話し始めた。
「特別な後輩がいる。私にとって、歳下は皆可愛いものだが、その中でどうしても特別に想う後輩がいる」
「それは素敵なことだ」
「……彼に、多くを背負わせすぎたのではないかと。今になって、少し後悔がある」
「それは、」
言葉に迷う。俺もここに来て、忘れていたことも、忘れたいことも、全て戻ってきた。それは全て昔のこと。変えようのないことだ。しかし、昔々は今に続いているのだから、夢に思える日々にも影響はするだろう。だが、ブルーの悩みがどうにも出来ないことを、俺は知ってる。どんなに悔やんでも過去は変えられない。
「仕方がなかったと、今でもそう結論づける。それでも、可哀想なことをしたと。でも、彼にかける言葉が見つからない」
「……頑張ったな、と。一言でいい、褒めてやってはどうだろうか」
俺はずっと、皆に許されたかった。ルビーに、サファイアに、グリーンダイヤモンドに、ピンクトパーズに。再会を果たして、誰も俺を責めることはなかった。それに酷く安心した。だから、きっとブルーの後輩も、認めてもらえたらほっとすると思った。
「なるほど。素直に褒めてやればよいのか」
「ブルーのしたことを、負い目に思う必要はない。ただ、労ってやったらいいと思う」
「そうか……俺は許されていいのか」
切なく目を細めるブルーが、安心するよう笑みを作った。拐われた側も、こんな風に苦しんでいたなんて知らなかった。だからこそ、そんなことで悩まないで欲しいと思った。
「ブルーは間違ったことなんてしてない。そうだろ?」
「…………ありがとう」
「今度、その後輩もここへ連れてきてくれよ」
自分が後輩だった時代を思い出す。遠く懐かしい、昔のこと。戻ってきたことに感謝する。ブルーとこうして、昔話や悩み事を話す時間に感謝する。夢のような日々だ。
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