アレキサンドライト・レッドベリル・オブシディアン・モルガナイト・ゴーシェナイト
恐怖の再演/アレキサンドライト
「それでそれで!? 武器の形状どんなだった?」
「えーと……」
月人に襲われて助けられた後、アレキちゃんに捕まった。思い出そうとすると、背中をぞくりと何かが這っていく感覚がして、眩暈がした。砕かれた瞬間がフラッシュバックして、気づけば自分の身体にヒビが入っている。私の異変に気づき、アレキちゃんの顔は青くなった。
「ご、ごめんなさい! 怖かったのよね……無事でよかったわ」
「ごめん、アレキ。研究は……」
「貴方の方が大事だもの」
アレキは私が落ち着くまで、そっと手を繋いでくれていた。
可愛子ちゃん/レッドベリル
「レッド〜……まだ〜?」
「もうちょい! もう少しだから!」
冬眠前、私の冬眠服が気に入らないらしく、レッドベリルはずっとうんうん唸っている。私はもう眠くて仕方がない。
「どうせ着崩れちゃうからなんでもいいよ……」
「よくない! あんたは一等可愛いんだから! 可愛くしたい!」
レッドの情熱は理解出来ないけれど、私を可愛いと思ってくれてるのは分かる。照れくさいけれど、そう言われると私は黙ってしまう。
生まれ変わり/モルガナイト
「モルガ〜カードゲームしよ!」
「……私と?」
新しく生まれたモルガを、初めてゲームに誘った。内気なこの子にまだ慣れない。拐われたあの子を思い出す輝きに、引きずっては彼が可哀想だと首を振った。
「うん! ルール教えてあげるから、一緒に遊ぼ!」
「うん、ありがとう」
控えめな笑顔も、言葉遣いも、好きだったあの子となにもかも違うけれど。それでも、私も生まれ変わる気持ちで、この子を愛してみようと思っている。
雷/ゴーシェナイト
季節外れの大嵐。ゴウゴウと止まぬ風の音と、横殴りの雨が地面を叩く音でいっぱいだ。なんだか落ち着かなくて、誰かといたくて、ゴーシェの部屋を訪ねた。
「怖くて落ち着かないの」
「うんうん。大丈夫だよ! こっちにおいで」
温かく迎えてくれたゴーシェの側に座る。その瞬間、ひときわ大きな雷が近くに落ちた。
「きゃっ!」
ゴーシェが私に飛びつく。危うく、割れてしまうところだ。ゴーシェは恥ずかしそうに笑った。
「本当は僕も怖かったの。来てくれてありがとう」
認識のズレ/アレキサンドライト
「今日からアレキサンドライト様の、身の回りの世話をさせていただきます。よろしくお願いします」
月に来てから目隠しが外せず、月人の世話役がついた。月人がこんなに丁寧で、優しいだなんて思ってもみなかった。
「段差がございます。ぜひ私にお掴まりください」
彼に触れると、私と違って柔らかくて暖かかった。思わず握り込み、引き寄せて胸に納めた。
「アレキ様?」
彼が戸惑うのは当然だ。私だって困惑している。月人を見たいと思う日が来るなんて。
お遊戯/モルガナイト
夜、眠る前のささやかなお楽しみ。モルガとババ抜きに勤しむ。私の手持ちは残り二枚で、モルガにババを残されたら負ける。この状況になって、私はモルガに勝てたことがない。
「お願いだから、ババ引いてよ〜」
「嫌なこった」
あっさりとババじゃない方を引かれて、負ける。
「また負けた〜! どうして〜!」
「お前は分かり易すぎんだよ」
呆れた声でモルガは言う。恨めしくて睨んでも、カラカラと笑った。
「まぁ、そういうとこ可愛いと思うけどぉ?」
「誤魔化されないもん!もう一回!」
力作の紛失/オブシディアン
「おかえり〜お疲れ様〜」
学校に帰れば、オブが出迎えてくれる。いつもはそれが嬉しいのだけど、今日は逃げ出して柱に隠れた。
「あれ? どうして逃げるの?」
「……オブの力作だった剣、失くしました」
そう、今日僕は月人との戦闘でミスをし、オブが力作だと自慢していた剣を、海に流してしまった。戦闘後に急いで探したのだが、見つからなかったのだ。
「なんだ。そんなこと」
オブは少しも怒らなかった。いつものように優しく笑って、僕の頭を撫でる。
「君が無事なことのがよっぽど大事だよ。よかった!」
ほっとして、急に眠くなった。また寝言の多い君の横で寝てもいいかな。
「それでそれで!? 武器の形状どんなだった?」
「えーと……」
月人に襲われて助けられた後、アレキちゃんに捕まった。思い出そうとすると、背中をぞくりと何かが這っていく感覚がして、眩暈がした。砕かれた瞬間がフラッシュバックして、気づけば自分の身体にヒビが入っている。私の異変に気づき、アレキちゃんの顔は青くなった。
「ご、ごめんなさい! 怖かったのよね……無事でよかったわ」
「ごめん、アレキ。研究は……」
「貴方の方が大事だもの」
アレキは私が落ち着くまで、そっと手を繋いでくれていた。
可愛子ちゃん/レッドベリル
「レッド〜……まだ〜?」
「もうちょい! もう少しだから!」
冬眠前、私の冬眠服が気に入らないらしく、レッドベリルはずっとうんうん唸っている。私はもう眠くて仕方がない。
「どうせ着崩れちゃうからなんでもいいよ……」
「よくない! あんたは一等可愛いんだから! 可愛くしたい!」
レッドの情熱は理解出来ないけれど、私を可愛いと思ってくれてるのは分かる。照れくさいけれど、そう言われると私は黙ってしまう。
生まれ変わり/モルガナイト
「モルガ〜カードゲームしよ!」
「……私と?」
新しく生まれたモルガを、初めてゲームに誘った。内気なこの子にまだ慣れない。拐われたあの子を思い出す輝きに、引きずっては彼が可哀想だと首を振った。
「うん! ルール教えてあげるから、一緒に遊ぼ!」
「うん、ありがとう」
控えめな笑顔も、言葉遣いも、好きだったあの子となにもかも違うけれど。それでも、私も生まれ変わる気持ちで、この子を愛してみようと思っている。
雷/ゴーシェナイト
季節外れの大嵐。ゴウゴウと止まぬ風の音と、横殴りの雨が地面を叩く音でいっぱいだ。なんだか落ち着かなくて、誰かといたくて、ゴーシェの部屋を訪ねた。
「怖くて落ち着かないの」
「うんうん。大丈夫だよ! こっちにおいで」
温かく迎えてくれたゴーシェの側に座る。その瞬間、ひときわ大きな雷が近くに落ちた。
「きゃっ!」
ゴーシェが私に飛びつく。危うく、割れてしまうところだ。ゴーシェは恥ずかしそうに笑った。
「本当は僕も怖かったの。来てくれてありがとう」
認識のズレ/アレキサンドライト
「今日からアレキサンドライト様の、身の回りの世話をさせていただきます。よろしくお願いします」
月に来てから目隠しが外せず、月人の世話役がついた。月人がこんなに丁寧で、優しいだなんて思ってもみなかった。
「段差がございます。ぜひ私にお掴まりください」
彼に触れると、私と違って柔らかくて暖かかった。思わず握り込み、引き寄せて胸に納めた。
「アレキ様?」
彼が戸惑うのは当然だ。私だって困惑している。月人を見たいと思う日が来るなんて。
お遊戯/モルガナイト
夜、眠る前のささやかなお楽しみ。モルガとババ抜きに勤しむ。私の手持ちは残り二枚で、モルガにババを残されたら負ける。この状況になって、私はモルガに勝てたことがない。
「お願いだから、ババ引いてよ〜」
「嫌なこった」
あっさりとババじゃない方を引かれて、負ける。
「また負けた〜! どうして〜!」
「お前は分かり易すぎんだよ」
呆れた声でモルガは言う。恨めしくて睨んでも、カラカラと笑った。
「まぁ、そういうとこ可愛いと思うけどぉ?」
「誤魔化されないもん!もう一回!」
力作の紛失/オブシディアン
「おかえり〜お疲れ様〜」
学校に帰れば、オブが出迎えてくれる。いつもはそれが嬉しいのだけど、今日は逃げ出して柱に隠れた。
「あれ? どうして逃げるの?」
「……オブの力作だった剣、失くしました」
そう、今日僕は月人との戦闘でミスをし、オブが力作だと自慢していた剣を、海に流してしまった。戦闘後に急いで探したのだが、見つからなかったのだ。
「なんだ。そんなこと」
オブは少しも怒らなかった。いつものように優しく笑って、僕の頭を撫でる。
「君が無事なことのがよっぽど大事だよ。よかった!」
ほっとして、急に眠くなった。また寝言の多い君の横で寝てもいいかな。