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HAPPY BIRTHDAY


家にいれば、ほぼ寝てばかりの男に

「寝るな」
「寝たら叩き起こす」

と言われても、いまいち説得力がないというか…実感がないというか…

しかしながら、太陽の暖かさでいい感じにまどろんでいたので、今日はこのままぼんやり過ごす事にした。

全ての息を吐き出すかのように大きな欠伸をした直後、馨はそのままスヤスヤと寝息をたてていた。

















夜。

普段より少し豪華な夕食の蕎麦に違和感を覚える。

準備をテキパキとする母親が手にするお惣菜のエビ天がやたら大きいことに気づく。


「あれ、今日は豪勢なんだね」

「当たり前でしょ。年越し蕎麦くらい豪華にしないとね」

「……年越し蕎麦?」


心の奥がドキリとする。

そしてなぜか背筋がピンと伸びてしまう。


「え、今日ってもしかして大晦日?」

「そうもしなくても大晦日よ。何言ってるの?」

「!!」

「…やだ馨。もしかして今気づいたの?」




情けない。

一年で一番最後の今日を忘れるなんて。




両親にからかわれながら、馨は恥ずかしさでうつむきながら黙々とエビ天をつゆに浸すようにつつく。


(……)


チラリと目を移すと隣に座る人物も黙々と蕎麦をすすっている。

きっと呆れているに違いない。


だって、今日が大晦日ということは、明日は…




それにしてもうかつ過ぎる。

バスケに集中しすぎてとても重要な事を忘れてしまうなんて。

私としたことが!!

なんたる不覚!!

あぁ、情けない!!


自分に怒りのようなものを感じながら馨は熱々の蕎麦をすすった。


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