徒然モノクローム
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江ノ電に乗って私の行きつけのドーナツ屋へ3人で向かう。
小さな車両に高身長の人物が二人並んでいるのはそれだけで注目を浴びる。
背の高い二人が余計に大きく見える。
座っていればいいのに、二人はドアの前を塞ぐように立っているからタチが悪い。
ドーナツ屋に着いたら着いたでまた場所取りで揉めている。
「テメーが反対側へ行け」
「お前が行けばいいだろ?」
…まだやってる。
「私、注文してきちゃうね」
机の上に鞄を置いて注文カウンターに行こうとすると「俺も」と二人がハモった。
注文するものは決まっているけれど、なぜかガラスケースに入った沢山の種類のドーナツに見入ってしまう。
流川くんと仙道さんも同じようにガラスケースを眺めるけれど、照れがあるのか、最初に注文するのをためらっている。
店内でも目立つ高身長の二人。
その二人が沢山のドーナツの前で立っているのはなんとも不釣合いだ。
このままいても埒が明かないので、私から注文する。
「チョコドーナツとハニーリング、それとアイスコーヒーください」
さりげなく店員さんを目を合わせて注文をすると、後ろから
「じゃあ、俺も」
「俺も」
と、二人の声がまたハモった。
この二人、注文できなかったんじゃない。
何を注文していいのかわからなかっただけだった。
前にも来たことあるのに…!
二人の様子があまりにも滑稽で、店員さんは平静を装いつつも笑いを堪えるのを必死で「かしこまりました」
とドーナツを3つずつトレーに乗せていく。
(は、恥ずかしい…)
なぜか私の顔が真っ赤になってしまう。
これは滑稽すぎる。
「私、持っていくから先に席行っててよ…」
二人の顔を見れずに座席の方を指差す。
ドーナツ屋でこんなに恥ずかしい思いをするのは初めてだ。
そういえば…
毎日乗っている電車からの風景も、あんなに感情的に見たのも初めてだった。
高校に入って最初の頃は海の近くを走る電車に感動したけれど、今はそれが当たり前になってしまって無意識になってしまっていた。
なぜだろう…
そして、改めて風景を意識するようになったのはなぜだろう…
カウンターからドーナツとアイスコーヒーが乗ったトレイを受け取って席に向かう。
席に戻ると流川くんと仙道さんが向かい合わせに座っていた。
「…お待たせ」
少し不安定なトレイをゆっくりと机に置く。
「……」
私は少し困った。
どちらに座ればいい?…と。
同じクラスの流川くんの隣に座るべき?
それとも今日沢山話をした仙道さんの隣に座るべき?
…というか、迷う座り方、しないで欲しい。
「##NAME1##ちゃん、どっちに座る?」
机に肘をついていた仙道さんが少し意地悪そうに笑う。
流川くんとはいうと無言で何かを訴えるような目でこちらを見ている。
「俺としてはこっちに来て欲しいんだけど」
「……」
…自惚れるわけじゃないけど、自惚れるわけじゃないけど…!
この状況って。もしかして…
いや、そんなことは…!
私に限って、ないないないない!!
「##NAME1##、早く決めろ」
流川くんに睨まれながら「決めろ」とか言われても…
「そうだな、早く決めて欲しいな。ドーナツは美味しいうちに食べないと」
…同感ですとも、仙道さん。
同感ですけれども…
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