君は微熱
どれくらい時間が経っただろう。
ふっと薄目を開けると部屋の中は真っ暗だった。
遠くで呼び鈴の音が聞こえる。
…誰か来たのかな。
じゃあ、早く起きて出ないと。
ゆっくりベッドから起き上がろうとした時、目の前がグラリと揺れた。
(…あれ?おかしいな…寝起きだからかな?)
寝起きの体を無理やり奮い立たせ、ゴホゴホと小さな咳をしながら玄関に向かった。
用心のため、ドアスコープから外を覗く。
次の瞬間私の目は一気に覚醒した。
「!!!!! るっ!!流川君!!??」
急いでガチャガチャと鍵とチェーンロックを開け、思いっきりドアを開ける。
「な、なんでっ……!!」
「っぶねーな。いきなり開けんな」
そこには少しかったるそうな流川君がいた。
いつものようにスポーツバックを肩から提げている。
「どっ、どうしたの?急に」
「いや、どうしてるかと思って」
「え?どうしてるって?」
「風邪引いてんだろ」
「あ…そうだっけ」
「相変わらず、すっとぼけてんな、おめーは」
「で、どうしたの?」
「…………」
「え?なに?」
二人の間に微妙な空気が流れる。
あれ?私、なんか変なこと言ったかな?
どうも頭がぼんやりしてうまく思考できない。
「おめー、熱でもあんのか?」
「あ…どうだろう。まだ測ってないから…」
その瞬間だった。
また目の前の景色がユラリと揺れた。
頭がクラクラして体に力が入らない。
目の前が真っ暗になって体がカクッと倒れこむのがわかった。
「…っ、おいっ!」
その後、頭がぼんやりしてよくわからなかったけど、
体がフワフワして、いつの間にか布団の中にいて、
私はそのまま寝てしまった。
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