海南大附属高等学校籠球部!

IHの熱気が僅かに残る。

昼間はまだ太陽の暑さが残るが、夜は幾分涼しくなってきた季節…

「ついに来たぞ、この時が…!」

ここは海南大付属高校バスケ部専用体育館。

各々の部活動に力を入れているこの高校の設備は満足すぎるほど整っており、特に運動部に関しては専用の敷地があるほどだ。

IH連続出場を果たしているバスケ部もまた、専用の体育館が用意されている。

その強豪バスケ部のキャプテンを勤める牧が、部員全員を体育館の一角に集め、腕組みをして試合前独特の緊張感を醸し出していた。

「『ついに来た』って、どうしたんすか、牧さん」

牧の言葉に固唾を呑む中、清田がその沈黙を破る。

牧はそれに動じる事無く清田に鋭い視線を向ける。

「清田…。お前は1年だからまだこの重大さがわからんのは当然だな」

「う…牧さん…」

「いいから黙って聞いてなよ、信長」

清田の隣にいる神がニコリと清田に声をかける。

声色は普段どおりだが、その微笑みは少し緊張感が混じっていた。

「いいか。今が大事な時期だ。今、何をするかで他との差はぐっと開くんだ」

牧は厳しい目つきで部員を一望する。

その目線に清田は思わず凍りつく。

(…そうか!王者海南、IHで準優勝したとはいえ、油断は禁物。練習ももっと厳しくなる、牧さんはそう言いたいんだ!)

清田は一人牧の言葉の一つ一つをかみ締めていた。

その時、牧がキッと前を睨みつけるのと同時に、声を張り上げる。

「いいか、お前ら!今年の文化祭、気合入れろよ!!!」

「「「おう!!!」」」

「よっしゃあああ!!このゴールデンルーキー清田信長、気合十分っすよ!…って、え?…なに?」

拳に力を入れた清田の手が緩む。

「なにって…。信長、聞こえてなかったの?キャプテンの話」

「聞こえてましたよ、神さん!文化祭でしょ?それとバスケ部と何の関係があるんですか!」

来月、海南では文化祭が執り行われる。

文化祭とはその事だという事は清田も十分よく知っている。

事態を飲み込めていない清田を見て、神はニコリと説明を始める。

「海南の文化祭では部活ごとに出し物をするんだけど…それだけじゃ張り合いがないっていうんで、『どこの部が一番盛況だったか』ってランク付けがされるんだ」

「…知らなかったっす」

神の説明の通り、海南大付属高校では部活ごとに出し物をすることが定められている。

そして、どの部の出し物が一番盛り上がったか、訪れた人数や投票などでランキングが作られる。

そのランキングは文化祭イベントだからとバカにできるものではなかった。

そのランキングの評価は部活の評価や印象にも繋がるもので、毎年文化祭の時期になると各部で対抗意識丸出しで争うのが恒例になっている。

「ちなみに去年はウチが男子柔道部に負けて2位。監督が悔しさで扇子を折ったって話だよ」

「そんなに重要だったんすか…」

ちなみに、去年の男子柔道部の出し物は「屈強な柔道部員に投げられよう!」だった。

あえて一本背負いで投げられる、という斬新でスリル満天な企画が受けたらしい。

神の説明を黙って聞いていた牧はふーっと息を吐き出す。

「そう…、去年は男子柔道部に惜しくも負けた。しかし!今年こそ絶対に勝つ!」

「牧さんがあんなに気合を入れるなんて…!文化祭、舐めてちゃダメっすね!」

牧の熱気につられて清田も胸を奮わせる。

「今年のバスケ部の出し物は俺と宮でこの日の為に考えてきた。宮、すまんが「あれ」持ってきてくれないか」

「了解、牧」

牧の視線を合図に宮益が体育館外から箱を持ってくる。

少し小さめの箱を部員達の前に持ってきたところで、牧が吠える。

「今年のバスケ部の出し物は…これだ!!」

「「おおおーーーー」」」

「牧さん、これって…!」





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バスケ部のとっておきの出し物とは?
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