豊玉vs大栄
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「くっそーーー!!!」
試合に負けた豊玉の面々、特に岸本は悔しさを抑えきれないでいた。
試合終了の挨拶の後、思わず土屋に突っかかる。
「土屋、何で俺と勝負せんかったんや!」
それは半分八つ当たりでしかなかった。
「しつこいな、岸本。勝負したで。お前のディフェンスを読んでパスもしたし、お前のディフェンスの上からシュートもした。その後どうなったか考えてみぃ。それが勝負の結果や」
土屋はそう行って岸本を背にして歩き出した。
岸本はギリギリと歯軋りしていたが、土屋の目には一切入っていなかった。
(ふ、してやったり、や)
岸本に対して完全勝利した土屋は心の中でほくそ笑む。
そんな二人のやりとりを、南は黙って見ていた。
岸本のように突っかかる気にもならなかったし、突っかかる岸本を止めようとも思わなかった。
ただ、見ていただけだった。
「……」
IHに出場できるとはいえ、負け試合をした自分に悔いが残る。
でも…果たしてそれだけなのだろうか。
モヤモヤとした気持ちが心の奥底で芽生えていたが、それを無理やりかき消そうとする。
「負けた」からこんな気持ちなのだ。
そう自分に言い聞かせる。
フロアを眺めていた土屋とふと目が合った。
お互い無表情のまま、言葉を交わすことはなかった。
「……」
南はくるりと向きを変え、ベンチへと戻る。
「甘い、か。そんなことあらへん」
自分の気持ちは決して甘いものではない。
何がなんでも勝っていれば、この気持ちのくすぶりはきっとなかったはずだ。
たとえ、強引な手段をしても…。
きっと、気持ちがすぐれないのは豊玉の得意技であるオフェンスが抑えられたに違いない。
そう、納得せざるを得なかった。
毎試合、速い展開で100点ゲームを決める豊玉にとって、50点台にまで押さえつけられるのは屈辱でしかなかった。
それはまさに「大栄学園に見事に押さえつけられた」の一言に尽きなかった。
土屋の狙いはまさにこれであった。
「毎試合100点以上取る豊玉を50点台にまで抑えた」
この事実さえあれば、大栄学園の力を証明するのには十分すぎる程である、ということを。
得点力のあるチームを抑えるだけのディフェンス…
更にそれに対して10点以上の差をつけて勝利したオフェンス力…
それがこの試合で証明されたのである。
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