輝き
『ハァ……ハァ……』
気が付くと下駄箱の前まで走っていた。
下駄箱に手をついて息を整える。
あんな近くで三井先輩を見るのは初めてだった。
ましてや話かけられるなんて…
妄想通りの事が起こったのに、逃げ出してしまうなんて…現実はこんなもんだ。
心臓の鼓動が早い…
全力疾走したからではない。
頭はこんがらがっているけど、はっきり覚えている。
確かに目の前にいた。
どんな形であれ、私に話し掛けてくれた。
これは、、、スゴい事だ!!!!
ゆっくりと靴を履き替え、家まで走って帰る。
もう走らずにはいられなかった。
じっとしてると、胸がキュンとしてしまって…
走って、走って…走りまくった。
------------------
『…………』
次の日、私は教室の机に肘をついて考えこんでいた。
今日の練習を見に行くかどうか………昨日、あんな事があっただけに見に行きづらい。
目の前で醜態を晒したのだ。
『恥ずかしい……』
昨日の事を思い出して、胸がキュンとなる。
醜態を晒したものの、好きな人に話し掛けられたのは事実。
昨日からドキドキして…いてもたってもいられない。
今日の授業は昨日の事ばかり考えていて集中できなかった。
そうこうしているうちに、あっという間に放課後だ。
見に行きたいけど、ドキドキが収まらなくて、葛藤してしまう。
今日はやめておこうかな…
ドキドキしてしまってダメだ。
口から心臓が飛び出るかもしれない。
少し後ろ髪引かれながらも下駄箱に行き、靴を履き帰る。
「……おい!」
また後ろから声をかけられる。
『!!!!!』
また、聞き覚えのある声。
「お前、今日は帰るのか?」
こっ……この声は……
昨日と同じようにバッと思いっきり振り替えると、
『みっ…三井先輩!!』
そこにはバッシュ片手にこちらを見ている三井先輩が……
「お前、もう帰んのか?」
…話し掛けられた…
なぜ私に…
「練習、見にこないのか?」
『あ、いや…どうしようかと思って…』
「そうか……つまんねぇな」
そう言ってくるりと向きを変えて体育館の方へ歩いていこうとする。
………は???
今、なんて……
『ちょっ!!!今、なんて…!!』
私はいそいそと靴を脱いで呼び止める。
「…あ?お前が見にこないからつまんねぇって言ったんだよ!」
「2回も言わせるな」、と小さくぶつぶつ言っている。
『………』
開いた口が塞がらない。
これは、好意的な意味に取っていいのだろうか……
「練習見にこいよ。お前、俺の華麗なシュートが見たいんだろ?」
ニヤリと自信満々の顔にドキリとする。
『なんで、そうだとわかるんですか?』
「見りゃわかるだろ。俺がシュート決めると凄い顔してるし、お前」
……バレてた。
「で、今日は見ていかねーのか?」
『……見に行きます!!』
顔が真っ赤になっているのを感じながら、はっきりと返事してしまう。
「じゃあ、上履きに履き変えてこいよ。そのままで行く気か?」
ふと下を見るとさっき靴を急いで脱いだままになっている足が。
「あとよ、俺がシュート決めた時、もっと騒いでいいんだぜ」
少し照れくさそうに言うのがたまらなく嬉しくて、私は今度から思いっきり堂々と練習を見ようと思った。
見つめているだけじゃなくて……
END
091015
気が付くと下駄箱の前まで走っていた。
下駄箱に手をついて息を整える。
あんな近くで三井先輩を見るのは初めてだった。
ましてや話かけられるなんて…
妄想通りの事が起こったのに、逃げ出してしまうなんて…現実はこんなもんだ。
心臓の鼓動が早い…
全力疾走したからではない。
頭はこんがらがっているけど、はっきり覚えている。
確かに目の前にいた。
どんな形であれ、私に話し掛けてくれた。
これは、、、スゴい事だ!!!!
ゆっくりと靴を履き替え、家まで走って帰る。
もう走らずにはいられなかった。
じっとしてると、胸がキュンとしてしまって…
走って、走って…走りまくった。
------------------
『…………』
次の日、私は教室の机に肘をついて考えこんでいた。
今日の練習を見に行くかどうか………昨日、あんな事があっただけに見に行きづらい。
目の前で醜態を晒したのだ。
『恥ずかしい……』
昨日の事を思い出して、胸がキュンとなる。
醜態を晒したものの、好きな人に話し掛けられたのは事実。
昨日からドキドキして…いてもたってもいられない。
今日の授業は昨日の事ばかり考えていて集中できなかった。
そうこうしているうちに、あっという間に放課後だ。
見に行きたいけど、ドキドキが収まらなくて、葛藤してしまう。
今日はやめておこうかな…
ドキドキしてしまってダメだ。
口から心臓が飛び出るかもしれない。
少し後ろ髪引かれながらも下駄箱に行き、靴を履き帰る。
「……おい!」
また後ろから声をかけられる。
『!!!!!』
また、聞き覚えのある声。
「お前、今日は帰るのか?」
こっ……この声は……
昨日と同じようにバッと思いっきり振り替えると、
『みっ…三井先輩!!』
そこにはバッシュ片手にこちらを見ている三井先輩が……
「お前、もう帰んのか?」
…話し掛けられた…
なぜ私に…
「練習、見にこないのか?」
『あ、いや…どうしようかと思って…』
「そうか……つまんねぇな」
そう言ってくるりと向きを変えて体育館の方へ歩いていこうとする。
………は???
今、なんて……
『ちょっ!!!今、なんて…!!』
私はいそいそと靴を脱いで呼び止める。
「…あ?お前が見にこないからつまんねぇって言ったんだよ!」
「2回も言わせるな」、と小さくぶつぶつ言っている。
『………』
開いた口が塞がらない。
これは、好意的な意味に取っていいのだろうか……
「練習見にこいよ。お前、俺の華麗なシュートが見たいんだろ?」
ニヤリと自信満々の顔にドキリとする。
『なんで、そうだとわかるんですか?』
「見りゃわかるだろ。俺がシュート決めると凄い顔してるし、お前」
……バレてた。
「で、今日は見ていかねーのか?」
『……見に行きます!!』
顔が真っ赤になっているのを感じながら、はっきりと返事してしまう。
「じゃあ、上履きに履き変えてこいよ。そのままで行く気か?」
ふと下を見るとさっき靴を急いで脱いだままになっている足が。
「あとよ、俺がシュート決めた時、もっと騒いでいいんだぜ」
少し照れくさそうに言うのがたまらなく嬉しくて、私は今度から思いっきり堂々と練習を見ようと思った。
見つめているだけじゃなくて……
END
091015