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インクィアメンタム

身体が様々な鉱物で出来ている不純物のインクィアメンタムは、パパラチアを師匠とし、彼に次ぐ強さで、戦闘訓練官として体育館を管理している。硬度も靭性も無視して、様々な鉱物で身体が出来ているインクィアは、月へ行った者の欠片を内包しているのではと言われていた。そのせいで、彼は「誰かの役に立つこと」に異常に執着し、孤独を恐れ、器用なために誰の仕事の代わりも出来た。ラピスラズリからは、「月人が作った生命体で、スパイなのでは」と疑いをかけられていて、その経験から自分の正体を知りたいと願っている。身体は他の鉱物を身体として受け入れない代わりに、砕けても欠片同士が引きつけ合い、自力で元に戻ることが出来た。光の吸収率が悪く、早くに眠り早くに目覚める体質。

あまりにも人の仕事を手伝いすぎ、また働きすぎるので、先生と議長から長期休養を言い渡されてしまう。末っ子のフォスと戯れながら、仕事のないフォスをとても憐れに思っていた。シンシャのような仕事でもいいから、彼に仕事を与えたいと考えていた。そんな時に、フォスが博物誌の仕事を得て、彼は自分のことのように喜んだ。フォスの行動を心から応援し、心配するが、特に何をしてやれるわけでもなく、冬を迎える。

冬が明けると、フォスは変わり、アンタークがいなくなっていた。アンタークと親交のあったインクィアはひどくショックを受ける。それから、自分と似た特性を得たフォスに対して、怒りや恐れといった、黒い感情を抱くようになる。フォスが変わり、仲間がいなくなるたび、その感情は強くなっていく。精神が不安定になり、上手く戦えないことが増えた。

フォスがラピスラズリの頭を得て目覚めた頃には、フォスに対して敵意しか持たなくなった。彼が月へ行って、帰ってきた時も、いの一番に彼を疑った。体育館に呼び出し、フォスと一騎打ちをする。フォスを問いただし、砕こうとした瞬間に、フォスから一言、「君は自分の正体が知りたくはないのか?」と問われる。ラピスラズリの告げ口だった。インクィアは動きを止め、フォスと共に月へ行くことを決める。

月へ行き、インクィアはエクメアに会う。エクメアに、自分の正体を訊ねた。エクメアは「君の誕生に我々は関与していない。君の身体に誰かの欠片が含まれていることもない。君が生まれたことは奇跡だよ」と答えた。インクィアは全てから解き放たれ、月人相手に暴れ回った。仕事にしていた戦闘に、純粋に向き合えるのが楽しかったのだ。インクィアが遊んでいる頃、フォスとイエローとパパラチアでの夜襲が決行される。結果、フォスは失敗し、パパラチアは水銀の毒を浴びた。その後も、フォスは失敗して地上でバラバラに埋められてしまった。インクィアは後悔し、焦る。月人に見放されたら、パパラチアの治療が出来ない。月人がずっと好意的な保証はない、なにか行動して成果を出さなければ。インクィアは一人、地上に降り立つ。

インクィアは宝石全員を相手にして戦った。誰も歯が立たなかった。インクィアは金剛が壊れているのであれば、一度壊して修理すれば良いと考えていた。インクィアは金剛に辿り着き、向き合う。しかし、人間ではないインクィアであれば、金剛は戦うことが出来る。三日三晩、戦闘は続いた。やっと金剛に刃が届く、そう思った瞬間に、インクィアの身体はバラバラに散った。長く光を食べなかったせいで、身体を維持出来なくなったのだ。バラバラになったインクィアを、暗い長期休養所に安置し、月日は流れる。

フォスが月へ帰り、パパラチアが地上に戻った。パパラチアがいるなら大丈夫だろうと、地上の宝石はインクィアに陽の光を与えて、元に戻した。しかし、インクィアのインクルージョンは限界状態によって記憶を放り出していて、インクィアは今までのことを何ひとつ覚えていなかった。

記憶を失くしたインクィアは、月人になってから、なんでも器用にこなすけれど、なににも興味を持てない無気力な子になった。けれど、なにかを覚えてるのか、パパラチアの側を離れなかった。パパラチアはそんなインクィアを受け入れながら、過去の彼を取り戻すために記憶の在処を探し続けた。が、そのうちにそれも諦めた。最後の日まで、インクィアと共にいた。

モリオン

死に対して異様な興味を持ち、死の研究をしている。死んでみるために、様々な傍迷惑な実験を繰り返している。ラピスラズリに恋をしていて、はっきりと言葉にはしなかったが、彼の側によくいた。クォーツ属の最年長で、アメシストやゴーストからはとても慕われていた。

フォスにラピスラズリの頭を接合する時、嫌な予感がしていた。けれど、弟のカンゴームを思い遣ってなにも言わずにいた。死の研究が進むと考え、フォスと共に月へ行く。月でアメシスト84と、研究に明け暮れる。

フォスが金剛の機能を移されて、一万年待つことになった。みんなが月人になる中、インクルージョンが足りなくてラピスラズリが再生不可能と知る。ラピスラズリを取り戻すために、フォスの頭を回収しようと計画するも、エクメアに阻止されてしまう。そして、「人間がもう一人いれば」と示唆されて、モリオンは人間を生み出す研究を始める。研究の過程で、人工の結晶に人工のインクルージョンで動く、人造宝石を生み出すことに成功する。研究を続ける中で、人間を作るのではなく、フォスと同じように人造宝石を人間にすればいいことに気がつくが、出来なかった。人造宝石が大事になってしまったから。やがてタイムアップとなり、人造宝石の幸せを願いながら、無に帰る。

ラリマー

元々はユークレースと組んで議長をしていた。しかし、誰かが月へ行くたびに自分のせいなのでないかという思いが拭えず、ジェードが生まれた時に議長の座を譲った。それ以降、問題児のモリオンと組んでいた。

教育補助をしていて、新しく宝石が生まれるたびに手書きで教科書を作成し、プレゼントしている。ヘミモルファイトが、ラリマーに片想いをしている。

月人になるまで、いろんなことに翻弄されたが、月人になってからは書道家として悠々自適に暮らしている。

(ラリマーに関してはもう少し物語練ります)

コーラル

フォスが250歳の時に、海から現れた。コーラルはアドミラビスと共に1000年暮らしていて、アドミラビスが食糧を求めて月へ行った時に、陸へ返されたのだ。アドミラビスの言葉が分かり、歌を歌うが、宝石や金剛にはほとんどを語らずに過ごしてきた。クラゲの世話を仕事とし、世話のために冬も起きている。

ウェントリコスが地上へ来た時、動揺はしたが何もしなかった。フォスが海へ行くのも見て見ぬふりをした。ウェントリコスの計画を、乱したくなかったから。

カンゴームが冬の担当になり、彼と話すことが増える。コーラルはずっと、自分のことを余所者だと思っていて、カンゴームの苦しみにも気づいていた。カンゴームの心の支えに意図せずなる。

月へ行けばアドミラビスに会えると思い、フォスと共に月へ行く。そこで、フォスがアドミラビスの王として扱われているのを知る。アドミラビスの従属と考えているコーラルは、フォスのためになんでもすると伝える。また、アドミラビスはコーラルのことを伝承し続けていた。そのことにコーラルは感動して喜んだ。

フォスに従うとは言ったものの、戦闘も出来ないコーラルは特に役に立てる事もないまま、一万年待つことになる。フォスのために、モリオンと共に地上へ行く計画も立てたが、エクメアに阻止される。一方で、ボルツにアドミラビスの意思の調査に協力するように言われ、ボルツと一緒にアドミラビスの保護活動をするようになる。そのうち、アドミラビスも月人に出来るようになり、幸福のうちにフォスのことは忘れる。悔いを残すことなく、無に帰る。
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