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I miss you

彩子と宮城は、校舎脇の駐輪場に身を潜めている。



ほどなく、妙な鼻歌と共に流川が姿を見せ
自転車にまたがるとスィと出て行った。



今度こそ怪しい…



こちらも急いで後を追う。



彩子を乗せてペダルを漕ぐ有頂天男、宮城。



ショーウィンドに映る自分達の姿にうっとりとしていたので
途中、流川を見失ってしまったのだが
すぐに古びたビルの1Fの窓を覗き込んでいる彼を発見した。



心無しか口元に笑みを浮かべている。



ビルの看板を見た2人は思わず顔を見合わせた。



 「「 …ボクシングジム?? 」」



流川に気付かれぬように中を見ると予想通り、たくさんの男達が黙々と汗を流していた。



 「ねぇ、リョータ…
 私、今すごい想像しちゃったんだけど」



彩子が苦笑しながら言った。



 「大丈夫、オレも一緒だから…」



宮城も苦笑する。



 「そう、……良かった」

 「うん……
 って、良くねーよ!!」



宮城は慌てて彩子の腕を引っ張り、陰に隠れた。



 「どーりであいつ、女の子には目もくれないわけねぇ」



1人で頷く彩子。



 「あっさり認めちゃっていいのかよ!!
 ボ、ボクシングやりてーとか?」

 「まさかっ!!」



即、却下された。



確かにそうである。



 「仕方ないわね、こればっかりは…」

 「ま、まぁな…」



個人の趣味だ。



他人がとやかく言えるものではない。



 「で?アヤちゃん、マジで成就させる気?」

 「うーん……」
 
 「え?悩むの?」



手ぇ引かねーのかよ!!と宮城は心の中で突っ込む。



 「ま~ねぇ…
 ……それにしても
 いったいあの中の誰なのかしら…
 ねぇ、リョータはどんな人がタイプ?」

 「なっっ!!!
 オ、オレはノーマルだから」



予期せぬ質問に度肝を抜かれる。



 「……そっかぁ」



ガッカリする彩子を見て
かなり複雑な宮城だ。



 「ねぇ、リョータ
 ……とりあえず相談に乗ってあげない?」

 「へ?」

 「相手があれじゃ確かに悩むわよ…」

 「ま、まぁ……」

 「湘北バスケ部の未来が掛かってるの…」

 「……そーだよな」



とんでもねー事になりそうだ…



まるでパンドラの箱を開ける気分の宮城だった。


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