このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

差しのべる彼のセリフ


水戸くん、怒ってる?


どうして怒ってるの?


なんで…怒られてるの?



「だって…だって、私はうっとおしいでしょ?そんな…人にくっついているようなヤツ…嫌でしょ?」



感情が高ぶって声が震えてしまう。


抑えようとしているのに、喉の奥から熱いものがこみ上げてくる。



「私は一人で大丈夫なようにならなきゃいけないの!一人でも平気じゃないと…」


「またアイツみたいに何か言われるって?」


「…!!」



先ほどとは違う声だった。


静かな声は同じだったけど、そこに優しさを感じる声だった。



「馬鹿だな、お前、また頑張りすぎてるんじゃねーの?」


「頑張ってなんか…!」


「そうやって力いっぱい言ってる辺りが頑張ってるんだよ」


「……」


「無理して頑張って、そうやって突っ張って。苦しくねーの?」


「……」


「もう、頑張るの、やめれば?」



私は、「頑張って」いた。


一人で、突っ張って、自分は「一人」だと。


一人じゃないのに、一人でいる気になって。


隣に水戸くんがいるのに、そんな当たり前の事に気づかないで。


そう思ったら、なんだかさっきまでの自分がバカバカしくなってきた。


きっかけはほんの些細な事だった。


些細な事なのに、こんなにもスッキリするとは思ってもみなかった。


自分は一人だと思っていた時、いつも隣に水戸くんがいたことを、今しがた気づいた。



「あのさ…なんか水戸くんに全部話してスッキリした。全部話したら、なんか今までの自分がばかばかしくなったよ」


「……」


「ありがとう。水戸くんに話聞いてもらえてよかった」



そういうと、水戸くんは余裕のある笑顔で笑った。



「だから言ったろ、俺が話聞くって。お前頑固だから中々話してくんなかったけど。もっと早く言えばよかったのに」



…ホント、その通りだ。


自分が自分をちゃんと見ることが出来なかったから、隣にいる水戸くんさえ見えなかったんだ。



「俺が隣に居るからさ、お前は俺のそば離れんなよ」



水戸くんはそう言って屋上から姿を消した。


教室では滅多に話せない水戸くん。


こうして屋上にくれば、水戸くんの隣にいられる。


…明日も屋上に来ようと思った。




END

お題提供元:確かに恋だった

2012.11.26
.
4/4ページ
スキ