海南大附属高等学校籠球部!
海南文化祭!
牧が考えた出し物とは…
-----------------
「ま、牧さん、これって…」
清田が宮益が持ってきた箱を覗き込み、思わず息を飲む。
「…なんすか、これ」
「なんだ、見てわからんのか。清田」
「いや、わかりますけど……」
箱の中はピンクや青のカラフルなゴム風船が並んでいる。
そこに牧の檄が飛ぶ。
「いいか、お前ら!今年のバスケ部の出し物は……ヨーヨー釣りだ!!!」
「「おおおお~~~~」」
「あ……あ……」
清田が大口を開けて絶句しているをよそに、周りの部員たちからはどよめきが起きる。
「へぇ…面白そうだね…」
神は三者三様の反応を見てニコニコしている。
牧は箱からヨーヨーを一つ取り出し、手のひらで確認するようにそれを眺めている。
「え…?え~…?」
清田は誰かに聞きたげに慌てるが、全員納得した様子なので聞くに聞けないでいる。
「どうしたの、信長。一人慌てて」
「神さん!なんすか!ヨーヨー釣りって」
「え…?キャプテンの言った通りだよ。今年のバスケ部はヨーヨー釣り。ホント人の話を聞かないなぁ」
「そーじゃなくて!」
冷静な神に対して清田はますますヒートアップする。
「あ、もしかしてヨーヨー釣り知らないの?」
「バカにしないでくださいよ、神さん!知ってますよ!そんなの、俺だって!…いや、…そーじゃなくて!」
「なんだ、知ってるなら問題ないじゃないか」
「いや、でも…」
そこに牧が清田の横に並び、手にしていたヨーヨーを清田の手に渡す。
「いいか、清田。ヨーヨーをバカにするなよ」
「牧さん!」
「ヨーヨーと一口に言っても奥は深いぞ」
「そ、そーなんすか…?」
「いいか。ヨーヨーを釣る時は紙製の糸が切れないよう細心の注意力と集中力を要さねばならん。いわば精神統一だ。これはバスケで言うと1on1。相手が自分に対してどう攻めるか、どう守るか、それを見極めるためには瞬時に精神を集中せねばならん」
「は、はぁ…」
「それにヨーヨーをつく動きとドリブルはよく似ていると思わんか?ボールを自在に操る事がバスケの極意ならば、ヨーヨーを自在に操る事こそがヨーヨーの極意!!…バスケ部らしい出し物だと思うが…皆、どうだ?」
清田に話しかけながらも部員全員に話しかけていた牧の言葉は部員達の心を熱くさせた。
「さすがキャプテン!」
「ナイスアイディアじゃないか」
そんな言葉が部員達の口から次々に出ている。
「……」
清田は牧から貰ったヨーヨーをついてみるがイマイチ納得がいかない表情をしている。
確かに動作自体はドリブルと似ていなくもないし、ヨーヨーを釣る時はいかに水に濡らす事無く釣れるかが勝負になる。
とはいえ、
(なんか…なんか違うと思うんだけど…)
そう思いつつも意見を出しにくい雰囲気に負けてしまう。
(それに相手は牧さんに宮さん。言えっこねぇ…)
清田的に反論したくとも、先輩である牧と宮益の「この日の為に考えた」というアイディアに意見など言える度胸はなかった。
ヨーヨーをつく事をやめられずにいる清田の肩に神がポンと手を置く。
「…!神さん!」
その表情は普段と変わらずニコニコしている。
「いいじゃないか、信長」
「神さん…」
「いいアイディアだと思いますよ、キャプテン」
「神、お前も賛同してくれるか」
「えぇ。面白そうじゃないですか。やりましょうよ」
「よし。お前がそう言ってくれるなら安心だな。それに清田も賛同してくれるな?」
「は、はい…」
「そうか」
牧はニヤリと笑うと清田と神の前から立ち去った。
牧がある程度歩いたところで清田はおずおずと口を開く。
「いいんすかね…これで」
「なにがだい?」
「牧さんには言えなかったすけど、バスケとヨーヨーって共通点ないと思うんすよ。ハッキリ言って」
「……」
「いや、でも牧さんの言っている事はあながち間違いでもないような…気はするんすけどね…。ちょっと無理もある気もするけど…。神さんはどうして納得したんすか?」
チラリと隣を見るとニコニコと笑う神と目があった。
「信長は本当に人の話を聞いてないんだね」
「えっ?」
「言っただろ?『面白そう』だって」
「どういう意味っすか?」
「どうもこうも、そのままだよ。『面白そう』じゃないか。『全国2位』の海南バスケ部の出し物が『ヨーヨー釣り』なんて」
「えっ?」
「さ、そろそろ練習始まるよ」
神は腕を伸ばし、「楽しみだなぁ」と言葉を残して沸きに沸く部員達の輪の中に入っていった。
「全国2位の海南バスケ部の出し物がヨーヨー釣り…『面白そう』???」
言葉の節々に意味ありげに語調を変えていた神の言葉を清田は繰り返していた。
「何考えすか?神さん…」
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バスケ部の出し物は決まったぞ!
どうなるバスケ部!
なに考えてる神!
どうする清田!
牧が考えた出し物とは…
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「ま、牧さん、これって…」
清田が宮益が持ってきた箱を覗き込み、思わず息を飲む。
「…なんすか、これ」
「なんだ、見てわからんのか。清田」
「いや、わかりますけど……」
箱の中はピンクや青のカラフルなゴム風船が並んでいる。
そこに牧の檄が飛ぶ。
「いいか、お前ら!今年のバスケ部の出し物は……ヨーヨー釣りだ!!!」
「「おおおお~~~~」」
「あ……あ……」
清田が大口を開けて絶句しているをよそに、周りの部員たちからはどよめきが起きる。
「へぇ…面白そうだね…」
神は三者三様の反応を見てニコニコしている。
牧は箱からヨーヨーを一つ取り出し、手のひらで確認するようにそれを眺めている。
「え…?え~…?」
清田は誰かに聞きたげに慌てるが、全員納得した様子なので聞くに聞けないでいる。
「どうしたの、信長。一人慌てて」
「神さん!なんすか!ヨーヨー釣りって」
「え…?キャプテンの言った通りだよ。今年のバスケ部はヨーヨー釣り。ホント人の話を聞かないなぁ」
「そーじゃなくて!」
冷静な神に対して清田はますますヒートアップする。
「あ、もしかしてヨーヨー釣り知らないの?」
「バカにしないでくださいよ、神さん!知ってますよ!そんなの、俺だって!…いや、…そーじゃなくて!」
「なんだ、知ってるなら問題ないじゃないか」
「いや、でも…」
そこに牧が清田の横に並び、手にしていたヨーヨーを清田の手に渡す。
「いいか、清田。ヨーヨーをバカにするなよ」
「牧さん!」
「ヨーヨーと一口に言っても奥は深いぞ」
「そ、そーなんすか…?」
「いいか。ヨーヨーを釣る時は紙製の糸が切れないよう細心の注意力と集中力を要さねばならん。いわば精神統一だ。これはバスケで言うと1on1。相手が自分に対してどう攻めるか、どう守るか、それを見極めるためには瞬時に精神を集中せねばならん」
「は、はぁ…」
「それにヨーヨーをつく動きとドリブルはよく似ていると思わんか?ボールを自在に操る事がバスケの極意ならば、ヨーヨーを自在に操る事こそがヨーヨーの極意!!…バスケ部らしい出し物だと思うが…皆、どうだ?」
清田に話しかけながらも部員全員に話しかけていた牧の言葉は部員達の心を熱くさせた。
「さすがキャプテン!」
「ナイスアイディアじゃないか」
そんな言葉が部員達の口から次々に出ている。
「……」
清田は牧から貰ったヨーヨーをついてみるがイマイチ納得がいかない表情をしている。
確かに動作自体はドリブルと似ていなくもないし、ヨーヨーを釣る時はいかに水に濡らす事無く釣れるかが勝負になる。
とはいえ、
(なんか…なんか違うと思うんだけど…)
そう思いつつも意見を出しにくい雰囲気に負けてしまう。
(それに相手は牧さんに宮さん。言えっこねぇ…)
清田的に反論したくとも、先輩である牧と宮益の「この日の為に考えた」というアイディアに意見など言える度胸はなかった。
ヨーヨーをつく事をやめられずにいる清田の肩に神がポンと手を置く。
「…!神さん!」
その表情は普段と変わらずニコニコしている。
「いいじゃないか、信長」
「神さん…」
「いいアイディアだと思いますよ、キャプテン」
「神、お前も賛同してくれるか」
「えぇ。面白そうじゃないですか。やりましょうよ」
「よし。お前がそう言ってくれるなら安心だな。それに清田も賛同してくれるな?」
「は、はい…」
「そうか」
牧はニヤリと笑うと清田と神の前から立ち去った。
牧がある程度歩いたところで清田はおずおずと口を開く。
「いいんすかね…これで」
「なにがだい?」
「牧さんには言えなかったすけど、バスケとヨーヨーって共通点ないと思うんすよ。ハッキリ言って」
「……」
「いや、でも牧さんの言っている事はあながち間違いでもないような…気はするんすけどね…。ちょっと無理もある気もするけど…。神さんはどうして納得したんすか?」
チラリと隣を見るとニコニコと笑う神と目があった。
「信長は本当に人の話を聞いてないんだね」
「えっ?」
「言っただろ?『面白そう』だって」
「どういう意味っすか?」
「どうもこうも、そのままだよ。『面白そう』じゃないか。『全国2位』の海南バスケ部の出し物が『ヨーヨー釣り』なんて」
「えっ?」
「さ、そろそろ練習始まるよ」
神は腕を伸ばし、「楽しみだなぁ」と言葉を残して沸きに沸く部員達の輪の中に入っていった。
「全国2位の海南バスケ部の出し物がヨーヨー釣り…『面白そう』???」
言葉の節々に意味ありげに語調を変えていた神の言葉を清田は繰り返していた。
「何考えすか?神さん…」
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バスケ部の出し物は決まったぞ!
どうなるバスケ部!
なに考えてる神!
どうする清田!