このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

I miss you

流川は2人を前に両手で顔を覆った。



 「……初めてなんだ、こんな気持ち」



絞り出すように言う。



部活が終わった後、彩子が切り出すと彼は思いの外 従順に白状した。



 「完全な一目惚れだ…
 引き締まった身体、しなやかな身のこなし、射抜くような輝く瞳…
 アイツのこと考えると夜も眠れねー…
 この気持ちをどんな言葉で伝えりゃいいんだ…」



苦悩に満ちた顔。



そして、時として恋は人を饒舌にする。



これが流川楓なのか?



宮城は目の前で髪を掻き毟る男が
あの、常に自信たっぷりでふてぶてしい後輩と同一人物とはとても思えない。



でもよ、わかるぜ流川
その気持ち……



例え相手が女であろうが、そうでなかろうが
恋する気持ちに変わりはないのだ。



もう、誰にも止められないのである。



今になってやっと事の重大さを理解した彩子が、若干引き気味になっていた。



 「よし、流川
 オレに任せろっ!!!」



宮城がポンと胸を叩く。



同じ悩みを持つ後輩の為に一肌脱ごうと腹を決めた。



 「リョ、リョータ
 あんた、なに安請け合いしてんのよっ!!!」

 「大丈夫だよアヤちゃん
 湘北バスケ部の明るい未来の為に、…だろ?」



親指を立てる宮城。



 「……リョータ、あんたって男は」



彩子は瞳を潤ませた。



見つめ合う2人…



 「………おい」

 「「 あ… 」」



肝心の流川を忘れていた。



宮城は哀れな後輩を見上げる。



 「善は急げだ!!
 今から行くぞっ」

 「「 今からーっっ!? 」」



電光石火の本領発揮である。



ボクシングなら以前、漫画の主人公に憧れて自己流で鍛えた事があるが
蹴りが使えないのですぐに止めた経験がある。



なんとかなるだろう。



案外アバウトな湘北バスケ部の新キャプテンである。


.
6/7ページ
スキ