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HAPPY BIRTHDAY


年に一度の歌合戦が白組の勝利を飾り、テレビはその熱気を一気に冷ますような、厳格な寺の映像に切り替わる。

そこからは心にずしりと響き渡る、除夜の鐘の音が聞こえてくる。

一年の終わりがくるのを一気に実感させて少し物寂しい気分にさせる。


隣に座っていた男は寝ることなく、ずっと腕を組んでテレビを見つめていた。


(ホントに大丈夫だった…)


「途中で寝てしまうだろう」という予想を外したが、しっかりと起きていた事に感心してしまう。



「さて…。そろそろ行くぞ」

「…どこに?」


急にスッと立ち上がる流川を見上げる。


「…神社。二年参り」

「!! あっ!」


その言葉を聞いて、流川の意図を初めて知る。


「寝るな」と言ったのはこのためだったのだ、と。


急いでコートとマフラーを身につけ、二人で玄関を出る。







外の空気は昼間と全く違い、キンと冷えて鋭くなっていた。

しかし、その中に何故か神聖なものを感じるのは今日という日が特別な日だからなんだろうか。

二人の歩く音が静かな夜に響く。




「それにしても行くなら行くって言ってくれればよかったのに」

「内緒にしとくつもりだったけど…察しのいいオメーの事だからどーせ気づくかと思って」

「…全然気づかなかった…」

「じゃナイショにしておいてセイカイ」

「寝ぼけてたのかな、私」

「だろうな」



神社は歩いて数分のところにある。

神社に近づくにつれてポツリポツリと人影が見えてくる。

何気ない小さな神社なのでさほど大混雑はしていないが、近所の人たちが集まり普段見せないような人の波がそこにはあった。

境内では火が焚かれ、神社をオレンジ色に照らしている。

火の回りでは暖をとる人の姿が見える。



参拝の列に並ぶとお神酒を勧められたが、未成年だから、と断った。


お参りの直前に小さなお札をもらい、お賽銭を入れ、手を合わせて念入りに拝む。



無心で祈った。


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