豊玉vs大栄
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
土屋はフロアに残ったまま、大栄のベンチを眺めていた。
大栄メンバーは飛びつき、抱き合い、歓喜をあらわにしている。
本来なら自分もその輪に入っていなければならないのに、どうにも足が動かなかった。
今すぐにでも走り出して、喜びを分かち合いたいのに。
『絶対に優勝する』と誓ったものの、実際に『優勝』という二文字が現実のものになると、どこか信じられない気持ちになる。
(ホンマに、優勝したんやな…)
スコアボードを見上げながら、現実を自分のものにしようとするが、いまいち実感がわかずにいた。
「土屋ぁ!!!!」
後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると##NAME1##が喜びを押さえきれずにこちらに走ってくる。
「優勝や!!やったなぁ!!」
「え、あぁ、うん」
未だに夢を見ているようで、つい曖昧な返事をしてしまう。
「何ボーっとしてんねん!優勝やで!土屋の作戦大成功やったなぁ!見事に豊玉を抑えつけたな!」
「お、おう」
「大栄の力を全国に知らしめるんやろ?これでばっちりやん!」
「そやな…」
どこかよそよそしい土屋の態度に、##NAME1##は土屋の顔を見上げる。
「…どないした?土屋、嬉しくないんか?」
「嬉しいで…。めっちゃ嬉しい」
「じゃあ、どうして」
「いざ、自分の代で優勝すると、実感が沸かへんっちゅーか…信じられんくてな。なんかフワフワした気持ちやねん。優勝したことはわかっとるんやけど、なんか気持ちが追いつかへんねん…」
「土屋…」
「想像の中では『優勝したら両手挙げて喜ぶんやろな』って思ってたけど、実際優勝してみると、違うんやな」
少しだけ笑みを浮かべる土屋に、##NAME1##はその背中を思いっきり叩く。
「らしくないで!土屋!!」
「あいたっ!なにすんの!」
「ほら、よーく見てみ、スコアボード。紛れもなくウチの勝ちや」
##NAME1##の指差す方向を見ると、先ほど自分が眺めていたスコアボードが目に入る。
その電光表示は先ほどと変わらない数字を灯していた。
「それに、みんな喜んでるで」
ベンチに目をやると先ほどまで飛び上がって喜んでいたメンバーの目にはいつの間にかうっすらと涙が浮かんでいた。
「……」
「大栄は勝ったんやで。優勝や」
「そやね…」
しみじみと言葉を返す土屋を見て、##NAME1##はいきなりベンチに向かって大声で叫ぶ。
「ちょっと!!そんなとこで涙ぐまんと!!キャプテンほっといてアンタら何してんの!!」
「えっ…」
##NAME1##に呼びかけられたメンバーがこちらに向かって走ってくる。
『土屋、やったな!!』
『土屋先輩!』
『大栄、優勝や!!』
土屋を囲んで大喜びする面々。
そして、一緒に満面の笑顔で喜ぶ##NAME1##。
それを見て土屋は初めて『優勝』を実感した。
大栄学園が優勝した。
その現実をようやく受け止めることができた。
途端に自分の中で何かが湧き上がってきた。
なんとも言えない気持ちの高鳴り、とどめておく事の出来ない喜び。
プレイ中は決して表情を表に出さない自分。
「よっしゃーーーー!!やったでーーー!!優勝や!!」
両手を挙げて大声で叫んだ。
キャプテンという責務から解放された瞬間だった。
今までキャプテンという冷静な自分でいなければならなかったが、今はそれは必要ない。
一気に感情が爆発した感覚に、土屋はしばらくその感情を抑えきれずにいた。
「やった!やったで!」
「よかったなぁ、土屋。ウチ、めっちゃ嬉しいで!」
「俺も嬉しいっ!」
「うわっ!!」
土屋は喜びのあまり、思わず##NAME1##に抱きついた。
「嬉しい!めっちゃ嬉しいで~!」
「ちょっ…!離せ!土屋!」
「ちょっとー、見せつけんといてください~」
「ホンマ、ただでさえ暑いのに余計暑苦しいわ」
「いいから離せ、土屋!ホンマ暑苦しい!」
「俺は構わんで!」
大栄学園、大阪府決勝リーグ、優勝!
→ちょっとおまけ
.