Our fights
「あ!まだ残ってたんだ、コレ…」
最後の1本の消えて辺りが波の音だけになった時、ノブがまたも花火を取り出した。
「…線香花火」
花火セットにもれなく付いてくる一束の線香花火。
普通なら花火の締めにもってこいの線香花火。
私たちがやった花火セットは大量にあった。
当然ながら線香花火も大量なのだが…
「いいじゃん、やろうよ。私、線香花火好きだし」
「お?そうか?」
火をつけてから僅かな静寂の後に火花を四方八方に出す線香花火。
風情あるその姿は私のお気に入りだ。
「よぉし、じゃあ勝負しねぇか?どっちが長く線香花火を保てるか」
ロウソクをはさんだ向こう側でノブが人差し指を向ける。
「え、また?」と言い出そうとした瞬間、私にある企みが浮かんだ。
「いいよ!その代わり、普通の勝負じゃつまらないからさ、負けたら罰ゲーム、することにしない?」
「罰ゲーム?」
「そう。負けたら…自分の秘密を言う!ってのは?」
「よし、いいだろう。おもしれぇじゃねーか」
そして私たちの勝負は始まった。
普通に1本1本やっていたら面白くないので、3本まとめて火をつけて臨場感を出すことにした。
3本まとめての線香花火は難しく、風ですぐに火玉が落ちてしまったり、火花を出している途中で落ちてしまったり…
とても不安定な線香花火での勝負は白熱した。
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