徒然モノクローム
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日曜日。
もちろん学校はお休みだけど、江ノ電に乗って学校のある方向へ向かう。
今日は雲が少なくてよく晴れている。
僅かに開けられた窓からは心地よい風が車内を流れていた。
ドアの近くに立って、普段見ない景色を今日はじっくりと眺めてみる。
今は海が見える。
太陽の反射で波が穏やかだという事がわかる。
(きれいだな…)
近くで海を見ようと思って江の島がよく見える駅で降りて海岸へと向かう。
天気がいいせいか人の出がある。
静かさを求めて、海に突き出る防波堤へと向かった。
コンクリートで出来た防波堤では釣りを楽しむ人が、静かな海に向かって釣り糸をたらしていた。
私は何も考える事無く、波の音を感じていた。
緩やかに吹く潮風と、穏やかな波の音。
白く輝く海に江の島の緑が栄える。
(この場所って、こんなに綺麗なところだったんだ…)
日常の風景など意識して見た事なかった。
「あれ?めいちゃん?」
不意に呼ばれて振り向くと見覚えのあるニコニコ顔のツンツン頭。
「奇遇だなぁ、こんな所で会えるなんて」
「せ、仙道さん…!」
「もしかして一人?」
「は、はい…」
「じゃあ、丁度いい。俺も、一人」
何かのお誘いだろうか。
今日はなんとなく一人でいたい気持ちだったのに…と思っていたら、それを見透かされたのか、
「一人の時間は邪魔しないよ。俺も一人で釣りやりたいし」
そんなちょっとよくわからない言葉が返ってきた。
(釣り…?)
よく見ると仙道さんの手には釣竿が握られていた。
「…釣竿、ですか?」
「そ。俺はこれをやりにきたの。一人で」
「じゃぁ、『丁度いい』って」
「あぁ!」
仙道さんは「そんな事言ってたっけ」という表情で目を丸くする。
ついさっき自分で言っていた言葉も忘れてしまうなんて…天然なんだろうか。
「そんなところでぼんやりするより、俺の隣でぼんやりしてた方が楽しいと思って」
「楽しい…」
ぼんやりするのに「楽しさ」がいるんだろうか。
「どうする?俺はあっちでぼんやり釣りするけど、めいちゃんはまだここでぼんやりする?」
「……」
まるで謎賭けのようだった。
私を誘うようで、誘ってない。
なんだろう、この感じ。
でも、知り合いがいるのにそれぞれ別行動するのも何だか変な感じがする。
「じゃあ、一緒にぼんやりします」
「…よし!」
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