Our fights
「やった!!私の勝ち!!」
火玉が落ちる事無く火花を出し終えて消えていった私の線香花火を、二人で息を飲みながら見守った後、私は思わず叫んでしまった。
文句なし、私の完全勝利だ。
「くっそーー……」
ぐうの音も出ないノブは途中でギブアップした線香花火をバケツの中に放り込んだ。
「さぁ、罰ゲームだよ!ノブの秘密を教えなさい!」
「う…」
そう言ってノブは気まずそうに視線を反らす。
よっぽど重大な秘密があるらしい。
これは何が何でも聞き出しておかなければ。
私もいい罰ゲームを思いついたもんだ。
自画自賛していると、ノブは観念したのか、座ったままモゴモゴしながら聞こえるか聞こえないかの声で呟く。
「その……な…が…」
「え?」
「………な人が…」
「何?」
消えそうな声は波の音に消されてしまって、何を言っているのかわからなかった。
「好きな…人が…」
「もう、全然聞こえないよ。なんて言ったの?」
近くに歩み寄ると、ノブはいきなり立ち上がり私に人差し指を向ける。
「オメーが好きなんだよ!!!悪いか!!!」
「えっ」
時間が止まった。
波の音も聞こえなくなった。
私も、動けなかった。
「え、今、何て…」
「一回しか言わねぇからな!!!」
ノブはそう言ってゴミとバケツを掴んでズンズンと歩き出していった。
私は意識を取り戻せずに呆然と立ち尽くしていた。
そんな私に檄が飛ぶ。
「ほら!帰るぞ!そこに立ってると置いてくぞ!」
「え、あ、待って!」
私は走った。
ノブの隣に。
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