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夢主同士の話

海を眺める/コーラルとラリマー

黄昏時、一人海岸を訪れると先客がいた。コーラルは寂しそうな、苦しい表情で海を見つめる。
「隣いいかい?」
「……どうぞ」
しばらく、黙って海を眺めていた。海は好きだった。全て許して、波に拐ってくれる気がして。
「コーラルは海で辛いことが?」
「まさか。全部、」
コーラルが笑ったところを初めて見た。君、そんな風に柔らかく笑うんだな。
「全部、優しくて温かい良い思い出だ」
笑ったのはほんの一瞬で、コーラルはまた気難しい顔に戻ってしまった。いつか、君の思い出話を聞いてみたいな。

恋物語/モリオンとラリマー

「そんな長いこと片想いしてて、嫌にならないのか?」
「??全然」
可笑しなことを訊く。相方のラリマーは、怪訝そうに僕を見る。僕がカラカラと笑うと、より一層。
「本当にお前は変なやつだ。実らないことばかり追い求めて」
「恋も研究も、結果だけを求めちゃお終いさぁ」
僕の恋も、死への研究も、何ひとつ成功しちゃいないが。それで嫌いになったり、興味を失うことなんてない。むしろ一層、愛しさが募るものだ。
「恋も知らないお子ちゃまには、分からないだろうねぇ」
「俺をお子様呼ばわりとは、いい度胸だな」
ラリマーを揶揄いながら、風に吹かれる今日はいい日だ。たとえ君がいなくとも。
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