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〔4〕
この街に住み始めて1ヶ月が過ぎた。
早朝の海を見るのが最近の静夜の日課になっている。
瞳を閉じてヒンヤリとした潮風を吸い込むと
静夜の心と身体はいっぺんに浄化され、不思議なパワーが湧いて来る。
背後からゆっくりと昇る太陽に
次第に空と雲が色づき、海面がキラキラと輝き出す様は
何度見ても涙ぐむ程美しかった。
ザッザッザッザッ……
近づく足音に静夜は振り返った。
「あれ?……流川」
「……ウス」
「……ジョギング?」
「……見りゃわかんだろ」
「あ、…そーだね」
流川は静夜を一瞥する。
「……お前は?」
「へっ?あ、私?
私は、ホラ…これ」
レジ袋を掲げた。
「………空き缶?」
「うんっ
…これね、安いけどお金になるんだ」
「………へぇ」
呆気にとられたような顔をして流川は走り去った。
たとえ僅かな金額でも空き缶拾いは家計の足しになった。
その上、こんな感動的な景色の中で出来るのだから
静夜にとっては万々歳である。
それにしても意外な場所で意外な流川に出会ったものだ。
案外、学校で寝ているのは
この早起きのトレーニングのせいかもしれない。
そろそろ帰らないと弁当を作る時間がなくなる。
静夜が戻ろうとした時、また後ろから足音が近づいた。
「……ほら」
流川の両手には数個の空き缶があった。
「…え?」
「いらねーのかよ」
静夜は慌てて首を振り、レジ袋を広げる。
「……ありがと」
言い終わらないうちに流川は走り去った。
それ以来、流川は時々早朝の海辺に現れては
ジョギングのついでに空き缶を集めてくれるようになった。
「ねぇ…
どうして手伝ってくれるの?」
「…別に
特に意味はねーけど」
「…ねーけど?」
「うるせーな、いーじゃねーか」
はぐらかされた。
学校でも少しずつ2人は話すようになっていった。
話す、と言ってもホンの一言二言だったが
それでも静夜には楽しくて仕方がなかった。
友達――
そんな言葉が脳裏を掠める。
学校へ行くのが待ち遠しいと思った。
「静夜、どうだ今の学校は…
いじめられてねーか?」
「うん、とっても楽しいよ!!
早く明日にならないかなって思うくらい」
父の心配をよそに娘は笑顔で答える。
「とうさんこそ、どーなの仕事は
今度は絶対ケンカしないでよね
私、ずっとここに居たいから!!
約束だよ?」
「ハハハ、わーってらい!!安心しろ
今の店の大将は俺の事、スゲー気に入ってくれてんのよ」
「ホントに?良かったーっ」
六畳一間の狭い部屋に明るい笑い声が響く。
.
この街に住み始めて1ヶ月が過ぎた。
早朝の海を見るのが最近の静夜の日課になっている。
瞳を閉じてヒンヤリとした潮風を吸い込むと
静夜の心と身体はいっぺんに浄化され、不思議なパワーが湧いて来る。
背後からゆっくりと昇る太陽に
次第に空と雲が色づき、海面がキラキラと輝き出す様は
何度見ても涙ぐむ程美しかった。
ザッザッザッザッ……
近づく足音に静夜は振り返った。
「あれ?……流川」
「……ウス」
「……ジョギング?」
「……見りゃわかんだろ」
「あ、…そーだね」
流川は静夜を一瞥する。
「……お前は?」
「へっ?あ、私?
私は、ホラ…これ」
レジ袋を掲げた。
「………空き缶?」
「うんっ
…これね、安いけどお金になるんだ」
「………へぇ」
呆気にとられたような顔をして流川は走り去った。
たとえ僅かな金額でも空き缶拾いは家計の足しになった。
その上、こんな感動的な景色の中で出来るのだから
静夜にとっては万々歳である。
それにしても意外な場所で意外な流川に出会ったものだ。
案外、学校で寝ているのは
この早起きのトレーニングのせいかもしれない。
そろそろ帰らないと弁当を作る時間がなくなる。
静夜が戻ろうとした時、また後ろから足音が近づいた。
「……ほら」
流川の両手には数個の空き缶があった。
「…え?」
「いらねーのかよ」
静夜は慌てて首を振り、レジ袋を広げる。
「……ありがと」
言い終わらないうちに流川は走り去った。
それ以来、流川は時々早朝の海辺に現れては
ジョギングのついでに空き缶を集めてくれるようになった。
「ねぇ…
どうして手伝ってくれるの?」
「…別に
特に意味はねーけど」
「…ねーけど?」
「うるせーな、いーじゃねーか」
はぐらかされた。
学校でも少しずつ2人は話すようになっていった。
話す、と言ってもホンの一言二言だったが
それでも静夜には楽しくて仕方がなかった。
友達――
そんな言葉が脳裏を掠める。
学校へ行くのが待ち遠しいと思った。
「静夜、どうだ今の学校は…
いじめられてねーか?」
「うん、とっても楽しいよ!!
早く明日にならないかなって思うくらい」
父の心配をよそに娘は笑顔で答える。
「とうさんこそ、どーなの仕事は
今度は絶対ケンカしないでよね
私、ずっとここに居たいから!!
約束だよ?」
「ハハハ、わーってらい!!安心しろ
今の店の大将は俺の事、スゲー気に入ってくれてんのよ」
「ホントに?良かったーっ」
六畳一間の狭い部屋に明るい笑い声が響く。
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