恋するあっくんシリーズ

『まいご』



ガラガラガラッ!!


「あぁーーっ!遅れた!」

「あんた朝練も出んと何してんの!!監督めっさキレとったで!もうとっくに朝礼も終わったし!」

「もうそんな時間なん?あっくんうっかりさんやね」

「…一応聞くけど、何かあったん?」

「あっ、もしかしてあっくんこぉへんから心配してくれたん?」

「目を輝かせて聞くなっ!や、アホでも風邪ひくんかな~思て」

「大丈夫やで!あっくん気合いでウイルス排除できるねん。スゴいやろ?!」

「スゴないわいっ!ただアホやから風邪ひかんだけや!!現実をみろ!」

「それに~!あっくん大栄バスケ部期待の星やからね!!みんなの期待を背負ってるから風邪なんか引けへんねん」

「全く関係ない上に自分で言うな!厚かましい!!ところでなんで遅刻したん?あんたの足やったら寝坊しても走ったら間に合うかと思ったんやけど」

「いや~、ちょっと道に迷ってしもて…」

「…は?迷ったって?道に?」

「うん。道に。同じ道も飽きたし違う道で学校行こかなて思て気付いたら見知らぬ場所に…」

「ちょい待ち、うちら確か3年生よな…」

「うん。あっくん転校もせず3年間元気に大栄通ってますけどそれが何か?」

「それが何かちゃうねん!何で妙に自慢気なんよ!!胸を張って言うセリフやない!てか3年間通っといてなんで今更道に迷うんよ!!それにそういう好奇心は1年ん時に満たしておくのは基本やんっ!!」

「そうなん?!知らなんだ…なんでそんな大切なコトあっくんにゆうてくれへんかったん!」

「簡単や。うちは大切やとは思ってなかったからや」

「…これがウワサの価値観の相違ってヤツやね」

「離婚原因のトップやね」

「そんなん関係ないっ!あっくんは別れるつもり1ミリたりともないねんからねっ!!」

「別れる以前の問題やっ!そもそもうちら付き合ってへんし!あんたの妄想を堂々と口にするな!!」

「もうっ照れ屋さんなんやから~」

「あーウザイから妄想の世界に一生住んどき。もう止めへんし」

「冷た過ぎやっ!ここはもっと激しくツッコむトコやん!!あっくん寂しすぎて死んでまう!…や、待てよ…死因寂し過ぎって歴史に名が残るな…」

「しょうもない事で名を残すな!てか、さっさと監督に謝りに行かんかい!!」



おわり

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