君は微熱
朝、目覚めると同時に喉の違和感。
喉の奥、ちょっと力を入れると感じるわずかな痛み。これには何回も経験があるからわかる。
これはきっと「風邪の前兆」、だ。
最初に喉が痛くなって咳が出てくる、いつものパターン。
秋から冬とか、冬から春という季節の変わり目になると大体こうして風邪を引くのだが、連日の暖かさに油断していた私は急な冷え込みに対処できず、今回もこうして風邪の予兆がきてしまった。
昨日は冬の終わりにしてはやたらと暖かかったのでいつもの分厚いコートはやめて、ちょっと薄手の上着で登校した。
しかしながらその薄手の上着ではまだまだ寒さを防ぐことはできなかった。
それが原因かもしれない。
こういう時は早めに薬を飲んでおこう、そう思ったが、一人暮らしの私の部屋に風邪の常備薬などなく、なんとか見つけだしたマスクを付けて登校することにした。
(うぅ……やっぱり寒い)
晴れてはいるものの、今日は風が強いせいか暖かさはあまり感じない。
コートを着ているのに体全体がゾクゾクするように寒い。
気温のせいなのか風邪のせいなのかよくわからない。
とにかく寒い。
(うぅ…今日は本当に寒いな…せめてマフラーでもしてくればよかった…)
朝この時間の吹く風はひんやりと冷たくてコートの隙間から容赦なく風が入ってくる。
それが余計に寒さを助長した。
私は寒さを凌ぎたくて早足で学校に向かった。
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