徒然モノクローム
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つまらない白黒だけの日常が、突然極彩色のような日常になったような気がする。
それは自分が変わったのではなく、私の周りの人の影響だ。
なんて、物思いにふけるけれど…
とりあえず、今、この状況は色鮮やか過ぎて見ていられない。
というか、耐えられない!!
「…なんでこういう並びになるの?」
「そ。##NAME1##ちゃんの言うとおり。だから流川、お前反対側行けよ」
「断る。仙道、おめーこそ反対側行け」
「それはお断り。俺、こっち側がいいもん」
「俺だってこっち側がいい」
今、私達3人は駅前のドーナツ屋に来ている。
4人がけのテーブル席の片側に私を挟んで3人で並んでいる姿はとても滑稽で。
ましてや私の両側にいる人は180は余裕で超える身長の持ち主。
正直狭くて仕方がない。
ギュウギュウと席に座るおかしな光景は自然と視線が集まる。
恥ずかしくて頭を上げられないでいる私の頭上では静かないい争いが続いている。
「イヤダ」
「俺だって嫌だ」
「てめーが一番大きいんだ、お前が反対に行け」
「俺、結構スマートだから大丈夫だよ」
「む…」
何でこういう状況になってるんだろう。
「もういい、私が反対側行く」
「「えっ」」
ドーナツのお皿とアイスコーヒーをテーブルの反対側にやって私は席を立つ。
「…なんで俺がてめーの隣に座らなきゃなんねーんだ」
「流川がさっさと向こうに行かないからだろ?」
「そりゃこっちのセリフだ」
…ダメだ、この二人。
なぜ、私がこんな大男二人と一緒にドーナツ屋に来てるんだろう…
お互いに嫌な圧力をかけあっている二人を無視して目の前のアイスコーヒーに刺さったストローをもてあそびながらさっきあったことを思い返す。
帰り道が真逆の流川君に「お前の最寄り駅にあるスポーツ店まで案内しろ」って一緒に江ノ電乗ったんだ。
そしたら途中の駅で仙道さんが乗り合わせたんだ。
仙道さんを見るなり目つきが変わった流川君にビックリしていたら、ニコニコ笑った仙道さんに話しかけられて…
小さな江ノ電の車両が高身長の二人のせいで余計に小さく感じた。
天井スレスレの二人の身長はそれだけで他の乗客の注目を集めて、その視線が恥ずかしくて私は始終うつむいていた。
それに、この二人は私には眩しすぎる。
「大体流川の家はこことは逆方向だろ?そっちにもスポーツショップくらいあるだろ。なんでそっちに行かないんだ?」
「うるせー。てめーにゃ関係ねーだろ」
…この二人、まだやってる。
このドーナツ屋で大好きなチョコドーナツを食べながら苦いコーヒーを静かに飲むのが学校帰りの楽しみだったんだけど…
ドーナツのお供に読もうと思っていた文庫本を鞄の隙間から覗き込んで、「今日はもう読めないな」と諦めながら一欠けらだけ残ったドーナツを口の中に入れる。
この本はまた明日読むことにして、今日は帰ろう。
数学の宿題もやらなきゃいけないし。
「もう、私は帰るけど…」
そう言って席を立ち上がろうとすると、二人同時に「自分も帰る」といそいそ動き出す。
今日はなんかドッと疲れた…
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