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フォスフォフィライト・シンシャ・アンタークチサイト

復讐の誓い/フォスフォフィライト

憎しみの強さで目が覚めた。お前さえ、僕さえいなければ。宝石さえいなければ、全て上手くいく。
「全ての宝石を砕きたい」
この想いが風化する前に、地上に向かう必要があった。早く。早く早く早く早く。
「僕は行くよ」
震えた声に目をやった。誰だっけ。思い出そうとすると、胸が軋むのが分かったので、すぐにやめた。
「僕は、フォスと一緒に行く」
か細い意志が滑稽で、嘲笑った。いいだろう、利用出来るものは利用する。本当の仲間などいないのだから。
『』
遠い過去から、何か聞こえた気がしたが、振り払うように掻き消した。

寒の戻り/アンタークチサイト

冴え返る寒の戻りに、ひょっとしたらアンタークが結晶化するのではないかと、期待を胸に会いに行った。彼の寝室は静かで仄暗く、時が凍りついたかのような印象を受ける。寝槽の中の君は、言葉を持たず漂っていた。
「ダメか」
寄りかかり、座り込んだ。アンタークが僕を必要としていないことも、僕にとってもそうであることも、知っている。それでも、少しでいいから彼と同じ世界を共有したい。言葉を交わしたい。そんな願いが消えない。
「どんな夢を見ているの?」
僕と同じ夢を見ているなら、返事が欲しい。

正義/フォスフォフィライト

勝手に戦争は終結した。あの子に全てを押しつけて。許せなかった。理解が出来なかった。私になにが出来た?答えのない問いに侵される。今まで月人のしてきた仕打ちを、何故に笑って許せると言うのだろう?
「それで戦争が終わるなら、受け入れましょう」
ユークはあまりにも優しく、毒なく笑った。ユークは憤る私の横にずっといてくれたけれど、それで怒りが鎮まることはなかった。フォスは一万年、ずっと独りだ。それを許すことなんて出来ない。
「会いに行くからね」
船を出す。地上に向かって。誰にも望まれないこととしても。間違ったことであっても。私は私の正しさを貫く。フォスのために、貴方のためだけに。
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