徒然モノクローム
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「仙道、てめぇ…」
「ん?なんだ、流川じゃねーか。奇遇だなぁ」
頭上から低い声が聞こえて振り返ると、ジャージ姿の流川君が仙道さんを睨みつけていた。
走っていたのか少し息が上がっていて汗だくだ。
「こんなところでめいと何してやがる」
「何って、各々ぼんやりしてただけだよ。なぁ、めいちゃん?」
…何してた、と言われると何もしてない。
仙道さんは釣りをしていて、私は隣でそれをみてぼんやりしているだけだった。
「んー…何もしてないよ」
仙道さんはそう言いながら流川くんの顔をチラリと見てまるでからかうかのようにプッと吹き出した。
「ホントだろうな」
「ホントだよ。俺を信用しろよ、流川」
「……」
流川くんの反応に、またも思い出したように仙道さんは吹き出す。
「やっぱお前、面白いわ」
「む…」
クスクス笑いながら仙道さんは釣竿を握りなおす。
どうやら魚がかかったようで、顔は笑いながらも釣竿を持つ手は真剣そのもので、時にリールを巻いたり止めたりして魚との釣るか釣られるかの駆け引きをしている。
その間に流川くんは私と仙道さんの間に立ち、仙道さんを睨みつけていた。
「あー…、残念。逃げられた」
餌だけ取られてしまってだらりと垂れる糸を引き寄せるが、仙道さんの言葉とは逆に残念そうには見えない。
「流川くん?顔、怖いよ?」
流川くんは相変わらず仙道さんを睨みつけている。
「てめー、さっきのはどういう意味だ」
「は?さっきのって?」
「『面白い』っつったろ」
「あ~…あれ。そんなこと気にしてたのか」
とぼけたように返事をする仙道さんを見て、流川くんの眉間に一層のしわが寄る。
きっと仙道さんが「お前って面白いな」って言ってたことだ。
先の見えない仙道さんの発言に翻弄されているのは私だけじゃないらしい。
「お前が海みたいで面白いってことだよ」
仙道さんは眉を下げて少しからかうように笑った。
(さっき、「面白いヤツがいる」って言ってたの、流川くんの事だったんだ…)
普段は穏やかに凪いでいるのに、天候が変わると一気に荒れる。
なるほど。
普段の流川くんはボーっとしていて空気みたいに辺りに溶け込んでいるけど、バスケをしている時は一転して炎のように燃え上がる。
それを海と照らし合わせるなんて、仙道さんて以外と詩人かも。
「意味わかんねー…」
深い意味を考えるまでもなく、流川くんは捨て台詞を吐き出す。
バスケ以外の流川くんは本当に単純でわかりやすい。
面白いなぁ。
本当に面白い。
「ねぇ、お腹空かない?ドーナツ、食べに行こうか」
このワクワク感、まだ味わっていたい。
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